8月5日に、三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471、以下MFLP)とアドバンス・ロジスティクス投資法人(3493、以下、ADL)が、合併契約を締結すると発表しました。
三井不動産と伊藤忠グループのダブルスポンサーに
MFLPは社名から想像できますが、スポンサーは三井不動産となります。ADLのスポンサーは伊藤忠商事と伊藤忠都市開発で、伊藤忠グループ系のREITとなります。三井不動産は不動産デベロッパーの大手、伊藤忠商事は商社の大手です。
MFLPを吸収合併存続法人、ADLを吸収合併消滅法人とした吸収合併を実施します。ただ、伊藤忠グループが物流系REITを手放すという訳ではなく、この合併により、三井不動産と伊藤忠グループのダブルスポンサー体制を構築するとしています。
会社資料によると、今回の合併で資産規模が5765億円(J-REIT中11位)に拡大するとのことです。規模が拡大すれば市場からの注目度が高まり、流動性の向上にもつながると期待できます。
興味深い点としては、データセンターや冷凍冷蔵倉庫、研究施設など、一般的な物流倉庫とは異なる物件の取得にも力を入れる姿勢を示している点です。また、既存の物件を取得するだけにとどまらず、投資法人自らが保有物件の再開発を検討することも明示しています。
発表を受けて投資口価格は大幅上昇
今回の発表を受けた8月6日に、両投資法人の投資口価格は大きく上昇しました。ADLは前日比13.4%高、MFLPは6.6%高となっています。
この8月6日は日経平均株価が歴代最大の上げ幅(3217円高)を記録した日で、REITも全面高となっています。ただ、その中でも全REITの中でADLが上昇率1位、MFLPが2位となっていますので、リリースに対するポジティブインパクトは大きかったと言えます。
物流REITの再編が進む可能性
現状、物流REITにおいては、時価総額において日本プロロジスリート(3283)とGLP(3281)の2強状態となっています。8月7日時点では、プロロジスが約7100億円、GLPが約6300億円で、それに対してMFLPは約2600億円、ADLは約850億円となっています。単純にMFLPとADLの時価総額を足し合わせてもプロロジスやGLPの半分程度ですので、合併により、市場からの評価をどれだけ高めることができるかが注目点となります。
とは言え、今回のリリースを見ると、新合併会社は大手2社を追随していくというよりは、オンリーワン的な立ち位置を目指しそうな雰囲気もあります。物流をメインに据えながらも、それだけにとどまらず新たな属性の物件を取得・開拓していく。それにより、プロロジスやGLPにない魅力を打ち出し、物流REITの中で「三井不動産&伊藤忠」のブランドイメージを高めていく。この合併にはそのような意図も感じられます。
今回、三井不動産系の物流REITに動きが出てきたことで、今後は三菱地所系の物流REITである三菱地所物流REIT(3481)に新たな動きが出てくるかが注目されます。他の物流REITも巻き込んだ、再編の動きが進む可能性があります。