足元のREIT指数の動きがさえません。
2022年12月20日の日銀金融政策決定会合で政策修正があり、REIT指数は急落。この次の2023年1月18日の会合では追加の修正などがなかったことから、押し目買いが入りました。ただ、同様に切り返した日経平均がその後、急落前の水準を取り戻しているのに対して、REIT指数の方は直前の戻り高値すら超えられておらず、下げ止まり感が出てきていない状況です。
金融緩和維持でも政策修正への警戒はくすぶる
なぜ、1月の会合で追加の修正がなかったにもかかわらず、REITの戻りが鈍いのでしょうか。そこには、長期金利の方向性が大きく影響しています。REITに関しては、先の金利が低位で安定しそうという状況が、ベストと言える環境となります。「金利が下がり続ける環境の方が良いのでは?」という意見もあるかもしれませんが、そういう時は景気が悪化していることが多く、不動産市場に対するリスクが意識されやすくなります。個別では賃料の引き下げなどが発生する懸念があります。
2023年1月の日銀の緩和継続は、「国内長期金利が急上昇するのでは」という懸念を払拭する材料にはなりました。ただ、ここでは修正をしなかったけれども、この先もしないという見方を強めるまでには至りませんでした。
さらに、先の警戒が拭い切れないイベントがこの先に控えています。日銀総裁の任期満了です。
新総裁の観測報道にREITの好反応は限定的
今の日銀総裁である黒田東彦(くろだはるひこ)氏は在任期間が最も長く、金融緩和政策を積極的に推し進めていました。ただ、今年2023年の4月が任期満了となるため、次の人事に注目が集まっています。
2月6日には、「政府が日銀副総裁の雨宮正佳(あまみやまさよし)氏に次の日銀総裁を打診した」との観測記事が報じられました。この日のREIT指数は0.9%高と上昇して終えました。ただ、指数の水準を踏まえると強い上昇ではありません。
今回、打診を受けたと報じられた雨宮氏は、候補に名前が挙がる中ではハト派色が強いとみられており、雨宮総裁なら現状の政策を急転換する可能性は低そうです。それであればREIT指数は安値圏にある分、強く買われても良さそうなものですが、戻りは緩慢でした。
超長期にわたる金融緩和策についてはその弊害も指摘されており、そのため、誰が新総裁になったとしても、黒田総裁と同じような金融緩和策を採るのは難しいのではという見方が強いです。金利の先高観が根強いことがREITが敬遠されている要因と推測されます。
新総裁下での日銀会合は4月末
次回の日銀金融政策決定会合は、3月9日~10日ですが、この時点ではまだ黒田氏が日銀総裁です。その次が4月27日~28日で、ここが新総裁の下での日銀会合となります。
新しい総裁が正式に決まれば、そこから4月の会合までにも様々なニュースは出てくると思われます。しかし、新体制がスタートした上で日銀会合を経てからでないと、国内金利の方向感ははっきりしないでしょう。J-REITに関しても、新体制下での第1回目の会合までは不安定な値動きが続くとみておいた方が良いかもしれません。