REIT指数が9週ぶりに反発
先週のJ-REIT市場(2024年3月11日~15日)では、興味深い動きが確認できました。
REIT指数は9週ぶりに反発しましたが、週間では2.5%高となり、久々の反発が比較的大きなものとなりました。
そのような中、個別の全58銘柄(2024年3月15日時点)を見ると、週間で横ばいが1銘柄で、57銘柄がプラスとなりました。すなわち、値下がり銘柄がゼロであったということになります。
異様な下げが続いた後に全面高
REIT指数は、1月後半から基調が下り坂となり、2月は下げが加速しました。
3月に入っても売りは止まらず、13日には昨年来安値(1667.87p:終値)を更新しています。
異様な下げが長く続いた後だけに、軒並み高の動きが見られたことは注目されます。気味の悪さがある中で、規模や属性を問わずJ-REIT全体に買いが入ったということになります。ちなみに、先週は週間で値下がり銘柄がゼロとなりましたが、14日と15日に指数が大きく上昇しており、14日に全銘柄が上昇。15日は下落は1銘柄にとどまりました。
日銀の政策転換を受けても全面高
本日3月19日には、日銀が金融政策を大きく転換しました。
マイナス金利の解除
長短金利操作(イールドカーブ・コントロール:YCC)の撤廃
ETFとREITの買い入れ終了
といったことが決定されました。
この発表に対するREITの反応は強い買いとなっており、同日のREIT指数は1日で3.2%上昇しました。また、指数に強い動きが見られる中、個別でも全銘柄が上昇しました。
全銘柄上昇が反撃の狼煙
REIT指数のチャートを確認してみましょう。
REIT指数は3月13日に昨年来安値を更新し、その翌日の14日に全銘柄が上昇しました。この日のREIT指数のローソク足は実体の長い陽線となっています。
15日も上昇しており、この日の高値は1738.68pまでありました。2月27日につけた戻り高値の1735.74pを上回っています。直近高値を上回ったところで戻り売りに押された分、上に長いヒゲをつけましたが、実体の長い陽線が2本並んだことは底打ちへの期待を高めました。
「REIT指数、ここまで下げたらその先は・・・」では、REITの反転パターンとして、①下げの理由が明確となってV字回復、②下げ止まるけれども低空飛行の2通りを挙げましたが、現状では①に近い形になっていると考えられます。
下げが続いた理由に関して、これといった明確なものがあったとは言い難いですが、3月の中旬で売りが一巡してきたということは、3月期末をにらんで大口の売りが出ていたものと推測されます。
14日や15日には多くの銘柄が上昇し、間を置かず19日に再び全銘柄がプラスとなりました。安値圏での押し目買いが恐る恐るとはなっていない、すなわちパターン②の戻り方ではありません。
2月では値ごろ感はあったものの下げ止まらず、3月に一段安となって1650p近辺まで押したところで売りが出尽くしとなり、買い手と売り手のパワーバランスが変わってきた、そのような動きと見受けられます。
①のパターンであれば、個別のREITには押し目買いが入りやすくなります。分配金利回りやNAV(Net Asset Value)倍率といった指標をもとに再評価機運が高まるREITが増えてくることが予想されます。暗くて長いトンネルをようやく抜けた感がありますので、ここからJ-REITの逆襲が見られるかが注目されます。