日銀会合の結果発表を受けてREIT指数が急落
2022年12月20日の日銀金融政策決定会合で、日銀は金融政策の修正を発表しました。そして、それを受けて同日の東証REIT指数は急落しました。日銀は長期金利の変動幅を、従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大することを決定しましたが、市場はこれを実質的な利上げと受け止めました。このことは、金利に敏感なREITには強い売り材料となりました。
この日の東証REIT指数は1日で5.3%安(終値:1838.48p)となり、終値ベースで年初来安値を更新してしまいました。
国内金利の上昇に対する警戒が強まる
以前、米国の長期金利が上昇基調を強めた際に、REITが大きく下落したことをお伝えしました。
利回り商品のREITにとって、金利上昇は逆風となります。ただ、この時は日本ではなく米国の話でしたし、そもそも米国が2022年に入って利上げを積極的に行っていたことは十分周知されていました。しかし、今回は国内の話であり、また、日銀は米国や欧州の中央銀行が金利引き上げの方向に動いても、頑なに大規模緩和の姿勢を貫いていましたので、J-REITにとってネガティブサプライズの要素がかなり強かったといえます。わずか1日、それも後場の数時間で、米国の長期金利上昇が一服して戻していた分を吐き出すこととなりました。
1800p割れを回避できるかが焦点に
今回、日銀はFRBやECBのように利上げを積極的に行うといった意思表示をしたわけではありません。あくまで金融緩和の修正となります。ですので、ここから国内の長期金利が上昇基調を強めていくのか、それとも上昇が一時的にとどまるのかは見極めておく必要があります。前者であれば、J-REITは金利上昇と反比例して下落基調を強める可能性が高いと思われます。一方、後者であれば、今回の急落は押し目買いの好機と受け止められるでしょう。
REIT指数は終値ベースでは年初来安値を更新しましたが、1月につけた取引時間ベースの安値1792.94pまでは割り込みませんでした。目先は1800p割れを回避できるかどうかが焦点となります。
質重視の傾向が強まるか
個別では、短期的には質への逃避が進むのではないかと思われます。国内の長期金利に上昇圧力がかかった場合、借入金の比率が高い銘柄は敬遠される可能性があります。見た目の分配金利回りが高くても、LTV(Loan to Value ローン トゥ バリュー)が高いREITは選好されづらくなるかもしれません。LTVに関しては、「REITの合併で投資家が期待できるメリットは?」の回で説明しているので参考にしてください。スポンサーに関しても、ネームバリューのある大企業がスポンサーとなっているREITの方が買い安心感が出てくると思われます。