2024年も折り返しに入ってきました。今回は2024年上半期のJ-REIT市場について振り返ります。
REIT指数は半年で4%を超える下落
2024年に入って6月末(2024/6/28)までの東証REIT指数のパフォーマンスを見ると、-4.6%と大幅な下落となりました。
昨年末、2023年12月29日のREIT指数は1806.96pでした。
2024年上半期の高値(終値ベース)は1月22日につけた1844.61p、安値は3月13日につけた1667.87pで、6月30日の終値は1724.02pとなりました。
2024年は1月から2月にかけて大きく下落し、3月にいったん切り返したものの、5月前半のゴールデンウイーク近辺で戻りが一服。5月中旬から6月にかけて下り坂となりました。
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ホテル系が好パフォーマンス
上半期のパフォーマンスが良かったのは、以下のような銘柄です。
ホテル系の銘柄が上位を占めています。上半期はJ-REIT全体としては軟調に推移しただけに、業績面で不安の少ない属性が選好されたと考えられます。2024年に入っても海外からの訪日客数は高水準が継続しており、インバウンド消費はこの先も拡大が期待できそうです。
時価総額上位REITが苦戦
上半期に厳しいパフォーマンスとなったのは、以下のような銘柄です。
パフォーマンスが良かった銘柄と比べるとあまり特色はありませんが、オフィスがポートフォリオに入っているREITが苦戦しています。また、ジャパンリアルエステイト(JRE)や野村不動産マスターファンド(NMF)といった、時価総額上位のREITが大きく下落しています。2024年前半はJ-REIT全体で弱さが目立つ場面がありましたので、大型である分、売られやすかったという側面はあったように思われます。
下半期は国内長期金利の動向がカギに
REIT指数は3月13日に安値1667.87pをつけていますが、6月末の水準が1724.02pですので、まだ下げ止まったとまでは言えない状況です。国内では日銀が3月にマイナス金利を解除してREITの買い入れ終了を決定するなど、金融政策を変更しています。また、こういった日銀のスタンスを受けて、日本の長期金利は上昇傾向にあります。
米国ではここにきて利下げに対する期待が高まってきており、長期金利は低下気味となっています。利回り商品のREITは長期金利の影響を受けやすいですが、日米長期金利の方向性がそろっていないことから、下半期は不安定な地合いが続くことも予想されます。日本の不動産が運用対象であることを踏まえると、国内長期金利の動向により注意を払うべきでしょう。
景気の回復期待が高まる中で緩やかに金利が上昇していくのであれば、下値は限られると思われます。一方、利上げが急がれて金利が大きく上昇してしまうと、上半期のように注目されづらい金融商品となってしまう可能性もあります。下げ止まり感が出てくるかという点では、上半期に苦戦したREIT、中でも時価総額上位のジャパンリアルエステイトが安値圏を脱出できるかが注目されます。