オフィスREIT大手2社が年初来高値を更新
4月に入り、オフィス系REIT大手の日本ビルファンド(8951)とジャパンリアルエステイト(8952)が、上昇基調を強めてきました。どちらも4月に年初来高値を更新しています。
J-REITは国内不動産を対象とした金融商品ですので、「トランプ関税」の直接的な悪影響は限定的です。株式市場の値動きが荒くなっていることもあり、安定的な分配金が見込まれるREITが見直されています。その中で、時価総額が大きく流動性が相対的に高い大手の動きが良くなっているというのは、J-REITに対する買い安心が一段と高まっていると推測されます。
安値圏から切り返す星野リゾート・リート
日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトは高値圏で推移していますが、これまで安値圏で推移していた銘柄にも変化が見られます。星野リゾート・リート(3287)は4月4日に18万5400円まで下落して、年初来安値を更新しました。しかし、その後は鋭角的に切り返しています。
週足チャートで中長期の値動きも確認してみましょう。これまでは幾分戻したところでは売り直され、長く下げ基調が続いていました。それを踏まえると、売り圧力がかなり和らいでいるように見受けられます。
先導銘柄と出遅れ銘柄の両方が上昇
日本ビルファンドとジャパンリアルエステイトに関しては、2024年の9月にも動きが良くなったことを取り上げました。
ただ、この時は両銘柄とも9月後半から急失速しています。1:5の分割を発表したビルファンドが人気化し、ジャパンリアルエステイトにも期待買いが入りましたが、他ではその時点でも最低売買金額が少額であった銘柄が多く、J-REIT全体には好影響は波及しませんでした。
足元では大型REITが一段高となっただけでなく、出遅れ感が強かった銘柄にも買いが入っています。先導役にしっかりとした動きが続いていることで、全体の底上げが進み始めたようにも見えます。
上場J-REIT57銘柄のうち、2025年4月23日時点において昨年末比でマイナス(分配金は考慮せず)となっているのは、星野リゾートを含めて12銘柄あります。いちごホテル(3463)、インヴィンシブル(8963)、東海道リート(2989)、星野リゾート(3287)、ラサールロジポート(3466)、ザイマックス(3488)、マリモ地方創生(3470)、タカラレーベン(3492)、三井不動産ロジスティクスパーク(3471)、ジャパン・ホテル・リート(8985)、日本アコモデーションファンド(3226)、GLP(3281)が該当します。REIT指数に上振れ余地があるかどうかを見定めるという点では、これらの中でプラスに転じる銘柄が増えてくるかどうかが注目されます。