REIT指数は足元で年初来高値更新基調が続いており、6月24日や25日の取引時間中には節目の1800pを上回る場面もありました。J-REITに対する注目度も高まる中、今回は7月(1月)決算のREITについて掘り下げてみたいと思います。
7月決算REITは属性が多岐にわたる
2025年6月24日時点で7月決算の上場REITは14銘柄あります。そして、7月決算のREITは属性が多岐にわたっています。
7月決算REITの属性(2025年6月24日時点)
【オフィス系】
森ヒルズリート投資法人(3234)
【住居系】
アドバンス・レジデンス投資法人(3269)
コンフォリア・レジデンシャル投資法人(3282)
サムティ・レジデンシャル投資法人(3459)
【物流系】
三井不動産ロジスティクスパーク投資法人(3471)
日本ロジスティクスファンド投資法人(8967)
【ホテル系】
いちごホテルリート投資法人(3463)
【総合系】
東急リアル・エステート投資法人(8957)
スターアジア不動産投資法人(3468)
東海道リート投資法人(2989)
【商業系】
イオンリート投資法人(3292)
エスコンジャパンリート投資法人(2971)
【産業系】
産業ファンド投資法人(3249)
【ヘルスケア系】
ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)
オフィス、住居、物流、ホテル、総合といった代表的な属性の銘柄がすべてある上に、ややマニアックな属性の銘柄もあります。
以前、産業ファンドやヘルスケア&メディカルはオンリーワンREIT、東海道リートはローカルREITで取り上げましたが、運用対象やエリアにおいて独自性があります。イオン系の商業施設を対象とするイオンリートなどもあり、個性の強い銘柄がそろっています。
一方、個性の強さが影響してか、万人受けはしておらず、時価総額でみると中~低位の銘柄が多くなっていることも7月決算銘柄の一つの特徴です。
属性が異なると投資口価格の動きも異なる
属性の異なるREITは全く違った動きをすることもあります。7月決算銘柄の中では、総合系の東急リアル・エステートが2025年に入ってから動きが良くなっています。
一方、ホテル系のいちごホテルリートは2025年は苦戦しています。ただし、この銘柄は2024年のパフォーマンスが極めて良好でした。
なお、年初からの6月24日までの値動きを見ると、東急リアル・エステート(8957、総合)のほか、スターアジア(3468、総合)、森ヒルズリート(3234、オフィス)、ヘルスケア&メディカル(3455、ヘルスケア)などが好パフォーマンスとなっています。
横の比較で属性の強さを見定める
これだけの属性がそろっていると、各銘柄の値動きを比較することで、どの属性が強いかを探る手がかりを得ることも可能となります。
REITは安定した分配金が見込めますが、一般的に権利落ち後は見た目の水準が切り下がります。理論的には分配金利回りが高い銘柄ほど、落ち日の投資口価格の下落の度合いは大きくなります。
決算期の違うREITのパフォーマンスを比較する場合、決算期をまたいでいるかどうかを考慮しないと、適正な比較にはなりません。同じ決算期の銘柄であれば、その点に関する調整は不要となります。なお、7月決算銘柄は7月と1月が決算期となり、2025年の7月は権利付き最終日が7月29日(火)となります。
落ち分を早々に埋めてくる銘柄は買い意欲が強いと考えられます。早々に落ち分を埋める銘柄とそうでない銘柄がある場合、埋めてきた銘柄には(1)個別のストロングポイントがある、(2)属性が旬、の2つの仮説が立ちます。似た属性で決算期の違う銘柄の動きを見て、強い動きが観測されるようなら、その属性に深掘り余地があるといえます。なお、多くの属性の銘柄がそろって落ち分を早々に埋めてくるようであれば、J-REITそのものの基調が強いと考えられます。
7月決算銘柄はバラエティに富んでいます。個別の銘柄にフォーカスするのも良いですが、7月銘柄というくくりで様々な比較を行ってみると、新たな投資のヒントが見つかるかもしれません。