今週のチャート予報 やるなら今でしょ!

第36回 ドル円:黒田シーリングと植田シーリング

ドル円は、ドル高・円安8年サイクルにより、2024年3月27日の高値151.97円で、当面の高値を付けるのか否かの分岐点に差し掛かりつつあります。

現状は、トリプル・トップ(151.95円・151.91円・151.97円)を形成しつつありますが、152円に乗せて155円方向へ続伸する可能性もありますので、予断を許さない状況となっています。

おそらく、本邦通貨当局がドル売り・円買い介入で円安を阻止するにか否かにかかっています。

 

【戦術(2024年4月2日週)】

ドル売り:@152.00円 ⇒ ストップロス@153.00円、利食い@148.00円

 

2015年6月、黒田第31代日銀総裁は、ドル円が年初来高値の125円台で推移していた頃、「実質実効為替レート」による「円安レベル」への円安牽制発言を行い、ドル高・円安を反転させました。

2024年4月、植田第32代日銀総裁は、ドル円が年初来高値の151円台で推移していた時、円安牽制発言を行い、ドル高・円安にブレーキをかけました。

 

■エリオット波動分析

・第1波動:75.32円~125.86円(+50.54円)・・・※黒田シーリング

・第2波動:125.86円~101.19円(▲24.67円 半値押し)

・第3波動:101.19円~151.97円(+50.78円:V計算値=152.70)※植田シーリング?

・第4波動:152円~126円

・第5波動:126円~160円/178.50円

 

■黒田第31代日銀総裁(2015年6月10日:衆議院財務金融委員会)

黒田日銀総裁は、為替動向に関連して「実質実効為替レートでは、かなり円安の水準になっている。実質実効為替レート(※67.63)がここまで来ているということは、ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」と述べました。市場は、125円台に「黒田シーリング」が設定されたとみなして、ドル安・円高に反転していきました。

 

■植田第32代日銀総裁(2024年4月5日:新聞とのインタビュー)

植田日銀総裁は、「為替の動向が、賃金と物価の循環に無視できない影響を与えそうだということになれば、金融政策として対応する理由になります」「インフレに影響があれば為替対応も検討」と述べ、円安が追加利上げを促すことを明確に説明しました。

そして、植田日銀総裁は、国会でも、「為替は経済物価に影響する重要な要因。政府と密接に連携。十分注視」などと述べ、鈴木財務相や神田財務官による円安牽制と同様の発言をしています。

植田日銀総裁は、円安による輸入物価上昇を受けた「第1の力」による物価上昇を回避したい意向を示してきており、円安牽制発言に踏み切ったのかもしれません。

また、岸田首相も、円安が進む為替市場の動向に関して、緊張感をもって注視しており「行き過ぎた動きに対してはあらゆる手段を排除せず適切に対応していきたい」と述べています。

この連載の一覧
第38回 ドル/スイスフラン:「ダブル・ボトム」か「逆ヘッド・アンド・ショルダー」か
第37回 ポンド円:二本立ち二羽烏
第36回 ドル円:黒田シーリングと植田シーリング
第35回 ドル円「トリプル・トップ」か否か?(2)
第34回 ドル円「トリプル・トップ」か否か?
第33回 ポンドドル、「三角保ち合い」のAPEXへ接近中
理外の理:ユーロドルの「ヘッド・アンド・ショルダー」(3)
第31回 ドル円、ヘッド・フェイク待ち?
第30回 ドル円「ダブル・トップ」⇒「トリプル・トップ」??
第29回 ユーロドルの「ヘッド・アンド・ショルダー」(3)
第28回 ドル円「ヘッド・アンド・ショルダー」
第27回 ポンドドル、ヘッド・アンド・ショルダーのネック・ラインに要注目
第26回 ユーロドルの「ヘッド・アンド・ショルダー」(2)
第25回 半値戻しは全値戻し(2)
第24回 半値戻しは全値戻し
第23回 2024年ドル円相場見通し
第22回 ポンドドル、MACDでの売りシグナル
第21回 ドル高・円安8年サイクル(2)
第20回 ドル円の「斜行三角形」目標値は137.25円
第18回 ドル円の「ダブル・トップ」目標値は146.51円
第17回 豪ドル円、上昇第3波動を形成中か
第16回 ドル円V計算値=152.70円
第15回 ドル高・円安8年サイクル
第14回 ユーロドルの「ヘッド・アンド・ショルダー」
第13回 ドル円の「斜行三角形」と「弱気の乖離」
第12回 ドル/スイスフラン「ダブル・トップ」完成
第11回 ドル円の「弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)」
第10回 NZドル円、上昇第3波動を形成中か
第9回 ポンドドルの「ヘッド・アンド・ショルダー」
第8回 ユーロ円の弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)
第7回 縦の糸「価格」と横の糸「時間」の交差:9月12日&148.77円
第6回 ヘッド・アンド・ショルダー(2)
第5回 ヘッド・アンド・ショルダー
第4回 弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス)
第3回 8月15日は米国債償還・利払いの円買いの日柄
第2回 8月は円高アノマリー
第1回 ドル円145円は「三田(神田・植田・岸田)関所」か

為替情報部 アナリスト

山下 政比呂

証券会社で株式・債券の営業、米系銀行で為替ディーラー業務(スポット、スワップ、オプション)に従事。プライベートバンクでは、為替のアドバイサーとして円資産からドル建て資産への分散投資を推奨してきたドル高・円安論者。 「酒田罫線法」「エリオット波動分析」「ギャン理論」などのテクニカル分析をベースに、ファンダメンタルズ分析との整合性を図り、相場観を構築。 ウォール街の格言「ゴルフと相場は、どちらもタイミングが全て」に出合い、ゴルフと相場の共通項を模索中。 2016年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

山下 政比呂の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております