解説!つみたてNISAとiDeCo

つみたてNISAは一括購入できる?年間非課税枠を使い切る方法を詳しく解説

つみたてNISAは年間40万円までの投資で得た利益にかかる税金が非課税となる制度です。しかしこの40万円分は、使い切れなくても翌年に繰越すことはできません。例えば8月からつみたてNISAを行いたいと思った場合、非課税枠を使い切れずに損してしまうかもと心配に思いませんか?


つみたてNISAは一括購入できる?

結論から言うと、つみたてNISAを一括購入することはできません。つみたてNISAは少額の積立を長期間に渡って行うことを原則としています。そのため、多くの取扱会社で1ヶ月に投資できる最大上限が、非課税枠40万円を12ヶ月で割った金額となる、33,333円以下となっているからです。


非課税枠を使い切る方法はある?

非課税枠を使い切る方法には、①ボーナス設定、②増額設定、③非課税枠使い切り設定の3種類の方法があります。これらの方法を上手く利用すると、1月に40万円全額分を一括購入することも可能です。


①ボーナス設定

 


ボーナス設定とは、自分の選んだ好きな月にまとまった金額を追加購入することが可能な設定です。楽天証券などの大手ネット証券会社では、ボーナス月は年に2回選択でき、100円以上1円単位の細かい金額から設定できます。


例えば、月額の投資金額を3万円に設定すると、1年間の投資金額は36万円となり、非課税枠40万円に4万円ほど足りません。6月と12月に2万円ずつボーナス追加する設定をしておけば、毎年非課税枠40万円を上限いっぱいまで積み立てることができます。


また、8月からつみたてNISAを始めた場合は、5カ月間で15万円の投資金額となり25万円ほど非課税枠が余ってしまいます。初年度だけボーナス月として9月と12月に12.5万円ボーナス追加する設定をすれば、1年目から非課税枠上限ぎりぎりまで積み立てることが可能です。


月額投資金額やボーナス設定は、基本的に一度設定した内容が毎年継続されます。初年度だけボーナス金額を多く設定し、翌年度も設定を変えずにいると、40万円の非課税枠を超えてしまうので、翌年にボーナス設定の金額を必ず修正するよう注意してください。


②増額設定

 


増額設定とは、月額の投資金額とは別に自分の好きな金額を追加できる設定です。ボーナス設定は一度設定すると翌年も設定が引き継がれますが、増額設定は毎年設定し直す必要があります。年度が変わるタイミングで、設定のし忘れに注意してください。


8月からつみたてNISAを始めて月額3万円投資した場合を例に挙げます。増額設定を行い限度枠の40万円まで投資したい場合、例えば8~12月に5万円ずつ増額設定すれば、月額3万+増額5万の月8万円を5ヶ月投資することになるので、投資金額はちょうど40万円になります。


③非課税枠使い切り設定

 


つみたてNISAの非課税限度額は40万円と決まっています。そのため、多くの取引会社で、11月時点で38万円投資しているにも関わらず、12月に月額3万の投資を行う設定をしていると、限度額を超えるエラーが発生し12月の買付は行われません。


非課税枠を超える金額が投資されてしまう理由は、積立金を投資信託したことにより利益が発生し、分配金が再投資されることがあるためです。ボーナス設定や増額設定で40万円ぴったり投資する設定をしている時に分配金が入ると限度額をオーバーしてしまいます。


せっかく40万円ぴったり投資するために細かい設定を行ったのに、限度額オーバーで買付できず40万円より少ない金額しか投資できなかったら、非常に残念ですよね。


非課税枠使い切り設定とは、このような事態に備えて、買付金額が非課税枠の残高より高い場合に、非課税枠に合わせて買付金額を調整してくれる設定のことです。設定方法は非課税枠使い切り設定を適用させるだけなので、このサービスがある取引会社を選択している場合は、必ず適用しておきましょう。


一括購入のメリット

ボーナス設定や増額設定などを利用してつみたてNISAを一括購入すると、40万円の非課税枠を最大限に活用した投資が可能です。非課税枠と投資期間は繰越せないので、初年度から少しでも多くの金額を投資することで、最終的に大きな利益に繋がる可能性が高まります。


また、上手く活用すると、株価が下がるタイミングを見計らって多額の金額を投資したり、年度の初めに一括購入して少しでも投資信託する期間を長くしたりすることも可能です。


一括購入のデメリット

大きなデメリットとして考えられるのが、株価が高値を付けたタイミングがボーナス設定した月だった場合、高値で大量に購入してしまう可能性です。また、少額を積み立てることによりリスクを分散させる、ドル・コスト平均法が適用されなくなるので、損失が出るリスクが高まる危険もあります。


取引会社によっては、ボーナス設定の変更が難しかったり、増額設定した金額はクレジット決済ができなかったりと、複雑で面倒な手続きがいる場合もあるため、事前の調査や設定後の確認も必要です。


まとめ

つみたてNISAを一括購入する方法についてご紹介しましたが、必ずしも年間40万円を使い切る必要はありません。月額1000円の少額から始められる取引会社も多く、自分の生活に合った無理のない範囲で投資することが最も重要です。


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