解説!つみたてNISAとiDeCo

急落後に戻りが期待できる投資信託で運用しよう

いきなりですが、クイズを出題します。

毎年1月第1営業日(大発会、基本は1/4)に投資信託Aを10万円ずつ購入するとします。

投資信託Aの単価推移に関しては、以下の通りとなります。



さて、10年目の投資損益はいくらになるでしょう。



答えは、12.4万円の黒字になります。

10年目の単価が8000円と1年目の単価(1万円)を下回っていることから、投資損益はマイナスと考えられた方がいらっしゃるかもしれません。


では、なぜ黒字となったのでしょうか。


それは、ドルコスト平均法の効果が大きいからです。

ドルコスト平均法では、単価の低下局面では「購入数量が多くなる」「取得単価が下落する」という特徴があります。

上記の例で示したように、売り一巡後に単価が上昇すると利益が出やすくなります


単価の低下は永遠に続かない

積立投資は長期投資となるため、今後もリーマン・ショック(2008年秋)や新型コロナウイルス・ショック(2020年春)のように世界経済の悪化を招く出来事が発生する可能性があります。

そのような状況が発生すると、運用している投資信託の単価が急落することが予想されます。

実際に単価が急落した場合、運用していることに恐怖心を抱く投資家が増えるとみられます。


しかし、単価の低下は永遠に続くわけではありません。

実際に、2020年初めから2021年末にかけてのNYダウの推移を確認してみましょう。



2020年春に世界中で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、経済活動の停滞に伴う世界経済の悪化に対する警戒感からリスク回避の売りが強まりました。

2月中旬以降から下落基調を強め、3月には18200ドル台まで下落しました。

しかし、米政府による大規模な経済対策や中央銀行による大規模な金融緩和策が奏功し、1年も経たずに感染拡大前の水準を取り戻しました。

その後も上値を追う動きとなり、2021年11月には36300ドル台と2020年3月につけた安値から約2倍となりました。


仮に2020年初めから積立投資を行っていれば、急落時に購入口数が増加し、その後の急上昇により利益が大きく膨らんだことが予想されます。


運用する際の注意点として、単価が急落したときに慌てて売却してはいけません

むしろ利益が拡大する局面が到来してラッキー位の心構えを持って、運用を続けてください。


運用商品を選択する際のポイント

運用商品を選択するポイントとしては、仮に単価が一時的に急落しても、単価の上昇が期待できる投資信託で運用することが重要となります。


インデックスファンドで運用するのが良いと考えます。


上記で説明したNYダウのように、代表的な株価指数をベンチマーク(運用する際に目標とする基準)としているため、単価が低下し続ける可能性が低いからです。

あとは信託報酬が比較的安い点もおすすめです。


ただし、どうしても単価の急落が怖い方は、バランス型ファンドでの運用を検討しても良いでしょう。

バランス型ファンドは、様々なリスクリターンの資産(国内債券、海外株式など)に投資しています。

インデックスファンドと比べ信託報酬は高くなりますが、分散投資を図っているため、元本割れのリスクが軽減されるメリットがあります。

ただし、それでも投資損益がマイナスとなることはありますので、その点は留意しておいてください。



以下、インデックスファンドとバランス型ファンドのリストと信託報酬を記載しております。

あくまでも一例となり、それ以外にも投資信託はあります。

よろしければ、参考にしてください。


この連載の一覧
2025年の税制改正要望、NISA制度・投資関連のものには何がある?
【徹底解説】iDeCoによる節税は嘘と言われるのは本当?実際にシミュレーションしてみた
株価下落で「新NISAで損切り」が話題に!2024年の積立投資のリターンとは
新NISA、オルカン一択は止めた方が良い?ポートフォリオの理想と現実とは
「貯蓄から投資へ」が進まない理由とは?金融教育の義務化で今後は状況が変化する?
新NISAは何歳からできる?年齢制限はある?50代60代こそ始めるべき理由を解説
新NISAの口座変更手続きとは?体験談とともに解説
証券会社が潰れたら株やお金はどうなる? 新NISAの注意点とあわせて解説
人気のつみたてNISAファンド「iFree S&P500インデックス」と「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」を初心者向けに解説します
つみたてNISA【たわらノーロード】シリーズ解析!「全世界株式」と「先進国株式」を比較してみた
資産を育てるチャンス!新しいNISAで高配当株投資は本当にもったいない?
少額投資は意味がないって本当?3つのメリットとシミュレーション結果を徹底解説!
2023年に廃止されるジュニアNISAを賢く運用するコツは?注意点もあわせて解説
【2024年新しいNISA開始】2023年にNISAは始めるべき?メリット・デメリットを解説
資金流入額の多い投資信託は運用効率が良い!
インベスコ世界厳選株式オープンへの資金流入が目立つ
改めて開設手続きは必要?亡くなったらどうなる?新NISAのよくある質問にFPが回答!
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はどちらを選ぶべき?2つの銘柄を比較してみた
「eMAXIS Slim全世界株式」へのさらなる資金流入に期待!
初心者におすすめ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」について解説します!
新NISA、成長投資枠のファンド約1,000本が公表に!あの人気ファンドはどうなる?
企業型DCやiDeCoは転職後も持ち運びが可能!
2023年にNISAで投資する場合の注意点
【初心者向け】2024年以降の新NISAの特徴は? 現行NISAと併用は可能なの?違いについてカンタン解説!
NISAは60歳からでも出来る!一般とつみたての違いを知って老後資金を運用しよう
新NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットと選び方
1億総NISA時代にIFAが価値提供できるものは何か
2024年からNISA新制度で投資を始めようという方々に伝えたい複雑化するカントリーリスク
つみたてNISAに確定申告は必要?損失が出た場合の控除など詳しく解説
【確定申告】株の特定口座(源泉徴収あり)とは?取引口座別の確定申告方法とメリットについて
急落後に戻りが期待できる投資信託で運用しよう
本当に一時金形式で受け取った方が良いの?
退職所得控除の利用方法に注意すべき!
素敵な老後を過ごすために積立投資を始めましょう
つみたてNISAは一括購入できる?年間非課税枠を使い切る方法を詳しく解説
2024年から新NISAへ。生涯の投資プランを設計しよう
来年はインデックスファンドで積立投資をしよう
【つみたてNISA】初心者の買い方~SBI証券とゆうちょ銀行を例にはじめ方をご紹介~
残り約1年のジュニアNISAに注目集まる
【つみたてNISA】専業主婦にもおすすめの理由とは?一般NISAとの違いも解説
一般NISAとつみたてNISAを比べてみる ~金融庁「NISAの利用状況」から~
マッチング拠出とiDeCoの併用は不可!
給与受け取りか、企業型DCで運用するか!
企業型DCとiDeCoの併用が可能に!
NISAのロールオーバー(下)
つみたてNISAが利用できない?純金積立での投資をおすすめしない人の特徴5選
将来の資産形成のために積立投資をしよう!
NISAのロールオーバー(上)
換金自由度、それとも税制メリットを優先しますか!?
iDeCoの死亡一時金は受取人指定が可能
一時金、それとも年金受け取りが良い?
iDeCoの運用は投資信託を中心に!
NISAの恒久化は老後資金の獲得方法になるか
DC法改正を活かし受取資産を増やそう
iDeCoの掛金は毎月拠出が良い?それとも年払い?
値下がりはチャンス!ドルコスト平均法
積立投資の開始はお早めに!
積立投資では上昇局面で利益が膨らみやすい
3人に1人が積み立てなし? つみたてNISAの事実
積立投資での投資信託の単価下落は怖くない
iDeCoの金融機関選びはコスト面を重視しよう
「つみたてNISA」の9割に迫る、投資デビュー
iDeCoは引き出し制限に注意も節税メリットは魅力
つみたてNISAやiDeCoはどんな人が加入できるの?

日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

角屋 昌範の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております