解説!つみたてNISAとiDeCo

2025年の税制改正要望、NISA制度・投資関連のものには何がある?

2025年の金融庁の税制改正要望には、NISAの金融機関を変更した際に即日買い付けできるようにするといった利便性向上、ETFの最低取引単位の見直しなどがあります。さらに、異なる金融商品の損益通算(損失と利益を相殺すること)の範囲を拡大する要望もあります。


税制改正は毎年9月頃に各省庁から要望案が提出され、12月にたたき台となる税制改正大綱が閣議決定されます。


今回は税制改正のスケジュール、投資関連を中心とした税制改正要望をピックアップしてお伝えしていきます。


税制改正のスケジュール

税制は経済社会の変化に十分対応できるように、毎年改正(または改正が検討)されています。


国民や各種団体の意見を参考にしながら与党税制調査会が税制改正要望などを審議し、9月頃に各省庁から税制改正の要望が提出されます。

毎年12月中旬には与党が税制改正のたたき台(税制改正大綱)を閣議に提出し、問題が無い場合は決定されます。


閣議決定された「税制改正大綱」に沿って、改正法案が国会に提出されます。

衆議院と参議院それぞれの財政金融委員会や総務委員会で審議が行われ、それぞれの本会議で可決されると改正法案が成立するという流れです。


投資関連の税制改正要望には、どのようなものがあるのでしょうか?


投資関連の税制改正要望


NISAの利便性向上

NISAにおけるETFの要件を見直し

金融商品間の損益通算の範囲を拡大



1.NISAの利便性向上

2024年から新NISAがスタートし、国民の資産形成を引き続き支援していくため手続きの利便性向上として以下2点を要望として提出しています。


NISA口座は、勘定を設けた日から10年を経過した日時点の口座保有者の所在地を、証券会社などが1年以内に確認することが定められています。

10年後以降は、5年を経過した日ごとです。

現在は、証券会社などが郵送により所在地確認を行っています。


 

出典:金融庁「令和7(2025)年度税制改正要望について」


金融庁はこの所在地確認をデジタル化・簡素化するために、マイナンバーによる住所照会を軸とする要望を提出しました。


加えて、金融機関を変更する際に申し込みから実際に取引できるようになるため1~2週間を要することに対して、口座開設申し込み時に買付を可能にする措置を要望しています。


2.NISAにおけるETFの要件を見直し

NISAにおけるETF(上場株式投資信託)の利用実績が、投資信託と比べ少ない状況であることから、つみたて投資枠におけるアクティブETFの要件の整備とつみたて投資枠におけるETFの最低取引単位の見直しの案が提出されました。


3.金融商品の損益通算の範囲を拡大

種類の異なる金融商品の損益通算の範囲は、2016年1月から上場株式等と特定公社債等に拡大されました。

デリバティブ取引・預貯金等については2024年9月27日現在損益通算が認められていませんが、適用されるように金融庁は範囲拡大を要望しています。


 

出典:金融庁「令和7(2025)年度税制改正要望について」


生命保険料控除拡充の要望も提出

投資関連以外の要望として、生命保険料控除制度の拡充についてお伝えしていきます。


生命保険料控除については、農林水産省・厚生労働省・経済産業省・こども家庭庁が共同で要望を出しています。

一般生命保険料控除は民間の生命保険などに対して一定の金額を控除するものです。介護医療保険料控除は介護保険や医療保険など、個人年金保険料控除は個人年金保険などが対象です。


現行の生命保険料控除は「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」がそれぞれ上限4万円です。


要望案には「新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)」を創設し、23 歳未満の扶養親族

がいる場合には、2万円の上乗せ措置を講ずることが記されています。


 

出典:金融庁「令和7(2025)年度税制改正要望について」


まとめ

2025年の税制改正要望の一部を紹介しました。

税制改正要望は必ず受け入れられる訳ではありません。まずは毎年12月中旬に税制改正大綱の発表を待ち、動向を見守っていきましょう。


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ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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