解説!つみたてNISAとiDeCo

つみたてNISAやiDeCoはどんな人が加入できるの?

新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いてきたこともあり、学生時代の友人と会う機会が増えてきています。

今まで投資に関心を示してこなかった友人から、「つみたてNISAやiDeCoをよく勧められるんだけど、わからないから教えて欲しい」といった相談をよく受けます。

そんな友人の話を聞いて、投資の必要性を認識しながらも制度の内容を理解できずに、投資に踏み切れない方が多いのではないかと懸念しています。


今回は、つみたてNISAとiDeCoの共通点、仕組みについて説明します。

 

「少額積立・長期運用」は共通

iDeCoとは「個人型確定拠出年金」、つみたてNISAは「少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度」となります。


いずれも「少額から積立を行い、長期で運用しながら老後に向け資産を増やしていく」という点では共通しています。

投資可能商品に違いはありますが、双方とも投資信託が主な運用方法となります。


また「運用益が非課税になる」という点も共通しており、双方の制度を利用するメリットの一つに挙げられています。

株式や投資信託など投資商品を売却した際に利益が出ていた場合、本来であれば20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が課税されます。

例えば、保有していた株式を売却し、運用益(値上がり益)が100万円であった場合、20万3150円が税金で徴収されます。

非課税でそのまま100万円受け取ることができるのか、税金徴収で79万6850円の受け取りになるのかは、大きな違いがあります。

 

つみたてNISAは20歳以上であれば利用可能

つみたてNISAはその年の1月1日で満20歳以上の個人であれば、どなたでも投資ができます(2023年1月以降は満18歳以上)。

投資期間は2042年まで25年間、新規の積立が可能となります。

年間40万円が投資額の上限となり、最長20年間投資することができます。投資額は累計で最大800万円(40万円×20年)となります。

最低の積み立て投資金額は金融機関によって異なりますが、毎月1回1000円以上1000円単位としている金融機関が多いようです。


その年に投資した商品は最長20年間非課税で保有することができます。

2022年に投資した場合、途中売却は可能であり、2041年まで保有することができます。



 

会社員は勤め先の年金制度を確認する必要あり

iDeCoは20歳以上から投資が可能となり、65歳まで掛金の拠出が可能となります。

掛金の拠出は月額5000円以上1000円単位となります。

最長75歳まで運用を行うことができます。 


ただし注意点があります。職業によって掛金拠出額の上限が異なります

特に会社員の方は、勤め先の企業で企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)や確定給付年金(DB)を実施しているかにより、拠出額の上限が異なります。



また勤め先が企業型DCを実施している場合、労使合意に基づく規約の定めにより企業型DCとiDeCoと併用が認められていなければ、iDeCoを利用することができません。


しかし、朗報があります。

2022年10月よりDC法が改正され、規約で企業型DCとの併用が認められていなくてもiDeCoに加入することができるようになります。

現時点(2022年7月)では加入は不可でも、同年10月からはiDeCoを利用することが可能となります。

 

まとめ

今回は、つみたてNISAとiDeCoの仕組みについて説明しました。

今後、制度のメリットや、利用を判断する際の考え方について説明したいと考えています。

投資信託を中心に少額積立で運用する点は共通していますが、投資可能期間や投資(掛金拠出)額の上限が異なることを認識しておいて下さい。

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日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

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