解説!つみたてNISAとiDeCo

素敵な老後を過ごすために積立投資を始めましょう

2023年が始まりましたが、投資は始められましたか?

運用商品の決定など投資の準備を進めていますか?


私も今年は、老後資産の形成のために投資額を増やそうかと考えています。

実は昨年秋、休暇を頂いて青森県の十和田湖と白神山地を散策するツアーに参加しました。

そのツアーで出会った70歳代の男性とお話する機会があり、その方は仕事をリタイアした後、様々なツアーに参加しているとのことでした。

その男性は、「現役時代は海外赴任もあり、本当に大変だったが、退職した今は旅行に参加したり、凄く楽しいんだ。苦労をかけた妻とも良い思い出作りが出来て、充実しています」と仰られていました。


この言葉を聞いた時に、「自分も仕事を頑張らなくてはいけない」と思ったのと同時に、「この方のように楽しい老後生活を過ごしたい」と強く思いました。

そのためには、積立投資を中心に将来のために資産形成を行う必要があると考えました。


つみたてNISAやiDeCoを利用しよう

貯金だけでは資産が増えづらいなか、皆さんも「お金を働かせなければならない」という発想を持ってください。

投資未経験者の方のみならず、すでに株式投資を行われている方も、投資信託を用いて積立投資を行うことをお勧めします。

出来れば、つみたてNISAやiDeCoを活用するのが望ましいです

「運用益が非課税」などのメリットがあり、運用資産が増えやすくなります。


積立投資では過度に単価下落を恐れる必要なし

といっても、2022年12月末から国内外の株式相場は不安定な展開が続いており、「投資する気分にはなれない」と考える方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、積立投資では、投資信託の単価の下落を過度に恐れる必要はありません


結論を先に述べますと、「積立投資では、単価の下落局面において購入数量が増加し、平均取得コストが抑えられる」という特徴があります。

積立投資は、ドルコスト平均法と呼ばれる「定期的に同じ金額で同じ金融商品を購入する」投資手法となります。

簡単に説明しますと、購入金額を変えずに金融商品を購入するため、単価の下落局面では購入数量が増加します。


実際、例を用いて説明します。

Aという投資信託に毎月1万円積立投資を行うとします。

単価は4カ月目まで下落が続き、5000円となりました。

5カ月目は単価が持ち直し、7000円となりましたが、最初の買い付け単価(1カ月目の単価)の1万円を下回っています。

ただし、評価損益を確認しますと、なんと「950円程度の評価益」が出ています。



下落局面にも関わらず利益が出ている要因には、上記で説明した「ドルコスト平均法」の効果が出ていることが挙げられます。

下落した後に単価が上昇すると、最初の買い付け価格を下回っている場合でも利益が出ることがあります。


参考までに評価益の計算方法を説明しますと、「直近の投資信託の単価」×「購入口数」-「購入金額」となります。

今回の例の計算方法に関しては、7000円(5カ月目の単価)×7.278(累計の購入口数)-50000円(積立金額1万円×5カ月分)=946円となります。


一括投資の場合は評価損が膨らむ可能性あり

一方、Aという投資信託を一括投資した場合の損益はどうなるでしょうか?


例えば、Aという投資信託を単価1万円で100万口購入します(買付手数料は無料)。

1カ月目に100万円投資した後は何もせず、単価の推移を確認します。

ちなみに単価の推移は、上記で説明した積立投資の単価推移と同様にします。



1カ月目の1万円から5カ月目に7000円まで下落したため、評価額は100万口×7000円=70万円となります。

つまり、買付金額(100万円)に対し、評価損益は30万円の損失となります。


積立投資は財形貯蓄のような感覚で

こうした例から、積立投資では過度に下落を警戒する必要はありません。

少なくとも一括投資を行った後に単価が急落した場合、「評価損失の拡大を嫌気し、商品を保有し続けることへの不安が強まる」状況には陥りづらくなります


ただし積立投資でも、売却を検討している際に単価が下落している場合は動向を注視する必要はあります。

一方、極端な表現かもしれませんが、積立投資は長期投資となるため、途中の単価下落は「資産が増加する機会が到来してラッキー」位の認識を持たれて良いと思います。


勤め先の財形貯蓄のような感覚で積立投資を行い、自動で掛金が引き落とされている位の捉え方で良いかもしれません。

長期の資産形成手段として積立投資、短中期の値上がり益を期待し株式投資を行うスタンスで運用を検討して良いのではないでしょうか。


積立投資は快適な老後生活を過ごすための資金形成手段として有効となるため、是非早いうちに積立投資を始めてみてください。

この連載の一覧
2025年の税制改正要望、NISA制度・投資関連のものには何がある?
【徹底解説】iDeCoによる節税は嘘と言われるのは本当?実際にシミュレーションしてみた
株価下落で「新NISAで損切り」が話題に!2024年の積立投資のリターンとは
新NISA、オルカン一択は止めた方が良い?ポートフォリオの理想と現実とは
「貯蓄から投資へ」が進まない理由とは?金融教育の義務化で今後は状況が変化する?
新NISAは何歳からできる?年齢制限はある?50代60代こそ始めるべき理由を解説
新NISAの口座変更手続きとは?体験談とともに解説
証券会社が潰れたら株やお金はどうなる? 新NISAの注意点とあわせて解説
人気のつみたてNISAファンド「iFree S&P500インデックス」と「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」を初心者向けに解説します
つみたてNISA【たわらノーロード】シリーズ解析!「全世界株式」と「先進国株式」を比較してみた
資産を育てるチャンス!新しいNISAで高配当株投資は本当にもったいない?
少額投資は意味がないって本当?3つのメリットとシミュレーション結果を徹底解説!
2023年に廃止されるジュニアNISAを賢く運用するコツは?注意点もあわせて解説
【2024年新しいNISA開始】2023年にNISAは始めるべき?メリット・デメリットを解説
資金流入額の多い投資信託は運用効率が良い!
インベスコ世界厳選株式オープンへの資金流入が目立つ
改めて開設手続きは必要?亡くなったらどうなる?新NISAのよくある質問にFPが回答!
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はどちらを選ぶべき?2つの銘柄を比較してみた
「eMAXIS Slim全世界株式」へのさらなる資金流入に期待!
初心者におすすめ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」について解説します!
新NISA、成長投資枠のファンド約1,000本が公表に!あの人気ファンドはどうなる?
企業型DCやiDeCoは転職後も持ち運びが可能!
2023年にNISAで投資する場合の注意点
【初心者向け】2024年以降の新NISAの特徴は? 現行NISAと併用は可能なの?違いについてカンタン解説!
NISAは60歳からでも出来る!一般とつみたての違いを知って老後資金を運用しよう
新NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットと選び方
1億総NISA時代にIFAが価値提供できるものは何か
2024年からNISA新制度で投資を始めようという方々に伝えたい複雑化するカントリーリスク
つみたてNISAに確定申告は必要?損失が出た場合の控除など詳しく解説
【確定申告】株の特定口座(源泉徴収あり)とは?取引口座別の確定申告方法とメリットについて
急落後に戻りが期待できる投資信託で運用しよう
本当に一時金形式で受け取った方が良いの?
退職所得控除の利用方法に注意すべき!
素敵な老後を過ごすために積立投資を始めましょう
つみたてNISAは一括購入できる?年間非課税枠を使い切る方法を詳しく解説
2024年から新NISAへ。生涯の投資プランを設計しよう
来年はインデックスファンドで積立投資をしよう
【つみたてNISA】初心者の買い方~SBI証券とゆうちょ銀行を例にはじめ方をご紹介~
残り約1年のジュニアNISAに注目集まる
【つみたてNISA】専業主婦にもおすすめの理由とは?一般NISAとの違いも解説
一般NISAとつみたてNISAを比べてみる ~金融庁「NISAの利用状況」から~
マッチング拠出とiDeCoの併用は不可!
給与受け取りか、企業型DCで運用するか!
企業型DCとiDeCoの併用が可能に!
NISAのロールオーバー(下)
つみたてNISAが利用できない?純金積立での投資をおすすめしない人の特徴5選
将来の資産形成のために積立投資をしよう!
NISAのロールオーバー(上)
換金自由度、それとも税制メリットを優先しますか!?
iDeCoの死亡一時金は受取人指定が可能
一時金、それとも年金受け取りが良い?
iDeCoの運用は投資信託を中心に!
NISAの恒久化は老後資金の獲得方法になるか
DC法改正を活かし受取資産を増やそう
iDeCoの掛金は毎月拠出が良い?それとも年払い?
値下がりはチャンス!ドルコスト平均法
積立投資の開始はお早めに!
積立投資では上昇局面で利益が膨らみやすい
3人に1人が積み立てなし? つみたてNISAの事実
積立投資での投資信託の単価下落は怖くない
iDeCoの金融機関選びはコスト面を重視しよう
「つみたてNISA」の9割に迫る、投資デビュー
iDeCoは引き出し制限に注意も節税メリットは魅力
つみたてNISAやiDeCoはどんな人が加入できるの?

日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

角屋 昌範の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております