2024年1月から開始される「新しいNISA」を利用して、高配当株の購入を検討している方も多いのではないでしょうか。配当金を非課税で受け取れるようになるため、高配当株投資は新しいNISAと相性が良いといえます。
ただし、非課税保有枠に上限があることを踏まえると、人によっては新しいNISAで高配当株に投資するのがもったいないと感じられるかもしれません。
本記事では、新しいNISAで高配当株に投資するのがもったいないと言われる理由を解説。さらに高配当株を所持する筆者が、新しいNISAの運用で意識したいポイントを紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
新しいNISAの概要
2024年1月1日に開始が予定される「新しいNISA」は、従来のNISAと比べて投資枠の拡大と非課税期間が無期限化されたため、大変扱いやすくなりました。
制度の概要は、以下画像を参考にしてみてください。
出典:金融庁「考えてみませんか!?“NISA”で資産形成!!」
成長投資枠のなかで高配当株を購入して、安定的に配当金が入る仕組みを構築しようと考える人も多いと思います。
新しいNISAで高配当株に投資するのはもったないと言われる理由
新しいNISAで高配当株に投資するのがもったいないと言われる理由は、配当金を使ってNISA枠へ再投資すると、投資枠を早く使い切る恐れがある点です。
長期投資において株式から得られる配当金を再投資するのは、複利効果を活かす意味で重要な考え方です。ただし、新しいNISAの非課税保有枠は最大でも1,800万円、成長投資枠は1,200万円に限られているため、投資枠を使い切ると追加入金はできません。
たとえば、成長投資枠で毎年4%の配当金を受け取れる高配当株を800万円買った場合、年間の配当は32万円です。当たり前の話ですが、配当金32万円分をNISA枠へ再投資すると、その分早く非課税保有枠を消費してしまいます。
配当金を必要としない人にとっては、新しいNISAでの高配当株投資は少し非効率に感じられるかもしれません。
ただし、高配当株自体は適切な銘柄を選んで運用を続ければ、安定的なリターンを得られる投資手法であることに間違いはないです。
つぎの章では、新しいNISAで高配当株投資を活用する方法について紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
新しいNISAで高配当株投資を活用するために意識したい3つのポイント
新しいNISAで高配当株投資を活用するために意識したい3つのポイントについて、本章で詳しく解説します。
1. 投資枠に余裕がある状態なら高配当株投資は問題ない
投資枠に余裕がある状態なら、高配当株投資を実践しても問題はありません。配当金を再投資に回しても、非課税保有枠を埋め切る心配がないからです。
新しいNISAの非課税保有枠は1,800万円もあり、現役で働いている20~40代のうちは、上限まで使い切るのは難しい人が大半ではないでしょうか。
まずは余剰資金で高配当株を買い付けて、資産を着実に増やすことに注力するのが大切です。
2. 複利効果を活かすなら配当は再投資に回したほうがいい
複利効果を活かすなら、配当は再投資に回したほうが最終的なリターンは増加します。参考までに「日本高配当株投信」チャートを参考にしてみてください。
赤い線(基準価格)と青い線(配当を再投資した基準価格)を比べると、青い線のほうが大きなリターンを得られています。
新しいNISAの非課税保有枠に限りはありますが、配当金は再投資に回して最短で投資枠を使い切ったほうが最終的なリターンを増やせます。
3. 非課税保有枠を使い切ったあとの配当金の用途を決めておく
新しいNISAで高配当株を運用するときに重要なポイントは、非課税保有枠を使い切ったあとの配当金の用途を決めておくことです。
人によって運用の目的が異なると思いますが、配当金を使って趣味や旅行を楽しんだり、課税口座を開設して運用額を増やしてみたりするのもいいでしょう。
配当金の使い方に正解はないので、資産運用の目的にあわせて用途を検討してみてください。
新しいNISAで購入する商品は自身の投資戦略で決めるのが大切
新しいNISAで高配当株に投資するのは、配当を再投資したときに非課税保有枠の消費を早める意味で、少しもったいないと感じる人もいます。
しかし、高配当株自体は配当金による安定的な収益を確保できるため、中長期の資産運用において優れた投資手法であることに違いはありません。
筆者はすでに複数の高配当株を所持していて、成長投資枠の一部は高配当株を購入する予定です。
投資戦略に合わせて、最適な金融商品を購入しましょう。