解説!つみたてNISAとiDeCo

iDeCoの掛金は毎月拠出が良い?それとも年払い?

経済状況に応じて掛金拠出額の設定可能

iDeCoの掛金は毎月5000円以上1000円単位で拠出が可能となります。

ただし職種により掛金拠出額の上限があります。



また掛金は毎月拠出する方法以外に、年払いや半年払いも可能となります。

つまり経済状況に応じて掛金を設定することが可能となります。

例えば、ボーナス時に通常時と比べ掛金を増額し、年間の掛金拠出額の上限を使い切ることもできます。



年払いや半年払いでは年間計画の設定が必要

掛金を年単位で拠出したい場合、事前に拠出の年間計画を設定し「加入者月別掛金額登録・変更届」を作成する必要があります。

ただし毎月掛金を拠出する場合、「加入者月別掛金額登録・変更届」の作成は不要となります。


iDeCoでは基本的に翌月の26日に口座振替で納付することから、12月分から翌年11月分までの掛金(実際の納付月は1月~12月)の拠出期間を1年とします。

この1年間で任意に掛金を拠出する月を決定します。


例えば、納付月は年1回(12月)、年2回(6月と12月)とするなど、自由に設定することができます。

この任意に区分した期間を「拠出区分」といい、1年に1回のみ掛金額および拠出区分の変更が可能となります。

 

拠出区分の掛金拠出額の上限について

拠出区分の掛金拠出額の上限は、「拠出区分の月数×1カ月当たりの上限(職種によって異なる)」となります。


例えば、確定給付型の企業年金や企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入していない企業の会社員の場合、1カ月あたり2.3万円が上限となります。

年2回(6月と12月)、掛金を拠出する場合、6月の掛金拠出の上限は「2.3万円×6カ月=13.8万円」となります。


また6月の実際の掛金拠出額が12万円(上限:13.8万円)とした場合、次の拠出区分(12月)の掛金拠出の上限は15.6万円(7-12月の掛金拠出額の上限13.8万円+6月の繰り越し分1.8万円)となります。


つまり、実際の掛金拠出額が拠出区分の上限より少額であった場合、その差額を次回以降の拠出区分に繰り越し、掛金拠出額の上限に上乗せすることができます。

ただし翌年以降に繰り越すことはできません



年払いのメリットとデメリット

iDeCoの場合、掛金を拠出する際、国民年金基金連合会に1回につき105円の手数料を支払います

毎月掛金を拠出する場合、年間1260円(105円×12カ月)の手数料がかかります。

そのため年払い(年1回)にすれば105円半年払い(年2回)にすれば210円と手数料を減額することができます。

 

一方、年払いや半年払いでは、ドルコスト平均法のメリットを受けづらくなります

ドルコスト平均法では、特に投資信託の単価が下落した場合、購入数量が増加し平均取得単価は低下する傾向にあります。売り一巡後に単価が上昇すれば、利益が増えやすいというメリットがあります。

そうしたメリットを受けづらくなるほか、高値掴みをしてしまう(平均取得単価が高くなる)リスクがあります。

 

あくまでも個人的な見解ですが、主に投資信託で運用を行う場合、ドルコスト平均法のメリットは大きいことから、掛金の拠出頻度は多い方が良いと考えています。

手数料を気にするのであれば、納付ペースを毎月ではなく、2カ月に1回、3カ月に1回にして良いと考えています。


その一方、ある程度運用益を確保し、保険や定期預金など元本確保型商品で主に運用する場合、年払いした方が良いと考えています。

運用方法次第で毎月拠出にするか、年払い・半年払いにするか使い分けてみてください。

この連載の一覧
2025年の税制改正要望、NISA制度・投資関連のものには何がある?
【徹底解説】iDeCoによる節税は嘘と言われるのは本当?実際にシミュレーションしてみた
株価下落で「新NISAで損切り」が話題に!2024年の積立投資のリターンとは
新NISA、オルカン一択は止めた方が良い?ポートフォリオの理想と現実とは
「貯蓄から投資へ」が進まない理由とは?金融教育の義務化で今後は状況が変化する?
新NISAは何歳からできる?年齢制限はある?50代60代こそ始めるべき理由を解説
新NISAの口座変更手続きとは?体験談とともに解説
証券会社が潰れたら株やお金はどうなる? 新NISAの注意点とあわせて解説
人気のつみたてNISAファンド「iFree S&P500インデックス」と「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」を初心者向けに解説します
つみたてNISA【たわらノーロード】シリーズ解析!「全世界株式」と「先進国株式」を比較してみた
資産を育てるチャンス!新しいNISAで高配当株投資は本当にもったいない?
少額投資は意味がないって本当?3つのメリットとシミュレーション結果を徹底解説!
2023年に廃止されるジュニアNISAを賢く運用するコツは?注意点もあわせて解説
【2024年新しいNISA開始】2023年にNISAは始めるべき?メリット・デメリットを解説
資金流入額の多い投資信託は運用効率が良い!
インベスコ世界厳選株式オープンへの資金流入が目立つ
改めて開設手続きは必要?亡くなったらどうなる?新NISAのよくある質問にFPが回答!
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はどちらを選ぶべき?2つの銘柄を比較してみた
「eMAXIS Slim全世界株式」へのさらなる資金流入に期待!
初心者におすすめ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」について解説します!
新NISA、成長投資枠のファンド約1,000本が公表に!あの人気ファンドはどうなる?
企業型DCやiDeCoは転職後も持ち運びが可能!
2023年にNISAで投資する場合の注意点
【初心者向け】2024年以降の新NISAの特徴は? 現行NISAと併用は可能なの?違いについてカンタン解説!
NISAは60歳からでも出来る!一般とつみたての違いを知って老後資金を運用しよう
新NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットと選び方
1億総NISA時代にIFAが価値提供できるものは何か
2024年からNISA新制度で投資を始めようという方々に伝えたい複雑化するカントリーリスク
つみたてNISAに確定申告は必要?損失が出た場合の控除など詳しく解説
【確定申告】株の特定口座(源泉徴収あり)とは?取引口座別の確定申告方法とメリットについて
急落後に戻りが期待できる投資信託で運用しよう
本当に一時金形式で受け取った方が良いの?
退職所得控除の利用方法に注意すべき!
素敵な老後を過ごすために積立投資を始めましょう
つみたてNISAは一括購入できる?年間非課税枠を使い切る方法を詳しく解説
2024年から新NISAへ。生涯の投資プランを設計しよう
来年はインデックスファンドで積立投資をしよう
【つみたてNISA】初心者の買い方~SBI証券とゆうちょ銀行を例にはじめ方をご紹介~
残り約1年のジュニアNISAに注目集まる
【つみたてNISA】専業主婦にもおすすめの理由とは?一般NISAとの違いも解説
一般NISAとつみたてNISAを比べてみる ~金融庁「NISAの利用状況」から~
マッチング拠出とiDeCoの併用は不可!
給与受け取りか、企業型DCで運用するか!
企業型DCとiDeCoの併用が可能に!
NISAのロールオーバー(下)
つみたてNISAが利用できない?純金積立での投資をおすすめしない人の特徴5選
将来の資産形成のために積立投資をしよう!
NISAのロールオーバー(上)
換金自由度、それとも税制メリットを優先しますか!?
iDeCoの死亡一時金は受取人指定が可能
一時金、それとも年金受け取りが良い?
iDeCoの運用は投資信託を中心に!
NISAの恒久化は老後資金の獲得方法になるか
DC法改正を活かし受取資産を増やそう
iDeCoの掛金は毎月拠出が良い?それとも年払い?
値下がりはチャンス!ドルコスト平均法
積立投資の開始はお早めに!
積立投資では上昇局面で利益が膨らみやすい
3人に1人が積み立てなし? つみたてNISAの事実
積立投資での投資信託の単価下落は怖くない
iDeCoの金融機関選びはコスト面を重視しよう
「つみたてNISA」の9割に迫る、投資デビュー
iDeCoは引き出し制限に注意も節税メリットは魅力
つみたてNISAやiDeCoはどんな人が加入できるの?

日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

角屋 昌範の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております