解説!つみたてNISAとiDeCo

「eMAXIS Slim全世界株式」へのさらなる資金流入に期待!

早いもので2023年も7月に入り、後半に突入しました。

国内外ともに総じて株式市場は堅調に推移したこともあり、私の周りでも投資信託や株式など投資を行う人が増えたように思えます。


投資信託協会のデータによると、2023年1月から6月までの資金流出入ランキング上位には、株式型の投資信託がランキングしています。

1位は「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」、2位には「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」と、三菱UFJ国際投信が運用しているeMAXIS Slimシリーズが上位を占めました。



eMAXISシリーズは信託報酬などコストが低く、特に上記の投資信託はつみたてNISAの投資先として人気が高い商品となります。


「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」はアップルやアマゾンなど世界を代表する米国企業に投資しており、米国株式市場が堅調に推移したことなどが資金流入につながったとみられます。


資金流入に伴い、どちらのファンドも純資産増額が順調に増加しています。

純資産額が大きいメリットとして、(1)繰り上げ償還のリスクが小さい(2)規模効果から信託報酬が引き下げられる可能性がある、が挙げられます。


(1)に関して、繰り上げ償還とは「投資家の換金などに伴い、ファンドの規模が一定の水準を下回るなど運用会社が効率的な運用ができないと判断した場合、当初予定していた期限を繰り上げて償還すること」となります。


(2)に関して、実際に「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)」では2023年5月11日より、信託報酬は0.1144%から0.1133%に引き下げられました。

インデックスファンドの信託報酬の平均値の0.38%(投資信託協会のデータ)を大幅に下回っています。


eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)に注目

今回は「eMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)(以下、同ファンド)に注目します。

同ファンドは国内、先進国、新興国など「全世界の株式」を投資対象とするインデックスファンドとなります。


MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動することを目指しています。

同指数は、世界的な有名な米国MSCI社が提供している株価指数となり、世界株投資のベンチマーク(運用指標の基準)として用いられている指標となります。


同ファンドの特徴として、新興国を含む様々な国の株式に投資しており、投資対象国を分散させることでリスクの低減を図っています。

また投資先企業に関しても、アップルやアルファベットなど優良企業に投資しています。




現在は先進国株式(特に米国)への投資比率は高いですが、今後経済動向次第では組み入れ銘柄の入れ替えを行うことも想定され、新興国への投資比率が高まる可能性があります。


自動的に多数の国・地域、銘柄に分散した投資を実現しており、投資初心者でも安心して投資できるファンドとの見方などから資金が流入しているとみられます。


2020年初以降は良好なパフォーマンスが続く

運用パフォーマンスに関しては、2020年初に新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界経済が急速に悪化した影響を受け、基準価額はスタート時の基準価額(1万円)を下回りましたが、その後は右肩上がりで上昇するなど堅調に推移しています。


同ファンドと代表的な資産クラスの5年間(2018年4月末~2023年3月末)における1年間ごとの騰落率を比較すると、同ファンドの最大値は+56.5%と新興国株式の+62.7%に及びませんが、平均値は+12.2%と新興国株式の平均値(+5.9%)を上回っており、安定的に上昇していることがわかります。


また最小値を比べると、どの資産クラスよりも下落率は低いことがわかります。

運用パフォーマンスの特徴としては、リスクの割にリターンが高く、効率の良い投資が出来ているといえます。



投資の入り口商品として資金流入が見込まれる

同ファンドの特徴として、(1)コスト(信託報酬)が安い(2)全世界株式への投資で分散投資を図っている(3)リスクリターンの観点から効率の良い投資ができている、ことが挙げられます。


また同ファンドは「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year 2022」で1位を獲得しました。

総じて評判は良く、多くの個人投資家から支持されている商品となります。


投資初心者でも投資しやすいことから、「まずは同ファンドを買い付けしよう」と考える投資家が多く、投資の入り口商品として認識されているようです。

2024年1月から新しいNISA制度が開始されますが、上記の特徴などが魅力となり、同ファンドへのさらなる資金流入が見込まれると考えています。

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日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

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