株で儲けが出たら、確定申告して納税する義務があります。しかし「特定口座(源泉徴収あり)」で株の取引をしている場合は、確定申告が不要だということはご存知でしょうか?取引口座の違いによる確定申告の方法を詳しく解説します。
特定口座とは?
株の取引を行うためには、証券会社で証券口座を開設する必要があります。証券口座には、特定口座(源泉徴収あり)と特定口座(源泉徴収なし)、一般口座、NISA口座の4種類があります。
特定口座とは、本来口座を開設した本人が行うべき株式売買の記録や損益計算を、証券会社が代わりに行ってくれる口座のことです。ただし、特定口座で取引できる株式投資の商品は、上場株式に限られます。
特定口座(源泉徴収あり)の確定申告
源泉徴収とは、利益から予め支払い義務のある税金を差し引いた残高が支払われ、差し引かれた税金は支払者が代わりに納税することです。会社員が毎月給与から所得税や住民税を差し引かれた残高が、手取りとして振り込まれるのと同じですね。
例えば、特定口座(源泉徴収あり)の口座で取引し10万円の利益が発生した場合、証券会社から約8万円が振り込まれ、税金として約2万円は証券会社が代わりに支払ってくれます。つまり、個人で確定申告をし納税する必要はありません。
特定口座(源泉徴収あり)で確定申告するメリット
本来は確定申告する必要はありませんが、株式投資で損失が出た場合や、利益が20万円以下の場合は、確定申告することで払いすぎた税金が還付される可能性があります。会社員が年末調整で払いすぎた税金を返還してもらえるのと似たようなものだと思ってください。
特定口座(源泉徴収なし)の確定申告
源泉徴収なしということは、証券会社が代わりに納税してくれないので、個人で確定申告して納税する必要があります。ただし、株式投資を含め、給与以外の所得が合計20万円以下の場合は、確定申告する必要はありません。
特定口座は、株式投資の売買記録や損益計算をし、確定申告に必要な「特定口座年間取引報告書」を作成してくれます。記載された情報通りに確定申告書を記入するだけで、簡単に手続きが可能です。
特定口座(源泉徴収なし)で確定申告するメリット
特定口座(源泉徴収なし)での投資は、基本的に確定申告が必要ですが、給与以外の所得が合計20万円以下の場合は確定申告する必要はありません。この場合でも、投資によって損失が出ている場合は、損益通算や翌年以降に損失の繰越控除が受けられるので、確定申告した方がおすすめです。
一般口座とは?
一般口座は、特定口座のように証券会社が代わりに株式売買の記録や損益計算をしてくれるサービスはありません。そのため、一般口座で株式投資を行うのであれば、個人で損益計算を行い、確定申告することが必要です。
特定口座と比べて、自分自身で損益計算をしなければならない手間がかかるので、デメリットしかないように感じますよね。しかし、非上場株式は一般口座でしか購入できないので、上場していない株式に投資したい場合は、一般口座を選択する必要があります。
一般口座の確定申告
一般口座は、特定口座のように証券会社が代わりに株式売買の記録や損益計算をしてくれるサービスはありません。そのため、一般口座で株式投資を行うのであれば、個人で損益計算を行い、必要な情報を確定申告書に記載して税務署へ提出することが必要です。
ただし、会社で年末調整されており、給与以外の利益が20万円以下の場合または、年金支給額が400万円以下で利益が20万円以下の場合は、確定申告する必要はありません。
証券会社が「特定口座年間取引報告書」を作成してくれるサービスはありませんが、楽天証券など、年間損益計算をまとめた金額を確認できるサービスを行っている証券会社もありますので、一度確認してみてください。
NISA口座とは?
NISA口座とは、対象商品への少額投資によって得た利益にかかる税金が非課税となる口座です。「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、種類によって対象商品や非課税期間、投資最大金額などが異なります。
NISA口座の確定申告
種類に関わらず、NISA口座で取引した投資はどれだけ利益が出ても非課税なので、確定申告の必要がありません。ただし、証券会社を経由せずに銀行や郵便局で直接配当金を受け取る設定にしていると、確定申告しなければならないので、注意してください。
おすすめの取引口座
確定申告の手間を無くしたいのであれば、証券会社が納税を代わりに行ってくれる特定口座(源泉徴収あり)が最もおすすめです。ただし、年間の利益が20万円以内だった場合は、本来支払わなくてもよい税金を無駄に支払ってしまうことになります。
利益が20万円を下回る投資を行うのであれば、特定口座(源泉徴収なし)が最もおすすめです。確定申告の必要がなく、支払う必要のない税金を無駄に払うリスクもありません。
まとめ
面倒な確定申告はなるべくしたくないですよね。しかし、確定申告することで払いすぎた税金が還付されたり、今年の損失が翌年の利益の控除に繋がったりすることもあります。損益計算を確認し、必要であれば必ず確定申告するようにしてください。