解説!つみたてNISAとiDeCo

iDeCoの死亡一時金は受取人指定が可能

iDeCoでの老齢給付金の支給方法は、一時金形式(一括での受け取り)年金形式(分割での受け取り)があります。

またiDeCoの加入者が亡くなった場合、遺族に死亡一時金が支払われます

死亡一時金は一時金形式(一括での受け取り)のみとなります。

今回は死亡一時金の特徴について説明します。

 

兄弟姉妹や親族も受け取り可能

死亡一時金の受け取りの特徴として、(1)兄弟姉妹や親族(加入者の収入で生計を維持していた場合)の受け取りが可能、(2)加入者が事前に受取人を指定することが可能、という点になります。

遺族基礎年金を受給できる遺族は「子」「子のある配偶者」、遺族厚生年金(会社員や公務員など第2号被保険者の場合)では優先順位の上位から、①配偶者、子、②父母、③孫、④祖父母、が受給対象となります。

※子は「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」「障害等級1級または2級に該当する20歳未満の子」が対象。

兄弟姉妹や親族に受給権はありません


一方、iDeCoでは「配偶者(事実婚含む)」「子」「父母」「孫」「祖父母」「兄弟姉妹」もしくは「親族(加入者の収入で生計を維持していた場合)」が対象となります。

事実婚のパートナーも配偶者に含まれます。

 

受取人指定が可能

加入者は死亡一時金の受取人を指定することができます。

受取人を指定していなければ、以下の優先順位で遺族に死亡一時金が支給されます。



配偶者以外は加入者の収入で維持されていた者が優先されます。

また同じ優先順位の遺族が複数人いる場合(例:子供が2人以上)、死亡一時金の総額を人数で等分する必要があります。


 


ただし受取人を指定しておけば、優先順位に従う必要はありません。

死亡一時金を受け取ってほしい人に支給したい場合、事前に受取人を指定しておきましょう。

運営管理機関で受取人を指定する手続きを行ってください。

 

3年以内であれば非課税限度額の利用が可能

加入者が死亡した場合、死亡一時金は自動的に支給されません。

遺族が運営管理機関に加入者が死亡したことを連絡し、死亡一時金の裁定請求に関する書類を作成し、提出する必要があります。


請求手続きはお早めに実施することを勧めます。

死亡一時金はみなし財産の扱いとなるため、相続税の対象となります。

加入者の死亡日から3年以内であれば、非課税限度額「500万円×法定相続人の数」の枠を利用することができます


例えば、法定相続人が4人(例:配偶者、子供3人)いる場合、500万円×4人=2000万円が非課税限度額となります。

死亡一時金が1800万円だった場合、非課税限度額(2000万円)以下となるため、相続税は発生しません。

 

5年以上経過で死亡一時金の請求不可

3年を経過してから死亡一時金を受け取った場合、受取人の一時所得とみなされます。

相続税は発生しませんが、所得税が課されます。


さらに加入者の死亡日から5年以上遺族から請求がない場合死亡一時金を受け取ることができる遺族はいないものとみなされ、死亡した加入者の相続財産となります。相続財産の扱いとなれば、他の財産とあわせて遺産分割協議の対象。法的な相続の手続きが必要になります。



死亡一時金を受け取る可能性のある遺族の方は、加入者がiDeCoに加入していたか確認を行い、速やかに運営管理機関で請求手続きを進めることをおすすめします。

 

まとめ

iDeCoの死亡一時金では、加入者が事前に受取人を指定することができます。

生計を維持していた方など本当に必要な方に支給することができます。


また3年以内に請求すれば相続税の非課税限度額の枠を利用することができるため、相続税の負担を軽減させることができます。


いざという時にこれらのメリットを理解し、活用できるようにしておいてください。

この連載の一覧
2025年の税制改正要望、NISA制度・投資関連のものには何がある?
【徹底解説】iDeCoによる節税は嘘と言われるのは本当?実際にシミュレーションしてみた
株価下落で「新NISAで損切り」が話題に!2024年の積立投資のリターンとは
新NISA、オルカン一択は止めた方が良い?ポートフォリオの理想と現実とは
「貯蓄から投資へ」が進まない理由とは?金融教育の義務化で今後は状況が変化する?
新NISAは何歳からできる?年齢制限はある?50代60代こそ始めるべき理由を解説
新NISAの口座変更手続きとは?体験談とともに解説
証券会社が潰れたら株やお金はどうなる? 新NISAの注意点とあわせて解説
人気のつみたてNISAファンド「iFree S&P500インデックス」と「iFree 外国株式インデックス(為替ヘッジなし)」を初心者向けに解説します
つみたてNISA【たわらノーロード】シリーズ解析!「全世界株式」と「先進国株式」を比較してみた
資産を育てるチャンス!新しいNISAで高配当株投資は本当にもったいない?
少額投資は意味がないって本当?3つのメリットとシミュレーション結果を徹底解説!
2023年に廃止されるジュニアNISAを賢く運用するコツは?注意点もあわせて解説
【2024年新しいNISA開始】2023年にNISAは始めるべき?メリット・デメリットを解説
資金流入額の多い投資信託は運用効率が良い!
インベスコ世界厳選株式オープンへの資金流入が目立つ
改めて開設手続きは必要?亡くなったらどうなる?新NISAのよくある質問にFPが回答!
「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全米株式インデックス・ファンド」はどちらを選ぶべき?2つの銘柄を比較してみた
「eMAXIS Slim全世界株式」へのさらなる資金流入に期待!
初心者におすすめ「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim先進国株式インデックス」について解説します!
新NISA、成長投資枠のファンド約1,000本が公表に!あの人気ファンドはどうなる?
企業型DCやiDeCoは転職後も持ち運びが可能!
2023年にNISAで投資する場合の注意点
【初心者向け】2024年以降の新NISAの特徴は? 現行NISAと併用は可能なの?違いについてカンタン解説!
NISAは60歳からでも出来る!一般とつみたての違いを知って老後資金を運用しよう
新NISAとiDeCo、どちらを選ぶべき?それぞれのメリット・デメリットと選び方
1億総NISA時代にIFAが価値提供できるものは何か
2024年からNISA新制度で投資を始めようという方々に伝えたい複雑化するカントリーリスク
つみたてNISAに確定申告は必要?損失が出た場合の控除など詳しく解説
【確定申告】株の特定口座(源泉徴収あり)とは?取引口座別の確定申告方法とメリットについて
急落後に戻りが期待できる投資信託で運用しよう
本当に一時金形式で受け取った方が良いの?
退職所得控除の利用方法に注意すべき!
素敵な老後を過ごすために積立投資を始めましょう
つみたてNISAは一括購入できる?年間非課税枠を使い切る方法を詳しく解説
2024年から新NISAへ。生涯の投資プランを設計しよう
来年はインデックスファンドで積立投資をしよう
【つみたてNISA】初心者の買い方~SBI証券とゆうちょ銀行を例にはじめ方をご紹介~
残り約1年のジュニアNISAに注目集まる
【つみたてNISA】専業主婦にもおすすめの理由とは?一般NISAとの違いも解説
一般NISAとつみたてNISAを比べてみる ~金融庁「NISAの利用状況」から~
マッチング拠出とiDeCoの併用は不可!
給与受け取りか、企業型DCで運用するか!
企業型DCとiDeCoの併用が可能に!
NISAのロールオーバー(下)
つみたてNISAが利用できない?純金積立での投資をおすすめしない人の特徴5選
将来の資産形成のために積立投資をしよう!
NISAのロールオーバー(上)
換金自由度、それとも税制メリットを優先しますか!?
iDeCoの死亡一時金は受取人指定が可能
一時金、それとも年金受け取りが良い?
iDeCoの運用は投資信託を中心に!
NISAの恒久化は老後資金の獲得方法になるか
DC法改正を活かし受取資産を増やそう
iDeCoの掛金は毎月拠出が良い?それとも年払い?
値下がりはチャンス!ドルコスト平均法
積立投資の開始はお早めに!
積立投資では上昇局面で利益が膨らみやすい
3人に1人が積み立てなし? つみたてNISAの事実
積立投資での投資信託の単価下落は怖くない
iDeCoの金融機関選びはコスト面を重視しよう
「つみたてNISA」の9割に迫る、投資デビュー
iDeCoは引き出し制限に注意も節税メリットは魅力
つみたてNISAやiDeCoはどんな人が加入できるの?

日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

角屋 昌範の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております