「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はスカイマーク(9204)をみていきます。
同社は業績悪化による経営破綻を受けて15年3月に上場廃止となりました。その後、投資ファンド、インテグラル傘下で経営再建を進め、2022年12月に東証グロース市場に再上場しています。
業績については、新型コロナの影響で赤字に転落していましたが、23.3期は3期ぶりに営業黒字を達成。経済再開によりさらなる業績回復が見込まれます。
では、上場からの株価の動きを振り返ります。
スカイマークの株価推移(上場から4カ月)
2022年12月14日に上場した同社の初値は、公開価格1170円を大きく上回る1230円でした。
再上場のファンドの出口案件であることから、当初は公開価格割れの可能性も指摘されていました。しかし、仮条件決定時、公開価格決定時に国内外の配分が見直され、海外販売株数が当初の合計1438万1000株から合計1917万4600株まで引き上げられました。海外勢の強気スタンスが確認できたことなどが、高い初値につながったと考えられます。
その後も堅調な値動きが続き、12月19日には1545円まで上昇。これが上場来高値となっています。翌年1月に一時的に1200円台まで下落する場面はありましたが、すぐに切り返し、株価は1400円どころの推移が続きました。
この流れが変えたのが2月3日の23.3期第3四半期の決算発表です。23.3期3Q累計の営業損益は32.3億円の黒字(前年同期は113.3億円の赤字)となり、通期の会社計画31.4億円を3Q時点で上回りました。
好調な業績が確認できたものの、通期計画が据え置かれたことが失望につながり株価は急落。ここから下落基調となり、3月には1135円まで株価は下落しました。
【スカイマークの日足チャート(2022年12月~2023年3月)】
スカイマークの株価推移(2023年4月~5月31日)
3月の安値からの切り返しの動きは長続きせず、再び株価は下落基調となり、4月21日に上場来安値となる1058円をつけました。ただ、ここから株価は切り返しの動きとなります。
5月15日には23.3期の通期の決算を発表。翌日の株価はスタートこそ大きく下落しましたが、前日比プラスまで切り返し、高値引けとなりました。17日には久しぶりに終値で1300円台をつけました。
24.3期通期の営業利益予想は56.0億円(前期比62%増)と大幅な増益を見込んでいるものの、経済再開による業績の急拡大を見込んでいた投資家にとっては、物足りないものだったため、売りが先行したと考えられます。ただ、決して悪い決算ではなかったので、その後にしっかり買いが入ったと考えます。
同社は2023 年度の旅客需要見通しにおいて、旅客数はコロナ前の 2018 年度比で109%としています。この見通しについて、「保守的なのか、意欲的なのか」との質問が決算説明会で出たのですが、それに対して次のように回答されています。
「2018年度は当社の機材数は27機でしたが、現在は、機材数が2機増加して29機となっていること、また、羽田発着枠も2枠追加取得し事業規模が拡大していることから、109%の見通しは十分達成できる数字だと考えています。」
このように「十分達成できる」と自信を示していますので、意欲的というよりも保守的な見通しと思われます。
【スカイマークの日足チャート(2023年4月~5月31日】
今後の株価は?
通期の決算発表を通過し、株価は1200円どころで推移しています。経済再開による需要回復などもあり、業績の拡大期待は高まっています。それに伴い株価も一段高といきたいところですが、懸念もあります。
それは6月11日に上場から180日が経過し、ロックアップが解除されるという需給イベントがあることです。
インテグラル系やUDSエアライン投資事業有限責任組合、ANAHDの持ち株がその対象となります。なお、UDSエアライン投組はインテグラルとANAHD、および日本政策投資銀行と三井住友銀行が折半で出資したファンドです。
インテグラル系とUDSエアライン投組は2000万株弱保有しているとみられます。どちらも上場時に売り出しを行っていますので、追加売却が警戒されます。ただ、業績回復期待もありますので、売り急いでくることはないと思います。
上値は重くなる可能性はありますが「安いところは拾うチャンス」とみて、押し目を狙ってみるのも良いと考えます。