「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はINGS<245A>をみていきます。
同社は、しょうゆラーメンの「らぁ麺はやし田」が主力のラーメン事業と、カジュアルイタリアンバル「CONA」と特製焼売を主軸商品とした大衆酒場「焼売のジョー」のレストラン事業を手掛けています。
ラーメン事業おいては、直営店の運営(直営店部門)とプロデュース店へラーメン食材販売や店舗運営のノウハウ提供など(プロデュース部門)を行っています。
レストラン事業においては、直営店の運営(直営店部門)とライセンス店へ「CONA」および「焼売のジョー」のライセンス貸与 (ライセンス部門)を行っています。
23.8期の売上高構成比は、ラーメン事業50.8%(直営店部門39.8%、プロデュース部門11.0%)、レストラン事業49.2%(直営店部門44.0%、ライセンス部門5.2%)と、ラーメン事業とレストラン事業はほぼ半々です。ただ、どちらの事業も直営店部門が主力となっています。
上場は2024年9月26日。新型コロナ収束後はラーメン株の人気が高まっており、初値高騰が期待されていました。では、実際にどのような株価の動きになったのか、INGSの上場からの株価の動きを確認します。
INGSの株価推移(上場から2024年11月6日まで)
同社の初値は2700円と公開価格1940円を大きく上回りました。初値形成後に2927円まで上値を伸ばしましたがその後失速し、上場初日の終値は初値と同値となる2700円となりました。
上場2日目も強い動きが続き、高値では3200円まで上昇しました。なお、上場2日目の高値3200円が上場来高値(2024年11月6日時点)となっています。
その後の株価は、2000円台後半での推移が続くことになりました。そして10月15日に上場後初の決算発表を迎えます。
発表された24.8期通期の営業利益は4.5億円(前の期比59.2%増)となりました。セグメント別では、ラーメン事業のセグメント利益は3.3億円(前の期比47.6%増)、レストラン事業のセグメント利益は1.2億円(前の期比2.0倍)となっています。
併せて発表した25.8期通期の営業利益予想は5.1億円(前期比12.4%増)でした。直営店ではラーメン事業7店舗、レストラン事業8店舗の計15店舗出店を計画し、プロデュース・ライセンス店では純増20店舗を計画。新規出店による増収を踏まえ、増益の見通しとしました。
この決算発表を受けた翌日の株価は急落。今期の利益成長率が鈍化する見通しだったことに加え、同社は株主優待制度について上場後早期に導入したいとの考えを示していたものの、今回の決算発表では株主優待制度の導入に関するリリースがなかったことが失望売りにつながったとみられています。
その後の株価は軟調な展開が続き、10月25日に安値2074円まで下落。これが上場来安値(2024年11月6日時点)となっています。その後に切り返す場面もありましたが続かず、足もとの株価は2000円台前半で推移しています。
【INGSの日足チャート(上場から2024年11月6日まで)】
今後について
同社は上場後早期に株主優待制度を導入したいとしていますが、上場は2024年9月26日、上場後初の決算発表は10月15日でした。さすがにこの期間では準備は難しかったと思われます。今回の決算発表において株主優待の導入に関する発表がなかったことを過度に悲観する必要はないでしょう。
11月8日の終値は2141円と初値2700円を大きく下回り、上場来安値2074円をやや上回る水準となっています。早期の株主優待導入期待がはく落し、株価が下落している状況をチャンスと考え、狙ってみるのも面白いと考えます。