あの株はいまいくら?

第14回「クラウドインテグレーター大手の日本ビジネスシステムズ ChatGPTで再注目?」

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は日本ビジネスシステムズ(5036)をみていきます。


同社はクラウドインテグレーター大手。主にマイクロソフト製品を扱っており、そのクラウドサービス「Azure(アジュール)」の最上位パートナープログラム「Azure Expert MSP認定」を取得しています。

23.9期上期の決算説明会資料には、エンタープライズでの活用を想定した、「ChatGPT」導入コンサルおよびアプリの提供を開始したとあります。さらに、ChatGPT に留まらずMicrosoft Cloud を軸とした、オフィスワークの生産性革新や開発自動化を狙うとしています。今後のさらなる業績拡大に期待したいですね。では、上場からの株価の動きを振り返ります。



日本ビジネスシステムズの株価推移(上場から4カ月)

2022年8月2日に上場した同社の初値は、公開価格760円(分割をそ及修正)を大きく上回る913.5円(分割をそ及修正)でした。クラウド製品「アジュール」に強く、今後の成長をイメージしやすかったこともあり、高い初値となりました。なお、上場来安値は上場初日の安値である901.0円(分割をそ及修正)です。


上場直後の8月9日に22.9期3Qの決算を発表。営業利益については通期計画に対する進ちょくが90%と良好でしたが、通期計画は据え置かれました。これが嫌気され、株価は急落。その後は1000円台前半での株価推移が9月末まで続きました。


10月からは決算期待もあり上昇基調へ。11月11日に発表された通期決算で、23.9期通期の営業利益予想は48.5億円(前年同期比20%増)と発表されました。これを受けて株価は大きく上昇し、2000円の大台を突破。11月16日には上場来高値2115円(分割をそ及修正)を付けました。


【日本ビジネスシステムズの日足チャート(2022年8月~2022年11月)】



日本ビジネスシステムズの株価推移(2022年11月~2023年2月)

2000円の大台突破で達成感が出たのか、その後の株価は1600円台まで下落。しかし、大きく売り込まれることはなく、底堅い推移が続きました。

決算期待から2000円の大台目前まで上昇する局面もありましたが、決算発表後は売られる展開。結局。1600円を下回る水準まで株価は下落しました。


【日本ビジネスシステムズの日足チャート(2022年11月~2023年2月)】



日本ビジネスシステムズの株価推移(2023年3月~2023年5月)

株価はその後やや水準を下げ1500円どころで推移していましたが、決算発表を受けて5月に急落しました。

5月8日に、同社は従来未定としていた23.9期通期の連結営業利益予想を46.7億円にすると発表。子会社化したネクストスケープの業績見込みなどを踏まえたとのことです。なお、通期の単体予想は48.5億円だったので、それを下回りました。

また、23.9期上期の連結営業利益も22.1億円と前年同期単体の25.5億円を下回りました。エンジニアスキルシフトや大型ライセンス契約獲得により、先行投資が増加したことが要因としています。

株価は決算発表を受けて売りが加速し、18日には1200円台まで下落しました。


【日本ビジネスシステムズの日足チャート(2023年3月~2023年5月)】


今後に期待

足元の株価は年初来安値水準にありますが、23.9期上期の売上高は466.1億円(前年同期単体は378.3億円)と大きく伸びています。また、営業利益が前年同期単体と比べて減益となったのは、先行投資が要因です。投資が利益に結び付いてくれば、増益基調に回帰することが期待されます。さらに、同社は「ChatGPT」導入コンサルを行っており、ChatGPT関連として物色される可能性もあります。


このように今後に期待できる点はありますが、これまで投資家の業績期待になかなか応えられなかったことも事実です。23.9期下期から24.9期上期にかけて利益を伸ばせるか、まずはそこに注目したいと思います。

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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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