「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はDAIWA CYCLE(5888 以下、ダイワサイクル)をみていきます。
関西・関東・中部の郊外ロードサイドを中心に大型の自転車専門店を展開するダイワサイクルは、2023年11月8日に東証グロースに上場しました。
初値については、吸収資金のサイズ的に需給懸念は乏しかったものの、コスト高とコロナ収束の逆風下のなかでの上場であるうえ、競合のあさひ(3333)の評価もそれほど高くないことから、小幅な上昇でのスタートが予想されていました。ではダイワサイクルの上場からの動きを見ていきます。
ダイワサイクルの株価推移(上場~2023年12月29日まで)
同社の初値は1800円と公開価格1610円を上回りました。上場初日は高値1959円まで一時上昇しましたが、その後は売りに押され結局終値は1677円と初値を下回りました。
上場2日目は反発しましたが、その後は売りに押され、一時的に公開価格を下回る場面もみられました。ただ、公開価格を下回る水準では買いが入り、公開価格をやや上回る水準での推移が12月中旬まで続きます。
この流れが変えたのが12月15日に発表した24.1期3Q累計の決算発表です。24.1期3Q累計の営業利益は7億2500万円(前年同期比16.8%増)と好調な着地になりました。24.1期通期の営業利益予想7億4900万円に対する進ちょくは96.9%と非常に順調に推移しています。
4Qについてですが、前期の4Qは大規模な店舗修繕の実施(約5300万円)や光熱費高騰などにより営業赤字となりましたが、今期は黒字となる可能性が高く、通期の着地は会社予想と同程度になると予想されます。
順調な業績推移が確認できたことから、決算発表後の株価は堅調に推移します。2000円の大台を突破し、12月26日には2239円まで上昇しました。
【ダイワサイクルの日足チャート(上場~2023年12月19日まで)】
ダイワサイクルの株価推移(2024年1月4日~3月11日まで)
2024年は年初から全体相場が堅調だったこともあり、同社株も2000円台で安定した値動きが続きます。一時的に2000円を下回る場面はあったものの、そこではしっかりと押し目買いが入っています。2月28日には2496円まで上昇し、それが上場来高値となっています。
【ダイワサイクルの日足チャート(2024年1月4日~3月11日まで)】
まとめ
24.1期3Qの決算では、売上高、営業利益ともに第3四半期過去最高を更新。また、店舗数も順調に増加しており、2023年10月末時点で計122店舗(直営116店舗、FC6店舗)となっています。今期(25.1期)も20店舗程度の出店が見込まれており、中期的には200店舗をめざすとしています。店舗数の増加に伴い、業績拡大が期待されます。
直近で注目されるのは、3月18日に予定する24.1期通期の決算発表において発表されるであろう25.1期の業績予想です。仮に、25.1期の会社予想の営業利益が10億円(24.1期会社予想比33.5%増)となれば、2ケタ億円到達で同社の評価が変わる可能性があります。なお、24.1期の会社予想の営業利益は7億4900円(前期比33.4%)となっていますので、24.1期会社予想並みの成長を実現できれば到達できる水準です。まあ、25.1期は難しいかもしれませんが、順調に店舗数を伸ばしていけば、営業利益10億円達成はそれほど遠くないと考えられます。
コロナ禍の反動や円安などによる原材料価格や運送コストの上昇といった逆風下の上場となりましたが、今後の安定成長を見込んで、中長期な目線で投資してみるのもよいと考えます。