「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はSansan(4443)をみていきます。
2019年6月19日に東証マザーズに上場したSansanは、ユニコーン企業(企業価値10億ドルを超える未上場企業)として上場が待望されていました。一方で、赤字上場のうえベンチャーキャピタルからの売り出し主体で出口色がかなり強かったこともあり、初値に関する見方は分かれていました。
では、Sansanの上場からの動きを見ていきます。なお、同社は2021年11月30日を基準日として、普通株式を1株につき4株の割合で分割しています。株価は分割を訴求修正しています。
Sansanの株価推移(上場から2021年11月まで)
2023年7月31日に上場した同社の初値は1190円と公開価格1175円をわずかに上回る水準での初値形成となりました。
ただ、初値が伸びなかったことで、セカンダリーは勢いづきました。寄り付き後は堅調に推移、終盤にさらに一段高となりストップ高となりました。そのまま一気に行きたいところでしたが、上場2日目は1472.5円まで上値を伸ばしましたが、結局終値は1367.5円となりました。上場の勢いに乗って大きく上昇とはいきませんでした。
その後、株価は8月までは1250円台をキープしていましたが、9月に入り公開価格1175円を下回り、10月18日には885円まで下落。そこから1年ほど900円~1500円でのボックス圏での動きが続きました。
流れが変わったのは、2020年9月。上場来高値を更新し、上昇基調が明確なものになりました。2021年1月14日には、21.5期上期(6-11月)の連結営業利益が6.9億円(前年同期比6.3倍)だったと発表。21.5期1Qの連結営業利益が1.9億円(前年同期比22.1%減)だったので、2Qはかなり利益が伸長しました。併せて、1月21日付けで東証マザーズ市場から同1部への市場変更を発表したこともあり、株価は急騰しました。
2021年8月にはビジネスチャット「Chatwork」が同社の提供する法人向けクラウド名刺管理サービスである「Sansan」の「オンライン名刺」機能と連携したと発表し、株価は動意付きました。さらに、2021年10月には11月30日を基準日として、普通株式を1株につき4株の割合で分割すると発表。これも支援となり、2021年11月16日に上場来高値3642.5円をつけました。
【Sansanの週足チャート(上場から2021年11月まで)】
Sansanの株価推移(2021年12月から2023年11月まで)
週足チャートをみていただいてわかるとおり、2021年12月から株価が急落しています。ただ、その形状は併せて掲載している同期間の東証マザーズ指数(現:東証グロース市場250指数)にかなり近くなっています。
同社は2021年1月に東証1部に市場変更しましたが、グロース株の代表格として認識されていたこともあり、マザーズ指数の構成銘柄から除外されても似たような動きとなったようです。言い換えれば、この下落は個別要因ではなくグロース株全般が売られたことに伴うものと考えることができます。
2022年~2023年にかけては本当にチャートの形状が似ています。業績に関しては、売上高は順調に伸びており、23.5期には通期で営業黒字転換を達成しています。なお、24.5期通期の会社計画の売上高は326億円~336億円(レンジ形式:前期比28%増~32%増)、調整後営業利益は12億円~18億円(レンジ形式:前期比31%増~96%増)となっています。
今期も好調な業績になることが見込まれているものの、株価は業績期待を反映しているようにはみえません。
【Sansanの週足チャート(2021年12月から2023年11月まで)】
【東証グロース市場250指数の週足チャート(2021年12月から2023年11月まで)】
今後について
業績については、前期に営業黒字転換、今期業績は上述したように大きく伸びると見込まれています。また、25.5期の市場コンセンサスの営業利益予想は22億円となっており(2023年12月7日時点)、来期も利益成長が続くと予想されています。
それに加え、米国では来年にも利下げが行われるとの期待が高まってきています。そうなれば金利上昇を背景としたグロース株売りの流れが変わることになりそうです。
同社の株価は足もと1500円どころで推移していますが、業績期待やグロース株の見直しなどの後押しがあれば、早期の2000円の大台回復は十分あり得えます。大きな流れの変化のタイミングはそれほど遠くないはないと考えます。