あの株はいまいくら?

第16回「完全栄養食の開発・販売のベースフード 利益率改善で黒字化なるか」

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はベースフード(2936)をみていきます。


完全栄養食品「BASE FOOD」シリーズのパスタやパン、クッキーを開発、販売している同社は2022年11月15日に東京証券取引所グロース市場に上場しました。

上場が承認された時点で、一部のアナリストから上場までたどり着けるか懸念する声がありました。これは赤字が続いていたことや、公開規模が70億円(想定価格で算出)と大きかったためです。

結局、仮条件は想定価格950円から大幅下振れとなる760円~800円のレンジで設定され、公開価格は仮条件の上限となる800円で決定。公開規模は当初の70億円から59億円まで下がりました。

では、ベースフードの上場後の株価の動きを見ていきたいと思います。



ベースフードの株価推移(上場から4カ月)

2022年11月15日に上場した同社の初値は、公開価格800円を大きく下回る710円でした。

上場にはたどり着きましたが、公開価格割れという、厳しいスタート。寄り付き後は乱高下となり、公開価格を上回る水準まで上昇する場面もありましたが、終値は702円と初値を下回りました。この上場初日につけた高値824円が上場来高値となっています。初値天井ではないですが、きれいな上場初日天井ですね。


その後の株価は下落トレンドとなり、2023年1月19日に上場来安値318円を付けました。3日前の1月16日に、23.2期3Q累計の連結営業損益が7.8億円の赤字(前年同期は0.6億円の赤字)だったと発表、営業赤字拡大が嫌気され売りが殺到し、株価は一段安となりました。

しかし、1月20日からは切り返しの動きとなります。赤字は拡大していますが、23.2期3Q累計の売上高が71.9億円(前年同期比92.0%増)と順調に増加していることが評価された可能性があります。その後も上昇が続き、2月後半には株価は500円台を回復、高いところで588円まで上昇しました。



【ベースフードの日足チャート(2022年11月~2023年2月)】



ベースフードの株価推移(2023年3月~6月8日)

2月後半に一時的に500円を超えたものの、その後は400円台前半まで下落。その水準での底堅い動きが続きました。


動きが変わったのは4月17日からで、今回も決算発表がきっかけとなりました。23.2期通期の売上高は98.6億円(前の期比77.8%増)、営業損益は9.7億円の赤字(前の期は4.5億円の赤字)となりました。そして、24.2期通期の売上高予想は160.8億円(前期比63.1%増)、営業損益予想は8.0億円の赤字としました。


大幅な増収に加え、赤字縮小見通しとなっていることが好感され、株価は4月19日に高値530円を付けましたが、すぐに失速。緩やかな下落基調となり、5月29日に安値390円をつけました。ただ、300円台では押し目買いが入り、足元の株価も400円台で推移しています。


【ベースフードの日足チャート(2023年3月~6月8日)】



今後の株価は?

同社は、23.2期は今後の業績拡大の準備として人員拡大をしたことや原価率が悪化したことにより、収益性は悪化したものの、23.2期4Qは営業利益率が改善しており、24.2期はさらに営業利益率が改善すると見込んでいます。


2023年5月に各商品の6-15%値上げを実施。そして24.2期について、上期は投資を一定かけるので赤字は出すものの獲得効率化や各種コストの改善を進めていき、下期には原価改善も含めたコスト改善の効果がより効いていてくると想定しています。


原材料費や燃料費の上昇は一段落しており、前期に比べればコストコントロールも行いやすくなっているはずです。営業利益率の改善により、同社が目標としている「25.2期の黒字化」の実現可能性が高まれば、株価の一段高はもちろん、上場来高値更新も視野に入ってくると考えます。


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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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