「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はビジネスコーチ(9562)をみていきます。
トップマネジメントからビジネスパーソンまでを対象としたビジネスコーチングおよび人的資本開発に関するプログラムの提供する同社は、2022年10月20日に東証グロースに上場しました。
ビジネスコーチングとは、「ビジネス目標を達成するために、クライアント(人と組織)の行動変容を支援する行為」であり、コーチング対象者(クライアント)がビジネス目標を達成するために、
(フェーズ1)自己の行動変容を実現する必要があることに気付く
(フェーズ2)目標として定めた行動変容を実践して効果があることを確認する
(フェーズ3)行動変容を継続し、定着させて成果につなげる
というプロセスをコーチが意図的に実現させる行為だとしています。
リスキリング(学び直し)関連として、注目度は高く、初値高騰が期待されていました。では、ビジネスコーチの上場後の動きを見ていきたいと思います。
ビジネスコーチの株価推移(上場から2022年12月)
2022年10月20日に上場した同社の初値は4155円と公開価格2070円を大きく上回りました。岸田政権の打ち出す政策への期待も追い風となりました。
しかし、ほぼ初値天井となり、そこから下落トレンドとなりました。2022年11月10日には通期の決算を発表し、22.9期の営業利益が会社計画を上回りましたが、23.9期の営業利益予想が小幅ながら減益だったことから、売りでの反応となりました。
12月に入り株価は2000円の大台割れとなり、年末には1500円を下回る場面もありました。
【ビジネスコーチの日足チャート(上場から2022年12月)】
ビジネスコーチの株価推移(2023年1月~2023年7月31日)
2023年に入り株価はいったん反発となります。1月はリスキリング関連とされるプログリット(9560)も大きく上昇していました。リスキリング関連全体に物色の矛先が向かっていたと考えられます。
2月10日には23.9期1Q決算を発表。23.9期1Qの営業利益は3200万円となり、上期の営業利益予想5500万円に対しては、良好な進ちょくとなりました。しかし、材料視されず、株価は売りでの反応となり、一時1500円を割り込みました。その後は徐々に水準を切り下げ、5月16日に上場来安値1419円をつけました。ただし、ここを底に株価は上昇基調となります。きっかけは決算です。
5月21日に23.9期上期の決算を発表。23.9期上期の営業利益は6100万円と小幅ながら会社計画の5500万円を上回りました。また、1対1型サービスの増大などにより上期の売上高が予想を上回ったことも好感されたようです。
株価は7月に1917円まで上昇しますが、戻り待ちの売りに押され、徐々に水準を切り下げます。その後、1700円どころで底堅く推移しています。
【ビジネスコーチの週足チャート(2023年1月~2023年7月25日)】
今後について
23.9期上期の経費負担の増加は計画通りとのことです。もともと今期は下期偏重の利益予想。そのような状況でも上期が上振れ着地となったことは評価できます。通期のさらなる上振れにも期待したいところです。
また、来期(24.9期)は今期の上期に発生していた一過性費用(上場関連および本社移転費用)がなくなると想定されます。24.9期の会社計画が大幅な増益となれば、2000円の大台回復も十分あり得ます。
同社にはリスキリング関連という追い風もあります。長期視点での投資対象として考えてみても面白いと考えます。