「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はサスメド(4263)をみていきます。
デジタル治療(DTx)ベンチャーである同社は2021年12月24日に東証マザーズに上場しました。なお、市場再編後は東証グロース上場となっています。
同社の上場は、開発中の不眠治療用アプリの承認申請の見通しがたったタイミングとなりました。ただ、アプリどころかシステム販売も実績なしの段階であり、不眠治療のマーケットは大きいとはいえ、アナリストの見方が分かれる案件でした。
では、サスメドの上場後の動きを見ていきたいと思います。
サスメドの株価推移(上場から2022年12月まで)
2021年12月24日に上場した同社の初値は、公開価格1410円を上回る1500円となりました。
同日7社上場だったことや、赤字のグロース株に買いが入らない状況が続いていたこともあり、公開価格割れ懸念も出ていましたが、しっかりとした初値形成となりました。
初値形成後は順調に買い上げられ、一時ストップ高まで上昇。張り付くことはありませんでしたが、終盤も値崩れせず高値圏で引けました。
上場2日目は前日の反動で大幅安となりますが、上場3日目は「自社で開発を行う不眠症治療用アプリについて、塩野義製薬(4507)と販売提携契約を締結した」との発表を受けて急騰となりました。上場4日目は大幅高からのスタートとなりましたが、上げ幅を縮小して引けました。上場4日目の始値2500円が上場来高値となっています。
その後の株価は、公開価格の1.5倍(2115円)でロックアップ解除となる株数が387万7500株あったことから、2115円近辺で上値が抑えられる展開となりました。そこを明確に上抜けることができなかったことが響いたのか、株価は下落基調となり、2022年6月28日には688円まで下落しました。これが上場来安値となっています。
6月に底を打ってからは上昇基調に転換しました。さすがに公開価格の半値水準は安すぎると感じる投資家が多かったのでしょう。そして、12月に株価は急騰。厚生労働省が12月19日に、薬事・食品衛生審議会プログラム医療機器調査会を開き、同社の不眠障害治療用アプリの承認の可否を審議すると報じられたことが、材料視されました。しかし、上昇は続かず、その後は材料出尽くしで売られる展開となりました。
【サスメドの週足チャート(上場から2022年12月まで)】
サスメドの株価推移(2023年1月~2023年8月16日)
2023年に入り株価は堅調に推移。「上げて下げて」を繰り返していますが、下値を切り上げています。
そして、2月16日に厚生労働省より不眠障害治療に用いるアプリの医療機器製造販売承認を取得したことを発表しました。上場時から期待されていましたので、よくやくといったところです。
2月24日には、不眠障害治療に用いるアプリ「サスメド Med CBT-i 不眠障害用アプリ」に関する特許について、欧州特許庁より特許査定を受けたと発表しました。これまでに日本、米国、韓国、インドネシアで特許が成立しており、欧州での特許査定は、同治療用アプリの知財基盤を強化するものとしています。
8月10日には23.6期通期の決算を発表。事業収益は5.3億円(前期比67.5%増)、営業損益は4800万円の赤字(前期は2.3億円の赤字)となりました。24.6期の業績予想は未定としていますが、23.6期は大幅な赤字縮小となりましたので、黒字化も期待されます。
【サスメドの週足チャート(2023年1月~2023年8月16日)】
今後について
不眠障害治療用アプリについては、現在は保険適用に関する協議が進行中とのことです。販売面に関しても塩野義製薬との間で、保険収載後の各種計画について協議を継続しており、今後の収益貢献が期待されます。
一方、SMD402(ACP:Advance Care Planning)およびSMD201(慢性腎臓病)については検証的試験に着手し、SMD403(耳鳴) については臨床研究を開始、SMD105(乳がん切除後疼痛症候群)については探索的試験を開始するとしています。同社は研究開発費(23.6期実績1億7600万円)について一定規模の支出を継続する予定としていますので、研究開発費の動向は注視する必要があります。
最後に、同社は24.6期の業績予想については、不眠障害治療用アプリの保険点数が確定し開示可能となった時点で速やかに開示する予定としています。そのタイミングで株価が大きく動く可能性があります。チャンスを狙ってみても面白いと思います。