「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はMIC(300A)をみていきます。
同社は、リテール業界において販促活動を展開する企業が抱える非効率を解消するため、全体最適化を実現する「リテール販促360°フルサービス」を提供しています。
具体的には業務改善コンサルティングやシステム開発、BPO(業務外部委託)、企画提案やデザイン制作、販促物の印刷製造・加工、在庫保管・流通加工や共同配送・個別配送、店舗の陳列・調査・立ち上げなどを手掛けています。
また、2022年からドラッグストア向けの「販促物共同配送サービス(Co.HUB)」を開始。Co.HUBは、2024年10月31日時点において20チェーンのドラッグストアチェーンが導入しており、全国のドラッグストア店舗カバー率は54%になっているとのことです。約300社のメーカー企業がこのサービスを利用しており、同社のCo.HUBはドラッグストア業界において、事実上の配送プラットフォームとして機能しているとしています。
同社は活版印刷を事業とした水上印刷を1946年に創業したことがスタートとなります。2006年に印刷製造の周りのサービスを一手に引き受けるワンストップサービスを開始。2011年にはコンビニエンス企業向けに「360°フルサービス」の提供を開始しました。「360°フルサービス」の進展に伴い、従来の印刷事業から事業領域が大幅に拡大したことを受け、2021年12月にMICへ社名を変更しています。
同社の初値ですが、競合に比べかなり強気な値付けとなっていたことや、公開規模が荷もたれ感のある水準だったこと、商い閑散が見込まれるクリスマス上場であったことなどにより、苦戦が予想されていました。では、上場からの株価の動きをみていきます。
MICの株価推移(上場から2025年2月20日まで)
2024年12月25日に東証スタンダードに上場した同社の初値は960円と公開価格960円と同値となりました。その後、公開価格を下回る926円まで下落しましたが切り返し、上場初日の終値は969円と公開価格を上回りました。
上場3日目には1089円まで上昇も1000円台の株価は維持できず、その後もなかなか1000円の壁を越えられない状況が続きました。1月後半になると値を崩し、1月28日に920円まで下落、これが上場来安値(2025年2月20日時点)となっています。
その後1000円前後まで値を戻したタイミングで、上場後初の決算発表を迎えます。同社は2月13日に25.3期3Q累計(4-12月)の営業利益は7.6億円(前年同期比2.2倍)だったと発表しました。併せて、25.3期通期の営業利益予想を従来の6.2億円から8.6億円(前期比62.5%増)に上方修正しています。
業績の上方修正の要因としては、3Q累計において既存取引先への「360°フルサービス」の拡販などが順調に推移していることに加え、ドラッグストア業界向けCo.HUB利用メーカー数が300を超え好調に推移していることとしています。
この決算を受けた翌営業日の株価は窓を開けて急騰。2月17日には1606円まで上昇し、これが上場来高値(2025年2月20日時点)となっています。
【MICの日足チャート(上場から2025年2月20日まで)】
今後について
同社は成長戦略として、「平均年間売上高 12億円である360°フルサービスの導入社数を 増やすことで1社あたりの売り上げ最大化をめざす」としています。決算説明会資料では潜在的売上規模は300社約3600億円としていますので、成長余地は大きいといえます。
Co.HUBについては、サービス立ち上げから3年で新規アカウント319社を獲得。全ドラッグストア店舗の54%が導入するプラットフォームになっており、今後も顧客数の拡大をめざすとしています。
東証スタンダード上場銘柄なので、上場後はなかなか資金が向かいづらい状況でしたが、好決算で売買高は急増しました。同社はCo.HUBきっかけに各社との「360°フルサービス」拡大が増加したとしています。この流れは来期も続く可能性は高く、また成長余地も大きいことから中長期目線で投資してみるのも面白いと考えます。