あの株はいまいくら?

第39回 軽量化金属部品の製造加工の「STG」 地味な業態だがきらりと光る会社

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はSTG(5858)をみていきます。


2024年3月21日に東証グロースに上場した同社は、実用金属で最も軽いマグネシウムを中心とした製造加工を得意としています。

主力製品は、高付加価値カメラ、自動車、監視カメラ、プロジェクター、プリンター、医療機器などにおける軽量化金属部品です。

マグネシウム合金はアルミ合金に比べて優位性があり、軽量化を進める輸送機器の構造材料として需要は高まっており、地味な業態ではあるもののきらりと光る会社という印象です。


IPOについては、公開規模が7億円未満しかなく、空白期間明けの上場となることで需給逼迫(ひっぱく)が見込まれていました。ではSTGの上場からの動きを確認していきます。



STGの株価推移(上場から2024年5月16日まで)

同社の初値は3215円と公開価格1920円を大きく上回りました。上場初日は相場全体の勢いが強かったこともあり、3910円まで一時上昇。しかし4000円目前で失速すると徐々に水準を切り下げ、上場初日の終値は3180円と小幅に初値を下回りました。

なお、この上場初日の高値3910円が上場来高値となっています。


上場2日目は3880円まで上値を伸ばすものの、終値は3260円。上場3日目は3770円まで上値を伸ばすも終値は3180円と、3日連続で高値から押し戻されて引けています。

こうなると流れは悪くなります。上場3日目から4日続落となり、株価は2000円台前半まで下落しました。


4月に入っても緩やかな下落が続き、4月15日の終値は2013円と2000円の大台を死守しましたが、翌16日にあっさり2000円割れとなりました。17日には1825円まで下落。これが上場来安値となっています。

その後はもみ合いが続き、株価に変化が出たのは5月に入ってからとなりました。きっかけは決算発表です。


13日に発表された決算ですが、まず24.3期の連結営業利益は3.0億円(51.9%増)と大幅増益となりました。25.3期の連結営業利益予想は3.8億円(前期比26.8%増)と二ケタ増益を見込んでいます。


同社の説明会資料には、「自動車の軽量化ニーズなどにより、世界のマグネシウムダイカストへの需要は急増期に入っている。この成長は今後も持続すると見込まれている」との記述があります。

その需要に対応するため、24.3期までに静岡工場、タイ工場ともマグネシウムダイカストに関する増産のための設備投資を完了させており、25.3期には両工場ともに大幅な売り上げ増加を見込んでいます。

さらに、主力であるマレーシア工場に、新たにマグネシウム部品の生産設備を設置し、25.3期中の稼働をめざすとしていますので、収益貢献が期待されます。


決算発表を受けた14日の株価は2448円まで上値を伸ばし、終値は2265円となりました。急騰の反動で翌15日は大幅安となりましたが、今回の急騰は業績の裏付けのあるものです。16日はしっかりと切り返し、終値は2285円となりました。



【STGの日足チャート(上場から2024年5月16日まで)】



今後について

軽量化金属部品の需要増は続くと考えられますし、それに対する投資もしっかりと実行しています。冒頭でも述べましたが、地味な業態ではあるもののきらりと光る会社という印象ですので、成長性に期待して投資してみるのも面白いと考えます。



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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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