「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2024年9月に東証グロースに上場したAiロボティクス<247A.T>をみていきます。
同社は、スキンケアブランド「Yunth」、美容家電ブランド「Brighte」を主要ブランドとして、自社で企画・開発し、OEM(相手先ブランドによる生産)に製造委託した商品をEC(電子商取引)を中心に販売しています。
現在の社名は「AIマーケティング事業」を主体としていた2020年7月に商号変更されたもので、現在の主力事業である「D2Cブランド事業」(2022年2月に開始)からするとやや違和感のあるものとなっています。
ただ、「AIマーケティング事業」は休止しているものの、「AIマーケティング事業」でクライアント企業の新規顧客獲得のための広告運用を、効率的に行うために開発した「SELL(セル)」を自社ブランドのマーケティングに活用しています。
業績が拡大する局面での上場であり、堅調な初値が期待されていました。では、実際にどのような株価の動きになったのか、Aiロボの上場からの株価の動きを確認します。
Aiロボの株価推移(上場から2024年11月28日まで)
同社の初値は2514円と公開価格1760円を大きく上回りました。初値形成後は2620円まで上昇。その後失速しましたが、上場初日の終値は初値を小幅に上回る2525円となりました。
その後はロックアップ解除価格2640円で上値を抑えられる状況が続きました。この2640円では、ベンチャーキャピタルなどの保有株(推定計394万0600株)がロックアップ解除となります。なお、NVCC9号投組(上場時点で92万株保有)が10月21に提出した大量保有報告書の変更報告書において、NVCC9号投組が9月30日以降売却を進めていたことが確認できます。
そして、株価が大きく動いたのが11月14日です。日足チャートでは大陰線を形成。これは決算発表を受けた株価反応です。
同社は11月13日に、25.3期上期(4-9月)の営業利益は12.0億円(前年同期比56.1%増)だったと発表しました。「生VC美白美容液」については、依然として楽天美容液ランキングで1位を獲得しており、堅調に推移。美容家電ブランドの「Brighte」において、「ELEKIBRUSH」が好調に販売数を伸ばしていることも寄与したとのことです。
この決算発表を受け、14日の株価は寄り付きで3000円の大台乗せとなります。しかし、勢いは続かず、その後は売りに押され終値は2541円となりました。なお、14日高値3000円が2024年11月28日時点における上場来高値となっています。
14日の下落の要因については、まず進ちょくが良いにもかかわらず通期計画が据え置かれたことによる失望売りが考えられます。通期の会社計画の営業利益17.5億円に対する進ちょくは68.8%と順調だったからです。また、ロックアップ解除となったベンチャーキャピタルの売りもあったとみられます。
その後の株価はいったん持ち直すもその後は売りに押され11月27日に2289円まで下落。これが2024年11月28日時点における上場来安値となっています。
【Aiロボの日足チャート(上場から2024年11月28日まで)】
今後について
重要イベントとしては、2月に予定されている25.3期3Q累計(4-12月)決算が挙げられます。業績の進ちょくが良好であることから、このタイミングで業績の上方修正が出てくるか注目されます。
また、足もとの株価はロックアップ解除価格2640円を下回っています。需給イベントとして、90日のロックアップ(上場日から2024年12月25日まで)が解除となる12月26日が警戒されます。売却の進んでいないベンチャーキャピタルから売りが出てくる可能性があります。
同社の業績は堅調な推移となっていますので、25.3期3Q累計の決算の前後で株価に動きが出ることかが期待されます。90日のロックアップが解除され需給要因で下値を切り下げるようなら、押し目買いのチャンスになると考えます。