「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はブッキングリゾート(324A)をみていきます。
同社はグランピング施設やリゾートヴィラなどのリゾート施設に特化した予約プラットフォーム「リゾートグランピングドットコム」、ペットツーリズムに特化した予約プラットフォーム「いぬやど」の運営のほか、直営宿泊施設の運営なども行っています。
事業セグメントは、予約プラットフォームの運営や掲載施設へのコンサルティングを行う「集客支援事業」と、施設運営上のノウハウ獲得を目的として直営宿泊施設を運営する「直営宿泊事業」の2つに区別されています。
24.4期の売上高構成比は、「集客支援事業」が88.5%、「直営宿泊事業」が11.5%となっており、「集客支援事業」が収益の柱となっています。
旅行需要はコロナ収束からの回復一巡後も伸び続けており、IPOでもこの分野の期待は高まっていることから、堅調な初値が予想されていました。なお、昨年12月に上場した旅行・観光業界向けを得意とするシステム会社のフォルシアの初値が公開価格の2.08倍となったことも初値高騰期待を高める要因の一つとなりました。では、ブッキングリゾートの上場からの株価の動きをみていきます。
ブッキングリゾートの株価推移(上場から2025年3月25日まで)
2025年2月21日に東証グロースに上場した同社の初値は1550円と公開価格1240円を上回りましたが、事前の期待の高さからすればやや拍子抜けする初値形成となりました。ただ、発射台が低かったことが幸いしたのか上場初日はストップ高となる1950円まで上値を伸ばしました。
勢いは止まらず上場2日目には2000円の大台乗せ、上場3日目、4日目は上値を伸ばしたものの売りに押される展開となりましたが、上場4日目(2025年2月27日)の高値2479円が2025年3月25日時点で上場来高値となっています。
その後は徐々に下値を切り下げる展開となり、2025年3月5日に1393円まで下落。これが、2025年3月25日時点で上場来安値となっています。
このように上場来高値を付けてから短期間で上場来安値を付けるという荒い値動きになりましたが、その後はしっかりとした株価推移となりました。そしてこのタイミングで上場後初の決算発表を迎えます。
同社は2025年3月13日15時に25.4期3Q累計の営業利益は4.4億円だったと発表しました。なお、通期の会社計画に対する進ちょくは88.3%と良好な進ちょくとなっています。
同社では、「集客支援事業」において、これまでに培ったノウハウを最大限に生かし、掲載施設の売り上げ向上に注力した結果、掲載客室数が順調に拡大したとしています。
場中での発表を受け株価は一時急騰する場面も見られましたが、その後は手じまい売りに押されマイナスに転じ、安値引けとなりました。その後見直し買いが入り、3月19日には1971円まで高値を伸ばす場面もあったものの、足元は1500~1600円台での株価推移となっています。
【ブッキングリゾートの日足チャート(上場から2025年3月25日まで)】
今後について
2025年6月に発表されるであろう26.4期の会社予想に注目です。営業利益の推移は、23.4期は2.5億円、24.4期は3.8億円、25.4期の会社予想は5.0億円となっています。
順調な利益成長が続く想定とすれば、26.4期の営業利益予想は6億円台になるのと思われます。7億円に近い予想になれば株価は上に水準訂正する可能性は高いと考えます。逆に6億円をもし下回れば、成長鈍化ととらえられ下値模索の展開になると考えられますので、どのような会社予想が出てくるか注目されます。
最後に、同社はリゾート施設特化やペットツーリズム特化の予約プラットフォームを運営するなどの特化型戦略が功を奏し、順調に業績を拡大させています。
足もとのPERは26倍程度であり、同業他社と比べて特段割安というわけではありませんが、順調な利益成長によるEPSの成長が続くとすればもう少し高い評価を受けてもおかしくありません。株価が下押すようなら狙ってみてもよいのと考えます。