ホテル系REITは11月に投資口価格が大きく下落しました。インバウンド需要の伸びに一服感が出てきたことや、日中関係の悪化に対する警戒が高まってきたことが売り材料となりました。
一方、足元ではジャパン・ホテル・リート(8985)やインヴィンシブル(8963)など、下げが大きかった銘柄に売り一巡感が出てきています。


いちごホテルリート(3463)なども、足元では売り圧力が和らいできました。

J-REIT全体では調整が進行中
REIT指数は12月に入って調整色を強めています。12月の日銀金融政策決定会合で利上げが実施されるとの見方が強まってきたことが嫌気されており、11月までが強かった反動もあって逆回転の動きが出てきました。
ホテル系REITからすれば「泣きっ面に蜂」で売りが売りを呼ぶ悪循環も懸念されましたが、一段と売り込まれるほどの動きになっていません。
むしろ、他の多くの銘柄は上昇にブレーキがかかって買いづらくなってきた中、過熱感が乏しいことを理由に押し目買いが入りやすくなっているようにも見えます。
12月決算のホテルREITに要注目
ホテル系REITの中で、ジャパン・ホテル・リートやインヴィンシブルは12月決算銘柄となります。
投資口価格の下落により、分配金利回りは上昇しています。権利を確定できるという点では、他の銘柄と比べて実需買いが期待できる月といえます。
星野リゾートや霞ヶ関ホテルは下値模索が継続中
売り一巡感が出てきているREITもある一方、ホテル系の代表格である星野リゾート・リート(3287)は下値模索が続いています。

ブランドイメージが高く、高めの客室単価がある程度許容されている分、この先の分配金の伸びが減速することへの警戒も相応に強いと思われます。現状ではホテル系REITの中で相対的に分配金利回りが低め(それだけ高く評価されている)である点も、敬遠される理由になっていると考えられます。
また、今年新規上場した霞ヶ関ホテルリート(401A)も足元では下値模索が続いています。

2025年8月13日に上場し、初値は10万3800円と公開価格の10万円を上回りました。8月は強い動きが続き9月1日には11万2800円まで水準を切り上げましたが、その後は売りに押されています。
12月10日の終値は10万2700円で、初値を下回っています。この日の安値10万1500円が上場初日8月13日の安値と同値ですので、公開価格の10万円を下回ることなく推移できるかどうかが目先の焦点となります。
懸念はあるもホテル需要は引き続き旺盛
ホテル系REITに関しては、まだ下げ止まったと判断できるほどではありません。ただ、下げ止まりを期待させるような兆しは出てきています。
国レベルで日中関係が悪化していることは懸念材料ではありますが、今や多くの国の方々が日本を訪れています。日本人の旅行ニーズもありますので、ホテル需要が一気に減退することは現状では考えづらいです。
前の月の11月はREIT指数は月間で3.1%高と大きく上昇しましたが、ここで挙げた5銘柄はいずれも月間で下落しています。買われていない分、12月は下値が堅くなるかどうかが注目されます。弱かった属性に底打ち感が出てくれば、REIT全体でも調整一巡に対する期待が高まると思われます。



