外為市場かく戦えり

第39回 【ドル円】トランプ・トレードが取れなくても・・・

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


さて、今回はドル円です。

今月5日は、米国で4年に1度の米大統領選が行われました。

そこで思ったことを振り返りたいと思います。


皆様の参考になれば幸いです。



選挙はやってみないとわからない


これは、個人的に思っていることです。

選挙は選挙がスタートしてから実際の投票日まで時間があり、その間の討論会などで候補者から素晴らしい政策提案が出たり、反対に失言が出たりなど、様々な発言内容を積み重ねて候補者の有利不利が見えてきて、選挙を迎えるのでないでしょうか。


ただ、今回はメディア報道を見る限り接戦となっており、共和党のトランプ候補と民主党のハリス候補のどちらが勝利してもおかしくない状況でした。


期待が高まっている状況では、一度動き出してしまうと勢いがなくなるまで動いてしまうことは、ままあります。

イメージとしては、ペットボトルロケットの打ち上げが近いかもしれません。

一旦動き出してしまうと、勢いに任せてチャートポイントを無視して動いてゆくこともあります。


そうなると、相場は出たとこ勝負的な様相も帯びてくるので、普段とは違う雰囲気となることも考えられます。



どうトレードする?


さて、その場合はどこでどうトレードするか、思案のしどころです。

今回は私自身、投票結果が予想しづらい中、投資のイメージがわかなかったということもあり、結果判明前後でのエントリーは避け、動きが落ち着いたところで考えようとなりました


4年に一度のイベントということで、市場参加者は沸き立っていたに違いありません。

そういったお祭り気分に乗っかって一儲けしようとする人が出てくるのは理解できます。

また、「相場の世界にいる人間がそれでいいのか!?」と思うかもしれません。


しかし、今一度考えていただきたいのは、投資の目的です。

大多数の方にとっては「利益を得る」ためのものではないでしょうか。

おそらく、ここをご覧の皆様は、「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」では生き残れないことは、すでにご存じではないでしょうか。


ましてや、イメージがわかず気乗りしない状況とあっては、積極的に売買する気も起きず・・・となりました。

というわけで、直後は見送って落ち着いたら改めて考えることにしました。

ちなみに、タイトルにもありますが、今回は米大統領選の開票速報を手掛かりとしたトレードはできませんでしたが、全く悔いはありません。


そこで、大統領選の結果が判明した翌7日にこう書きました。

ドル円での大陽線出現を見て、買い目線で検討。155円方向への上伸を期待して、日足・一目均衡表の転換線153.00円や200日線151.67円で買い下がり。損切り候補は昨日安値のやや下151.00円。ただし、風向きが変わったら損切り水準到達前にカットも。



あえて手を出すならば?


職業ディーラーでしたら、常にレートを見ることも可能ですので、あえて手を出すのもそれほど難しくはないかもしれません。

むしろ、売買ポイントまで辛抱強く待つ方が難しいかもしれません。

 

それに対して、個人投資家の視点では、常にレートをチェックできる方は少数派かと思います。

そうなると、どうしても成行だけでは売買しきれず、指値や逆指値も併用しながらになるのではないでしょうか。

 

たとえば、今回もしトレードするなら、直近で上抜いた200日移動平均線をポイントにして買い目線での検討、でしょうか。

 

繰り返しになりますが、アイディアが沸かない、見通し立たないなどの理由で気乗りしない時は、トレードすべきではありません。

 

投資タイミングはアイディアがわいた時や、見通しが立った時に備えて取っておきましょう。

そうしてトレードの成功確率を高めることが、個人投資家に求められるのではないでしょうか。

 

相場は、自信をもってトレードしても結果負けたりする世界ですから。


※Trading Viewより


図の左は日足。ちょうど200日線を上抜いたあと、直近では下押しの目処に代わっています。

図の右は5日からの30分足。5日のNY市場から6日の東京市場序盤にかけて151円台前半に下押ししており、ちょうど200日線に絡んだ攻防となっていました。


現在保有ポジション(執筆時点)


以下は長期保有目的

トルコリラ円 4.38円買い


この連載の一覧
第40回 【ドル円】気迷うのはローソク足だけではない
第39回 【ドル円】トランプ・トレードが取れなくても・・・
第38回 【増し玉】あいつとは、相性が合わない
第37回 【ユーロドル】念には念を入れて
第36回 【トルコリラ円】追加買いに乗り気になれない理由はコレ
第35回 【どうする】ドル円、押し目がないかもしれない時
第34回 【ドル円】勝っておごらず負けて腐らず
第33回 【ドル円】守りたいもの、それは利益!
第32回 【夏の怪談】ドル円、ストップ注文を出していなかったら・・・
第31回 【振り返り】トレードにおける得手・不得手
第30回 【気のせい】天使がほほ笑む相場に見えたが
第29回 【ドル円】どうする!?往復ビンタにあったら
第28回 【ドル円】振り返ると、さえない
第27回 【ランド円】長期保有の予定だったが・・・
第26回 【トルコリラ円】損切りだけど、悔いはなし
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
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第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
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為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

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