外為市場かく戦えり

第36回 【トルコリラ円】追加買いに乗り気になれない理由はコレ

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


さて、今回はトルコリラ円です。

以前、8月に4.38円で買い成立後に、4.20円台でも追加買いを検討していましたが、その後いったん追加買い指値をキャンセルしました。

その後も4.20円台は何度かありましたが、結局買えませんでした。

買えなかった理由について振り返りたいと思います。


皆様の参考になれば幸いです。



ファンダメンタルズ面でのポイント


以前、トルコのエルドアン大統領は「金利の敵」を自任し、高インフレ下で低金利政策を推し進めていました。

しかし、ここしばらくはインフレ抑制のために金利を上昇させることについて、表立った批判や中銀総裁の更迭などは行っていません。

これが、トルコリラを買おうと思った理由の一つです。


また、インフレ率も夏以降は伸び鈍化傾向となっており、9月は実質金利がわずかとはいえ3年強ぶりにプラスに転じています。

今後もインフレ率が低下して利下げの余地が生まれる場合、インフレが抑制されている証明になりますので、トルコリラにはプラスに働くと見られます。


この中で特に気を付けたいのが、エルドアン大統領の発言です。

万一、再び「金利の敵」となるようなことがあれば、これまでの前提が崩れます。

その際はポジションは即座にカットする予定です。


エルドアン大統領の過去の行いを振り返ると、そう簡単に信じれないというのはあります。

そのため、過去最安値圏だからと言って積極的には買いづらいところがあります。

買うにしても、株価が1桁や2桁といった「超低位株(ボロ株)投資」のような、「単価が安いので上がればラッキー」という割り切った投資手法にならざるを得ないところです。



気になるドル/トルコリラ相場の行方


当たり前の話ですが、トルコリラ円は、ドル円とドル/トルコリラの相関で値段が決まります。

したがって、トルコリラの強さを見るうえで、ドル/トルコリラの動きを見ることは重要です。


ドル/トルコリラを見ると、直近では陰線3本で三羽烏(一番右端の陰線はまだ確定ではないため)出現ではありますが、史上最高値圏である34リラ台で高止まりと、ドル高・リラ安の状況です。

なかなか33リラ台に下落してこないことも、トルコリラを積極的に買いづらい理由の一つです。


そうなると、現在のトルコリラ円の上昇はドル円の上昇(円安)によるところが大きいと見ることができます。


対ドル相場での重しとなっている背景として、中東情勢の行方が挙げられます。

エルドアン大統領は親パレスチナ・親ハマスの姿勢をとっていることもあり、積極的には投資しづらいムードが続いています。



※Trading Viewより



トルコリラ円をテクニカル面から見たら


日足は一目均衡表の転換線や基準線を上抜き、雲の中に入るなど、4円割れをうかがう動きは後退している様子です。

ただ、現状は厚い雲の中にあり、上抜けて三役好転を点灯させるには距離を感じます。


雲の下限付近への下押しがあったら買い意欲が出るかもしれません。


※Trading Viewより


とはいえ、8月7日に4.38円で買いポジションを持っていることもあり、現在レート付近では追加でポジションを持とうという意欲がわきません。

「対ドルでのリラ上昇」や「インフレ低下で利下げ余地が生まれる」などがないと、なかなか買いづらいかもしれません。


当面は買い増しせずに相場を見守る予定です。



現在保有ポジション(執筆時点)


以下は長期保有目的

トルコリラ円 4.38円買い


この連載の一覧
第40回 【ドル円】気迷うのはローソク足だけではない
第39回 【ドル円】トランプ・トレードが取れなくても・・・
第38回 【増し玉】あいつとは、相性が合わない
第37回 【ユーロドル】念には念を入れて
第36回 【トルコリラ円】追加買いに乗り気になれない理由はコレ
第35回 【どうする】ドル円、押し目がないかもしれない時
第34回 【ドル円】勝っておごらず負けて腐らず
第33回 【ドル円】守りたいもの、それは利益!
第32回 【夏の怪談】ドル円、ストップ注文を出していなかったら・・・
第31回 【振り返り】トレードにおける得手・不得手
第30回 【気のせい】天使がほほ笑む相場に見えたが
第29回 【ドル円】どうする!?往復ビンタにあったら
第28回 【ドル円】振り返ると、さえない
第27回 【ランド円】長期保有の予定だったが・・・
第26回 【トルコリラ円】損切りだけど、悔いはなし
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
第17回 どうする!?相場にやる気がない時
第16回 【ランド円】大物を釣るための心構え!?
第14回 ドル円、ストップロスの重要性を再確認
第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し
第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる
第11回 豪ドル円、天井は近い?
第10回 どうする!? 選択肢がたくさんある時
第9回 スワップは甘いささやき?
第8回 不器用な人間でも勝つ方法を考える
第7回 円安が敵に回る
第6回 【デッドクロスのその後】南アフリカランド円、買いで入る
第5回 待つも相場、一進一退でも焦らない
第4回 マイナスをプラスに変えるには?
第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
第1回 ランド円、デッドクロスの先を予測する

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

川畑 琢也の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております