「イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。
さて、相場の世界では「押し目待ちに押し目なし」という格言があります。
相場の勢いが強いときは、「下がったところで買いたかったが、大して下がらずに上昇してしまった」という経験をしたのは、私だけではないはず。
そんな中、どう立ち回ったかの記録です。
皆様の参考になれば幸いです。
9月米雇用統計は「強い」の一言
今回、ドル買いのきっかけとなったのは、4日の9月米雇用統計です。
リアルタイムで発表を見ていたのですが、失業率、非農業部門雇用者数(NFP)、平均時給いずれも市場予想より強い結果となりました。
ここまで強い結果となると、ドルが買われるのも納得の結果です。
案の定、これだけ強い結果となれば、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」にも影響が出ないはずがありません。
雇用統計前まではあと2回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で合計0.75%の利下げを織り込んでいましたが、10日時点では0.50%の利下げを織り込む状態に。
年内の米大幅利下げ観測はやや後退しています。
円買い圧力も後退
さて、1日に石破内閣が誕生しました。
総裁選後に石破首相が日銀の追加利上げに否定的な見解を示したこともあり、足元では日銀の早期利上げ期待が後退。
円を積極的に買う地合いでもなくなりました。
ファンダメンタルズ面の状況を整理
これらを踏まえ、ファンダメンタルズ面からは、
米大幅利下げ観測後退
日銀の利上げ期待後退
の合わせ技で、ドル売り・円買いの流れに変化が出たと考えました。
やや遠いところに指値を出して買い下がり戦術
さて、ファンダメンタルズ面での変化に加え、米雇用統計でドル買い・円売りの流れが出てきたと判断し、ドル円を買うことにしました。
ただ、あれだけ流れが強いと、特に4日の米雇用統計直後は手が出しづらいところです。
とはいえ、方向性が見えてきたところなので、方向感が分かりにくい相場よりチャンスでもあります。
出来れば手を出したいところです。
そうした中、週初はあまり相場を見れないという事情がありました。
高値圏で買いポジションを持ってしまうと、ストップラインを見直す間もなく成立というリスクがあります。
一方で、冒頭で触れたように、大して押し目を作らないことも考えられます。
それらを踏まえ、今回は「やや遠いところに複数の指値を出して、入ればラッキー」という、やや消極的な戦術を選びました。
4日の米雇用統計後に、こう書きました。
9月米雇用統計は「強い」の一言。来週10日の9月米CPIまで、ドルは買われやすいと見る。強い流れが出ているので安易なリバウンド狙いは危険がいっぱい。週初はあまり相場を見れないので、ドル円は5日線や日足・一目均衡表の転換線で少量買い、基準線割れで損切り、とやや遠い指値で様子見。
その後の動き
4日に指値を出した後、8日に5日線にタッチしたので、147.70円で少量の買いが成立。
転換線はタッチしなかったのでこちらはキャンセルしました。
その後、ドル円は堅調な動きを見せており、9日にストップを147.90円に、10日に148.75円に上げました。
いつもの手ですが、不意の急落があっても足が出ないようにするためです。
そうして迎えた10日のNY市場です。
米9月消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったこと受けて149.50円台に上昇したものの、新規失業保険申請件数が弱い結果となり労働市場の悪化が示されたことで148.30円前後まで反落するなど荒い動きとなりました。
この時の下押しにつれる形でストップが成立。ただし、買値より上での決済ですので、利益はしっかり残りました。
今回のような不測の事態に備えるうえで、ストップ注文の有効性を改めて感じました。
※Trading Viewより
現在保有ポジション(執筆時点)
以下は長期保有目的
トルコリラ円 4.38円買い