外為市場かく戦えり

第26回 【トルコリラ円】損切りだけど、悔いはなし

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


今回は、長期保有狙いだったトルコリラ円について振り返ります。

皆様の参考になれば幸いです。



トルコリラ円、過去最安値を更新


早速ですが、6月3日にトルコリラ円を4.87円で買い、長期保有でスワップとレート収益の両取りを狙いました。


相場は7月3日に4.98円まで上昇しましたが、5円の大台を前に失速。

その後はドル円の軟調推移が重しとなり、8月1日には一時4.40円台に下落して過去最安値を更新しています。


当初、買いでエントリーした際、ストップは4.45円でしたが、その後4.65円に切り上げて様子を見ていました。

しかし、この下落過程で、4.65円のストップ注文が成立してクローズとなりました。


ストップは「損失を減らす方向には動かすが、その反対には動かさない」のが一般的ということもあり、4.45円に戻すことはしませんでした。

うっすらですが、「ストップが成立してしまうようだと、過去最安値更新を試すかもしれない」という思いもありました。


15年以上にわたり続いた下落トレンドからの脱却は容易ではないことを思い知らされる結果となりました


※Trading Viewより



振り返り


さて、今回の損切りについて、意見が分かれるところかと思います。


たとえば「ストップを引き上げる必要はなかった」点について。

当初のストップのままと仮定すると、その時のレート損失はおそらく9千円前後となります。

できるだけ損は小さくしたいという発想がありましたので、今回はストップを引き上げました


また、「買いスワップの威力を侮りすぎ」という見方もあるかと思います。

たしかに、これだけ買いスワップがつくなら・・・と思わなくはないです。

しかし、ある程度の日数、買いポジションを持たないとレート損益のマイナスを埋めるには至りません


以前にもお伝えしましたが、スワップの危険性(待っていれば何とかなると思ってしまうところ)もあります(その時の記事はこちら)。

レバレッジが掛かっている場合は特に、仕切り直しの意味も込め、ストップ注文を出しておくことは有効と考えます


今回は損切りとなってしまいました。

とはいえ、後述しますがトルコを取り巻くファンダメンタルズが良い方向に変わろうとしている兆しが感じられる部分もあります。

ドル円の下げが一服したら買い直しも考えたいと思います。


対ドルでのドル高も気になる


そのほか、ドル/トルコリラ相場ではドル高・トルコリラ安の流れが続いており、足元で過去最高値(=リラ安)を更新していることも、トルコリラ円の買いを持つことも重しとなりました。


7月の主だった材料を振り返っても、

・トルコ中銀は理事会でインフレ抑制姿勢を維持

・格付け会社ムーディーズがトルコの格付けを引き上げ

などがあったにもかかわらず、トルコリラの対ドルでのリラ安傾向が止められませんでした。


日足チャートでは下げる気配が感じられず、アセンディングトライアングル(下値は切り上げ、上値は一定)で上抜け一段高も想起される形状です。

ひいき目に見ても「伸び悩み」でしょうか。


そんな中、7月31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、早ければ9月の会合での利下げを示唆する内容となりました。

足元はリラ安というよりはドル高の様相を呈しています

これにより、ドル/トルコリラ相場でのドル高の動きに変化が出るか、見てゆきたいところです。


※Trading Viewより


今回のトレードの損益


合計

-584円


内訳

レート損益 :-4,400円(買値4.87円と売値4.65円の差額)

スワップ損益:+3,816円(36円×2(万通貨)×53日(保有日数))

※買いスワップは全期間、1万通貨あたり36円/日と仮定



現在保有ポジション(執筆時点)


以下は長期保有目的

ランド円 7.78円買い少量


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為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

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