外為市場かく戦えり

第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


さて、今回は「出遅れ感のある中でどう相場に向き合ったか」を触れてゆきたいと思います。

通貨はユーロドルです。


※Trading Viewより


ユーロ円、出遅れ感がある中で売る(2/6)


6日に「2日のカブセ足と5日のバンド押し下げを見て、1.0745ドルで売り。ただし、出遅れ感も若干あるのでロットはいつもの半分。下げたら1.04ドルを期待して1.0690ドルで売り。5日線1.0793ドル付近でも売りたいが、90日線1.0808ドルを回復するようなら損切り」と書きました。

 

できれば20日線への戻りを売りたいところですが、昨年末からユーロを売っては損切り、でも相場は下がる・・・という悪循環に入っていた - というメンタル面の理由※もあり、出遅れは承知の上で売りから入りました。

 

※   第1回で取り上げたユーロドルのショートは、一部損切りと利益確定を合算して微益という結果に。1.07ドルへの下げを見ることなく撤退。それ以外にも、ユーロドルは年明けから一進一退のような結果が続いた。



出遅れたなかでどう立ち向かう?


そうしたなか、既にスタートから躓いているので、通常と同じ手法ではリスクばかり増えてしまいます。

出遅れたなりにリスク管理をするとするならば、主な選択肢は

・エントリーポイントを引き付ける

・売買数量を減らす

・ストップ水準をきつめにする

あたりかと思います。その中で今回は「取引数量を減らす」を選びました。



その後、売りを追加


6日に売りポジションを持った後、8日に5日線が下がったのを見てこの日の始値1.0772ドルで売りを追加しました。幸いストップロス水準の90日線にはタッチしなかったので、13日クローズ時点では

・1.0745ドル

・1.0772ドル

のポジションを保有(平均コストは1.07585ドル)していました。



じり安を見て思ったこと


2月に入ってからもユーロドルは上値重く推移する中、13日にはついに1.07ドル割れ目前まで下落しました。翌14日の東京市場でも上値の重さが目立っており、いったん1.07ドル割れはあるかと読みました。

 

その時の記事はこちら

ユーロドルは足もとで1.07ドルを前に足踏み。ただ、年初からじり安傾向である点を考えると、1.0720ドルを超えたら一旦ポジション解消したい。その場合は21日線付近に戻せば売り直しも。思惑通り1.07ドルを割る場合、割った後の戻りが本日高値を超えないようなら少量売り増したい。

 

結果は、半分は当たりで半分は外れでした。

欧州市場で1.07ドルを割り込んだ後の戻りは1.0710ドル台にとどまり、東京市場に続いて1.0720ドルを前に失速したため、1.0700ドルで少量売りました。しかし、その後は徐々に下値を切り上げる動きとなり、ついに1.0720ドルを上抜けため、1.0723ドルですでに売っていた分を含め、全部決済しました



ふりかえり:利食いは千人力


損益のほどですが、結果は微益でした。

3ポジションの平均コストは1.0739ドル付近でしたので、プラスは平均0.0016ドル程度にとどまり、大きな利益は期待できません。


それでも「足は出さない(マイナスでの決済はしない)ことを心掛けた結果、多少ですが利益は残せました。


昔から「利食い千人力」とはよく言ったものです。

少ないとはいえ利益が出たこと以上に、いままで囚われていたポジションから解放されて気持ちがリフレッシュされました。


ありがちな「せっかく含み益が出ていたのに損切りしてしまった」といった、心とふところのもやもやを抱えることなく、次の売買に移れそうです。

 

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

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