外為市場かく戦えり

第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


ドル円は今年に入っても堅調な推移が続いており、24日には1990年6月以来となる155円台に上昇しています。

今回は、円安の進行に伴い、以前出していた年間見通しの上限を変更したいと思います。


「上値や下値の目処を変更したときが天井や底」との陰口も聞こえてきそうですが、さてどうなるでしょうか。


皆様の参考になれば幸いです。



160円超えが視野に


2月にドル円の年間見通しを出した(※)際、上限は160円としました。

しかし、ここにきて、その前提となる三角上限のアペックスを期限ぎりぎりですが上抜けたほか、その後下押す場面では三角保合上限が下値支持として機能しました。

テクニカル面からは、年内に従来予想の160円を超えて上値を伸ばす可能性が出てきたと考えています。


もし、後述の三角保合上限を目指すとするならば、目標値は176円となります


(※)その時の記事はこちら

第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し



上値目処の再確認


まず、現在の流れについて、「逆プラザ合意」との見方は変わりありません。

つまり、1980年代から2011年までの下落に対する戻りを試している、という考え方です。


ドル円は2022年10月に151.95円まで上昇しましたが、152円を前に失速。その後は同水準が上値抵抗となる一方、下値は23年1月に付けた127.23円を起点として徐々に切りあがっており、チャート上に強気型の三角保合とされる「アセンディング・トライアングル」を形成していました。


そうした中、この三角保合を上抜けたことで、上昇トレンドが再開した公算が大きいと見ます。

従来は来年の到達を予想していた170円についても、年内に目指す可能性が出てきました


なお、教科書的には、三角保合を上抜いた場合は、高さ分の上げ幅(176.67円:22年10月高値151.95円から23年1月安値127.23円を引いた値を、22年10月高値に加えた値)が変化幅の目処とされています


〇主な上値目処(4/24執筆時点)


155.87円:1990年6月高値

160.20円:1990年4月高値

164.50円:1986年11月高値

168.89円:23年1月安値からのN計算値

169.08円:1985年2月高値262.80円-2011年10月安値75.35円の下げ幅1/2戻し

170.23円:360円-75.35円の下げ幅1/3戻し

176.67円:22年10月高値151.95円から23年1月安値127.23円を引いた値を、22年10月高値に加えた値

184.09円:360円-75.35円の下げ幅38.2%戻し


※Trading Viewより



ドル買いポジションは一部キープ、不測の事態にも備える


さて、152.80円の買いポジションですが、個人的には155円より上があるとみていますので、できればキープして高いところで売りたいと思います。

とはいえ、思い通りにいかないのは相場の常です。

すでに含み益が3円弱ありますので、クローズするとしてもプラスになるようにしたいと思います。


4/25にこう書きました。

ドル円は155円台に乗せたが、まだ上はあると見ているので152.80円の買いはキープ。ただ、介入を警戒して、売りストップを153.30円から転換線の154.18円に引き上げる。万一介入で急落する場合は買い場を探したい。ランド円7.78円買いは長期保有目的なのでキープ。


これで、万一介入などで下押して売りストップが成立したとしても、買値より上での決済となりますので、足は出ない(マイナスにならない)状況に持ち込めたかと思います


この連載の一覧
第31回 【振り返り】トレードにおける得手・不得手
第30回 【気のせい】天使がほほ笑む相場に見えたが
第29回 【ドル円】どうする!?往復ビンタにあったら
第28回 【ドル円】振り返ると、さえない
第27回 【ランド円】長期保有の予定だったが・・・
第26回 【トルコリラ円】損切りだけど、悔いはなし
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
第17回 どうする!?相場にやる気がない時
第16回 【ランド円】大物を釣るための心構え!?
第14回 ドル円、ストップロスの重要性を再確認
第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し
第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる
第11回 豪ドル円、天井は近い?
第10回 どうする!? 選択肢がたくさんある時
第9回 スワップは甘いささやき?
第8回 不器用な人間でも勝つ方法を考える
第7回 円安が敵に回る
第6回 【デッドクロスのその後】南アフリカランド円、買いで入る
第5回 待つも相場、一進一退でも焦らない
第4回 マイナスをプラスに変えるには?
第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
第1回 ランド円、デッドクロスの先を予測する

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

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