外為市場かく戦えり

第54回 【ドル円】楽に儲けたい!?

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


今回も、ドル円です。

タイトルはあえて「楽に儲けたい」としましたが、「効率的に」「ストレスを減らしたうえで」といった意味合いです。

「楽して儲けたい」とは意味合いが異なりますのであしからず


今回は儲けこそ出ましたが、その過程は苦しいものであったことを振り返ります。



ことのはじまり


25日にこう書きました。

ドル円、日足チャートを上下反転させると149円前後で伸び悩みに見える。トレンドに逆らうのを承知で、152円台半ばの200日線を目標値に、現在レート149.65円や21日安値148.93円で少量買い。損切りは昨年12月3日安値のやや下148.50円。


個人的に時々使う手法です。

例えば買いたいと思えるチャート形状であった時、上下反転にして売りたい形をしているのであれば、視点を変えても見方はぶれていないといえます。

チャートソフトによりけりの機能ですが、実装されているのであれば一度お使いいただくことをお勧めします。


そう思ったファンダメンタルズの材料として、円高材料が剥落した、というのがあります。


21日に植田日銀総裁が長期金利の上昇について、「市場の通常の動きとやや異なる形で急激に上昇する例外的な状況では『機動的に国債買い入れの増額等を実施』」などと発言。

翌週に入ると本邦10年債利回りの上昇が一服しました。


今までは、「米景気不安からくるドル安」と「日銀の早期利上げ期待を背景とした本邦長期金利上昇による円高」のWパンチでしたが、ここにきて片方のパンチ力が弱まったことで、ドル円の下押しの力も弱まって200日線あたりへのリバウンドはあるか?と考えました。



左:通常のチャート 右:上下ひっくり返したチャート

※Trading Viewより


「楽に儲ける」には


トレードする以上、儲けようとするのは皆が思うところです。また、儲けるまでの過程について、楽に達成できるなら言うことはありません。


この場合の「楽に」ですが、ストレスや恐怖感の少ないトレードを意味します。

ポジションをもってしまい不安で寝れなくなるのは、対極にあるトレードといえます。


そのような不安や恐怖を軽減しつつトレードするには、どうしたらよいでしょうか。

やはり、トレンドに沿ったトレード、もしくは不安や恐怖を感じる局面では手を出さない、ことに尽きるかと思います。



トレンドに逆らうと苦しい


出来れば5日や6日など短期線の改善(下向きが、ほぼ横ばいor上向きに向きが変わる)が見られるまで待つのも手でしたが、日足チャート上では148円台で底堅そうに見えたため、ストップを置いて買いで入りました。


結果は、指値買成立後も下押しましたがストップ水準はぎりぎり到達せず。

とはいえ、トレンドに逆らっている上に、上伸も149円台後半に限られると下押しも早いなど、気が気ではありません。

今回は買いでトレードしていることに負担を感じたので、微益で撤退しました。


新規買い:平均コストは149.29円(内訳:149.65円で成行、148.93円で指値)

ストップ:148.50円(成立せず)

利益確定:149.45円(成行で)


今回は微益ながらも決済してポジションがなくなったことでほっとしたのは言うまでもありません。


トレードするにあたって、こんな気苦労を負う必要はありません。

トレンドに逆らわないなど、気持ちに余裕のある状態でトレードしたいところです。



現在保有ポジション(執筆時点)


以下は長期保有目的

トルコリラ円 4.38円買い


この連載の一覧
第62回 【ドル円】もう、あなたにはついてゆけません!
第61回 【ボラティリティ】あればいいというわけではない
第60回 【番外編】合戦場の使い回しはあるか、ドル円の下値めどを確認
第59回 【ドル円】「チャート<材料」の時もある
第58回 【NZドル円】得意パターンに乗ってみる
第57回 【トルコリラ円】別れは突然に。どうなった損益は!?
第56回 【ドル円】待つも相場
第55回 【トルコリラ円】長期投資目的ではあるが・・・
第54回 【ドル円】楽に儲けたい!?
第53回 【ドル円】波に乗れないときもある
第52回 【ドル円】待つも相場
第51回 【ユーロドル】欧米の利下げペース格差に注目して売ってみた
第50回 【ドル円】逃げるのは恥じゃない
第49回 【割り切り】タイミングの悪い時もある
第48回 【まさか】ドル円、新年早々に出会った意外な展開
第47回 【発表】2024年後半の損益、そして年間損益は!?
第46回 【ドル円】クリスマス終わったので動き出すか
第45回 【ドル円】利益は出たが、惜しい結果に
第44回 【ドル円】運も実力のうち!?そのためには準備を
第43回 【ユーロ円】取引は余裕をもって
第42回 【ポンドドル】感じろ、違和感
第41回 【不調の時】いつもの「あれ」を忘れる
第40回 【ドル円】気迷うのはローソク足だけではない
第39回 【ドル円】トランプ・トレードが取れなくても・・・
第38回 【増し玉】あいつとは、相性が合わない
第37回 【ユーロドル】念には念を入れて
第36回 【トルコリラ円】追加買いに乗り気になれない理由はコレ
第35回 【どうする】ドル円、押し目がないかもしれない時
第34回 【ドル円】勝っておごらず負けて腐らず
第33回 【ドル円】守りたいもの、それは利益!
第32回 【夏の怪談】ドル円、ストップ注文を出していなかったら・・・
第31回 【振り返り】トレードにおける得手・不得手
第30回 【気のせい】天使がほほ笑む相場に見えたが
第29回 【ドル円】どうする!?往復ビンタにあったら
第28回 【ドル円】振り返ると、さえない
第27回 【ランド円】長期保有の予定だったが・・・
第26回 【トルコリラ円】損切りだけど、悔いはなし
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
第17回 どうする!?相場にやる気がない時
第16回 【ランド円】大物を釣るための心構え!?
第14回 ドル円、ストップロスの重要性を再確認
第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し
第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる
第11回 豪ドル円、天井は近い?
第10回 どうする!? 選択肢がたくさんある時
第9回 スワップは甘いささやき?
第8回 不器用な人間でも勝つ方法を考える
第7回 円安が敵に回る
第6回 【デッドクロスのその後】南アフリカランド円、買いで入る
第5回 待つも相場、一進一退でも焦らない
第4回 マイナスをプラスに変えるには?
第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
第1回 ランド円、デッドクロスの先を予測する

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

川畑 琢也の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております