外為市場かく戦えり

第4回 マイナスをプラスに変えるには?

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


さて、今回は「収支のマイナスをプラスに変える方法」を考えてゆきたいと思います。

トレードにおいて、マイナス(損失)が出ることは避けられません。すぐにプラス(利益)となればよいですが、往々にしてマイナスが膨らんだという経験をされた方は多いのではないでしょうか。皆様のトレードの参考になれば幸いです。


結論:誰もが知りたい方法は「ない」、それを前提に考える


結論から申し上げますと、「すぐにプラスにする」や「必ずプラスにする」といった、だれもが知りたい方法は、残念ながらありません

万一あったとしたら、詐欺を疑ったほうがよいでしょう。

 

そうした中、どうプラス圏に収支を持ってゆくかは、各々が見つけてゆくものです。

皆が同じ方法で取り組んだとしても、人それぞれの相場観や癖などが入り混じると、必ずしも同じ結果になるとは限らないところが、トレードの難しいところであり面白いところです。

 

今月は開始直後にマイナスを出してしまいました。そのことがどうトレードに影響したか、そのうえで筆者なりにプラスを回復した足跡を書いてみました。



ポンドを売ってみたが・・・(2/7)


2月7日、こう書きました。

 ポンド円、5日の抱き線で前日陽線に被さったほか、日足一目均衡表の転換線が抵抗となっていることから、目先は下押し余地あると判断して186.35円で売りエントリー。利確候補は200日線181.87円、損切りは転換線186.90円を超えたら。


結果は、あえなく損切りとなりました。転換線を超えると13日に190円の大台に乗せるなど、方向を間違えたとしか言いようがありません。

2月に入ってからのポンドドルは小動きですので、クロス円にとってもう片方の車輪にあたるドル円の上昇に連れた格好となりました。

 

今振り返ると、21日移動平均線の傾きが上向きをキープしていたあたりを軽視してしまったのかもしれません。

また、身動きの軽い方なら「21日線に戻してきたのを見て、損切りと新規買いを同時に行う」というドテン注文をする方もいるかと思いますが、私自身そこまで器用ではないので、今回はそこまで手が回りませんでした。

 

※Trading Viewより



ドル円でプラスに浮上


2月9日、こう書きました。

日銀副総裁のハト派的発言+実体を伴う年初来高値更新を見たので、149.38円で成行買い。ただし高値掴みの懸念は拭えないのでロットは半分、損切りは5日高値148.89円割れ。利確は、152円をあっさり抜けるならそのままホールド、そうでない場合は足が出ない内に決済したい。


積極的に仕掛けるのなら、前日の内田日銀副総裁の発言後に買えればよかったのですが、先ほどのポンド円のマイナスもあり、なかなか手が出ずに翌日買いました。


前回の出遅れたユーロドルの時もそうですが、今回はポンド円のマイナスを引きずっての立ち回りであったため、やや慎重気味になっています。


※Trading Viewより


「無理せず、はやる気持ちを抑えて」マイナスを埋める


個人的な経験となりますが、以前ディーリングをしていた時、相場下落についてゆけず損失を抱えてしまう時がありました。

 

その直後、相場が反発。ちょうど自分の中で予めイメージした通りの動きであったこともあり、損失挽回の局面に入ってゆきました。多くの方はここぞとばかりに負けを取り返すべくリスクをとるかもしれませんが、私自身は積極的に動くとそれがあだとなってしまい、結局マイナスから脱出できなかったことが過去にありましたので、無理をせず、はやる気持ちを抑え、一歩ずつマイナスを埋めるようにしました

 

結果、その日のマイナスを取り返してプラスで終えることができました。

トップディーラーでしたらほかの方法があるかもしれませんが、中には私のような鈍くさいディーラーもいます。

 


ドル円結果は・・・


話を戻しますと、14日にドル円が150.83円まで上昇するのを見て、ストップロスを150円割れにして、下げてもプラスでクローズするようにしました。これで、とりあえず月間収益はわずかながらプラスに。翌15日に149.57円まで下落する中、149.90円で売り決済して多少ながら利益が残せました。


含み益が大きかったのが一転して含み損になってしまうと、「なんであそこで決済しなかったの??」と考えてしまいがちです。そうなってしまうと、次のトレードにも悪影響を及ぼしてしまいます。



振り返り


今回のドル円についてご意見はあるかと思いますが、個人的にはプラスで終わったのでほっとしたところです。

 

反省点としては、16日に「本日あっさり150円に回復するのを見て、勝負に出れる状況だったらカットラインは転換線(149.26円)割れのほうが良かったかとも」と書いた通り、あえて勝負に出てもよかったかもしれない、それ以前に勝負に出れる環境を整えられなかった、ことでしょうか。

 

とはいえ、ポジションがなくなったことで身軽になったのも事実ですので、気持ちを切り替えて次にいきたいと思います。



この連載の一覧
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
第17回 どうする!?相場にやる気がない時
第16回 【ランド円】大物を釣るための心構え!?
第14回 ドル円、ストップロスの重要性を再確認
第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し
第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる
第11回 豪ドル円、天井は近い?
第10回 どうする!? 選択肢がたくさんある時
第9回 スワップは甘いささやき?
第8回 不器用な人間でも勝つ方法を考える
第7回 円安が敵に回る
第6回 【デッドクロスのその後】南アフリカランド円、買いで入る
第5回 待つも相場、一進一退でも焦らない
第4回 マイナスをプラスに変えるには?
第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
第1回 ランド円、デッドクロスの先を予測する

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

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