外為市場かく戦えり

第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる

イチオシ」内ではテクニカル分析を始めとしたトレードのアイディアを主に書いていますが、本コラムではその中で書けなかったことや、その後の振り返りなどに触れてゆきます。たまには番外編もあります。


ドル円は、月足や週足で確認できる三角保合を上抜けると、その後154円台へと上値を伸ばしています

チャート的には上昇再開のサインと解されますが、さすがに34年ぶり高値水準とあっては、誰もが「高値掴みはしたくない」と思うところです。


そうした中、どう動いたかについて触れてゆきたいと思います。

皆様の参考になれば幸いです。



ドル円、三角保合上抜け


ドル円は2022年以降、三角保合の一種とされる「アセンディング・トライアングル」を形成していましたが、今月に入り152円の上限を突破。

16日には154.79円まで上昇して、1990年6月以来の高値を付けています。


この三角保合は上昇トレンドを示唆する型とはいえ、足元で1カ月近くも上限で張り付いていたほか、アペックス(※)が近づくなど、相場は煮詰まりつつある状態でした。

そうした中で上抜けたことにより、上昇トレンド再開といった流れになっています。


(※)アペックスや、今年のドル円の見通しについてはこちら


※Trading Viewより



チャートの声


教科書的には、三角保合を上抜けたときは一段と上昇する可能性があるので買い場とされています

ただ、今回のドル円については、1990年6月以来約34年ぶり高値水準に到達していることや、政府からの円買い介入が警戒される水準でもあることから、買うにしても勇気がいる場所であったかと思います。


そうした場所ではありますが、「以前から抜けたら160円方向への道が開けるとみていた」ことや、「損切り水準を決めておけば介入に対する備えはできる」との考え方から、買いでエントリーすることにしました。


その時の記事(4/12)はこちら。

ドル円、三角保合を上抜けた翌日の下押しは152円台後半までだったことや、その後の金融当局者の発言から切迫した感じが伝わらないことから、155円方向への上げを期待して153.00円や152.80円、152.50で買い下がり。損切りは従来の抵抗だった152円の少し下151.90円。


結果は、12日の下押しで153.00円と152.80円の買いが成立し、152.50円の買いは成立しなかったのでキャンセル。

また、翌週にストップ水準を見直す(151.90円→153.30円)ことで、下げても損失にはならないようにしました。


この時、ストップだけついて再び上昇というパターンもあるので、

・ストップの水準を実勢レートに近づけない

・チャートポイントは多少ずらす(これまでの上値抵抗であった152.00円や、153.00円などきりのよい水準、など)

・ストップが成立しても損益はプラスなので気持ちを切り替えて再度エントリーする

といったあたりを心掛けました。



※Trading Viewより



トレイリングストップ


また、ストップ注文を見直した際、一部ポジションでトレイリングストップを試してみました。

直近の下押し幅を考慮して、75銭の幅で出しました。

以下、時系列での推移です。


16日:トレイリングストップを75銭でセット(決済対象は153.00円の買いポジ)

NY市場で154.77円まで上昇後の下押しは154.04円に留まり、75銭のトレイリングストップはぎりぎり不成立

17日:154.79円まで上昇したため、トレイリングストップは154.04円に移動

18日:154円割れのタイミングでトレイリングストップが成立。


結果は、ストップ注文成立とはいえ、利益は残ったので、これはこれでよかったかと思います。

この連載の一覧
第25回 【ドル円】風向き変わった!?ならば方向転換
第24回 【ドル円】スケベはスケベのままに
第23回 【ドル円】是生滅法の心境で
第22回 【振り返り】今年前半の損益とトレード
第21回 【ドル円】約37年半ぶりの円安を見たら、欲は出るよね
第20回 慌てるな!待つも相場
第19回 相場における「恐怖」を知ろう
第18回 【解説】トルコリラ円とドル円を買いたいと思った理由
第17回 どうする!?相場にやる気がない時
第16回 【ランド円】大物を釣るための心構え!?
第14回 ドル円、ストップロスの重要性を再確認
第13回 【番外編】アップデート・ドル円の2024年見通し
第12回 チャートの声を聞いてドル円を買ってみる
第11回 豪ドル円、天井は近い?
第10回 どうする!? 選択肢がたくさんある時
第9回 スワップは甘いささやき?
第8回 不器用な人間でも勝つ方法を考える
第7回 円安が敵に回る
第6回 【デッドクロスのその後】南アフリカランド円、買いで入る
第5回 待つも相場、一進一退でも焦らない
第4回 マイナスをプラスに変えるには?
第3回 ユーロドル、どうする!?出遅れた相場への取り組み方
第2回 【番外編】テクニカル面から見た、これからの2024年のドル円相場見通し
第1回 ランド円、デッドクロスの先を予測する

為替情報部 アナリスト

川畑 琢也

2002年に商品先物会社に入社し外国為替証拠金取引(FX)部門に配属されたのを皮切りに、複数のFX会社・部門でディーリングや相場分析を始めとして様々な業務を担当。FX会社系総研ではシニアテクニカルアナリストとして従事、雑誌の連載やメディアへの出演などを行う。2023年にDZHフィナンシャルリサーチ入社。

川畑 琢也の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております