あの株はいまいくら?

第65回 7月IPO「おかしのまちおか」展開の「みのや(386A)」 株主優待制度導入に期待

「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はみのや(386A)みていきます。


同社は菓子専門店「おかしのまちおか」を展開しており、2025年5月末現在の店舗数は207店舗となっています。


直営店舗のみによるチェーン展開を進めており、全国規模の過度な出店を行わず、関東圏、中京圏および関西圏に的を絞ったドミナント出店を基本方針とする地域密着型を重視したリージョナルチェーン展開を推進しています。


大手菓子メーカーによるナショナルブランドをはじめ、最近では輸入菓子などの仕入れにも取り組み、できるだけ多くの顧客からの多様なニーズに応えられるよう、商品のバリエーションを充実させているとのことです。


同社の上場については、コロナ禍を底に業績は順調に拡大してきたものの足元では成長が鈍化していることが懸念されていたものの、株式相場全体が高止まりするなかでIPOへ資金が向かいやすい状況が続いていたこともあり、堅調な初値形成が期待されていました。では、みのやの上場からの株価推移をみていきます。



みのやの株価推移(上場から2025年9月8日まで)

2025年7月18日に東証スタンダードに上場した同社の初値は2531円と公開価格1540円を大きく上回りました。初値形成後も堅調な展開となり、2980円まで上値を伸ばしましたが、その後は売りに押され上場初日の終値は2523円でした。


上場2日目からは売りに押される展開。上場2日目の終値は2300円、上場3日目の終値は2170円、上場4日目はいったん上昇したものの、上場5日目の終値は2080円となり、2000円の大台割れが視野に入ってきました。


しかし、ここから底堅い展開を見せます。上場6日目となる7月28日は2051円まで下落したものの終値は2111円、7月29日は2082円まで下落したものの終値は2089円、7月30日は2020円まで下落したものの終値は2070円となりました。なお、7月30日に付けた安値2020円が現時点(2025年9月8日)での上場来安値となっています。



このように下がらない状況が続くと、流れは変わるものです。7月31日から3日続伸となり、8月4日の終値は2190円となり、2000円の大台割れを回避。その後の株価はもみ合いとなり、水準を維持したまま上場後初の決算発表を迎えます。


同社は2025年8月14日に25.6期通期の営業利益は6.8億円(前の期比29.9%減)だったと発表、上場時点の会社予想6.9億円を小幅に下回りました。なお、26.6期通期の営業利益予想は7.9億円(前期比15.9%増)としました。


同社では、26.6期について、顧客に親しまれる店舗をめざし、大手メーカーによるナショナルブランド商品にとどまらず、特定のジャンルに捉われることのない多種多様な商品を充実させ、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの類似業種との差別化を図るとしています。


この決算を受けて翌15日の株価は売り優勢となり、一時2088円まで下落しました。決算期待で株価が上昇してきていた反動が出たと考えられます。ただ、翌日以降は切り返しの動きとなり、あっさりと2200円台を回復。足もとは2200~2400円程度での動きが続いています。


【みのやの日足チャート(上場から2025年9月8日まで)】



今後について

上場初日の株価が行き過ぎたため、株価は大きく下がったように見えますが、公開価格が1500円だったことを考えれば、2000円台での株価推移は堅調といってもいいでしょう。


今期会社予想EPSでのPERは16倍程度であり、成長がやや鈍化していることを考慮すると、妥当な水準と考えられます。


株主還元については、安定した配当を継続して実施することを基本方針としつつ、中長期的な配当性向は20%程度を目標としています。また、有価証券届出書(新規公開時)には「配当金のほかに、株主優待制度などによる利益還元策についても今後検討を行う」との記載があります。


今期増益見込みですので株価2000円割れの可能性は低いと考えられます。投資スタンスとしては、2100円程度で拾うチャンスを狙い、株主優待制度の導入をのんびり待つというスタンスがよいと考えます。



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日本株情報部長

河賀 宏明

証券会社、事業会社におけるIR担当・経営情報担当、FPや証券アナリスト講師などを経て2016年に入社。 金融全般に精通。証券アナリスト資格保有。 「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別株を中心としたニュース配信を担当。 メディア掲載&出演歴 株主手帳、日経CNBC「朝エクスプレス」、日経マネー

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