「10万円以下で投資できる高配当」や「100万円相当の株主優待がもらえる」といった魅力的な言葉が並ぶ銘柄には、ぜひとも投資してみたいと思いますよね?しかし、そのような銘柄に不祥事の噂があるとしたら、どう判断すべきでしょうか?
今回は、「Jトラスト」と「エプコ」について、株価や配当金だけでなく不祥事の真相や株主優待の内容まで詳しくご紹介します。
Jトラスト(8508)
Jトラストは、日本国内で信用保証や証券、債権回収などの各種金融事業および不動産開発事業を行う企業です。また、韓国や東南アジアなどの海外でも、銀行や債権回収、コンサルなどの金融事業を行っています。
2024年度の売上高は約1280億円、経常利益は約84億円でした。2025年度は売上高が約1350億円、経常利益は約120億円となる予想で、どちらも増収・増益となる見込みです。
Jトラストの怪しい不祥事
2019年にJトラストの取締役2名がカンボジア検察庁から詐欺容疑にて起訴されたというニュースがウェブ上で掲載されました。しかし、Jトラストは事実無根であると主張しています。
いかにも怪しいですが、当時Jトラストが偽計取引による損害賠償請求を行っていた訴訟相手による虚偽の告発であったことが判明しました。なお、この裁判は2024年にJトラストの勝利で決着しています。
Jトラストの株価は不祥事の影響で下落
2025年5月時点の株価は約410円です。2018年までは約900円前後だった株価は、2019年以降、前出した不祥事や訴訟などの影響で右肩下がりとなり、2020年には約200円まで下落しました。2022年に約600円まで回復したものの、2023年以降は伸び悩んでおり、約400円前後をほぼ横ばいで推移しています。
株主優待は割引券と抽選制
Jトラストの株主優待は、毎年6月末の権利確定日に、100株以上保有する株主に対して、該当する4つのクリニックで利用できる20%割引券が、各1枚ずつ贈呈されます。
また、500株以上保有する株主に対して、株式の保有数に応じて宝塚歌劇公演のペアチケットが抽選で500組に贈呈されます。
Jトラストの配当金
2025年度の配当金は、12月の期末配当にて年間1株当たり17円となる予想です。この金額は、2020年度の無配当から5期連続で増配しています。
Jトラストの利回り
1株410円で100株購入した場合、投資金額は4.1万円になります。配当金額は年間で1700円となり、配当利回りは約4.1%です。なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約0.3%、2022年度は約2.0%、2023年度は約3.1%、2024年度は約3.3%でした。
エプコ(2311)
エプコは、住宅に関連するエネルギーサービスを提供する企業です。具体的には、電気設備や太陽光発電などの設計サービス、オール電化や蓄電池などの施工、住宅設備のアフターメンテナンス受託サービス、電力自由化に伴う管理システムの開発などの事業を行っています。
2024年度の売上高は約56億円、経常利益は約4.4億円でした。2025年度は売上高が約61億円、経常利益は約4.6億円となる予想で、どちらもやや増収・増益となる見込みです。
エプコの株価下落が止まらない
2025年5月時点の株価は約730円です。2017年に約2100円の高値を付けましたが、大きな株価変動を何度も繰り返しながら、2020年に約1000円まで下落しました。しかしその後も下落が続き、2024年に一度回復の兆しが見えたものの、現在に至るまでゆるやかな右肩下がりが続いています。
株主優待は抽選で100万円相当
エプコの株主優待は、毎年6月末と12月末の権利確定日に、100株以上保有する株主に対して、抽選で5名に100万円相当の太陽光発電システムを無償で設置する権利が贈呈されます。
なお、抽選には100株ごとに1口応募でき、当選者は太陽光発電システムまたは蓄電池のいずれか一方を選択できます。
エプコの配当金
2025年度の配当金は、6月末の中間配当で14円、12月の期末配当で18円の、年間1株当たり32円となる予想です。この金額は、昨年度と同じ金額を維持していますが、上場した2002年以来一度も減配していません。
エプコの利回り
1株730円で100株購入した場合、投資金額は7.3万円になります。配当金額は年間当たり3200円となり、配当利回りは約4.4%です。なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約3.6%、2022年度は約4.6%、2023年度は約4.3%、2024年度は約3.9%でした。毎年高配当が継続していることが分かります。
まとめ
「Jトラスト」と「エプコ」について詳しくご紹介しました。
Jトラストは怪しい不祥事の噂により株価が下落したものの、噂されていた不祥事は事実無根であり、訴訟にも勝利したことで株価は回復傾向にあります。
エプコは100万円相当の株主優待が贈呈されるものの、当選者は年間10名と狭き門であり、優待を期待した投資はおすすめできません。
「不祥事」や「100万円相当」などインパクトのある言葉を安易に信じるのではなく、詳細をしっかりと調査した上で、慎重に検討することが大切です。