BTC、イラン停戦で上昇
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年4月8日23時頃、対円では前週(7日前)比4.4%高の1134万円前後で取引されています。対ドルでは7万1800ドル前後、為替でドルが売られた影響で前週比5.2%高の水準です。
BTCドルは7万ドル割れでさえない動きが続いていました。しかしながら、日本時間8日朝、パキスタンの仲介で米国とイランが2週間の停戦で合意したことが伝わると、リスク許容度の改善から暗号資産が急騰しました。
BTCドルは7日夜の6万8000ドル割れから、一時7万2800ドル台まで大きく買われました。BTC円も1085万円近辺を下押し水準に1154万円台まで買われる場面がありました。
エネルギー供給の重要ルートであるホルムズ海峡が再開される可能性が高まり、原油相場は急落。WTI原油先物は7日につけた直近高値117ドル台から、8日の時間外取引で91ドル手前まで売り込まれました。
株式市場にも資金が戻りました。日経平均株価は8日だけで5.4%高、英独株価指数も4%超上昇し、米株も堅調です。

※Trading Viewより
ホルムズ海峡、通行料はBTCで?!
世界の原油の約2割、LNGの約2割が通過する要衝、ホルムズ海峡。その入り口を実効支配するイランが、「主権的権利」を盾に、通過船舶に対し最大200万ドルの通行料支払いを要求していることが問題視されています。
注目すべきは、その支払い手段に指定されているなかに「ビットコインや米ドル建てステーブルコイン」も含まれている点です。
なぜ、暗号資産なのか。
従来のSWIFT(国際銀行間通信協会)を通じたドル決済では、米国の監視網から逃れられず、即座に資金が凍結されるリスクがあるためです。対して、中央管理者のいないビットコインや暗号資産は、制裁下にあるイランにとって、既存の金融包囲網を「迂回」するための極めて実戦的な資金調達ルートとなり得ます。
国家インフラの対価として暗号資産を公式に組み込むというこの試みは、ビットコインを単なる投資対象ではなく、制裁回避の「実効通貨」へと押し上げる事例となります。停戦にこぎつけたものの、世界の金融当局は警戒感を緩めることはできません。

※Trading Viewより
暗号技術が危ない?!
ところで先月、暗号資産業界で話題となったのが、Googleが2026年3月に発表した論文です。難攻不落とされてきたビットコインの暗号技術が、量子コンピューターによって想定より早く破られるかもしれない、という内容でした。
普通のパソコンやスマホは、情報を「0か1か」という形で処理します。電気のスイッチがON/OFFのイメージです。一方、量子コンピューターは「0でもあり、1でもある状態」を使って計算できるというのです。これを「重ね合わせ」と言うそうです。
説明している私も、イメージをいまいち掴めませんが…。
いずれにせよ、この「重ね合わせ」という特性のおかげで、量子コンピューターは特定の計算がスーパーコンピューターの数百万倍速くできるのです。
どうやって守られているのか
ビットコインには「公開鍵」と「秘密鍵」という2種類のカギがあります。
公開鍵:誰でも見られる住所のようなもの(例:銀行口座番号)
秘密鍵:自分だけが持つ本物のカギ(例:銀行のPINコード)
公開鍵から秘密鍵を計算するのは、現在のコンピューターでは何兆年かかっても無理なくらい難しい計算とされています。だから安全性が担保されているのです。
では、なぜ量子コンピューターが怖いのでしょうか。
「ショアのアルゴリズム」という計算方法を使うと、量子コンピューターは「公開鍵から秘密鍵を計算する」ことが理論上できてしまうと言われています。つまり、他人のビットコインアドレスから秘密鍵を割り出し、勝手に送金できてしまう可能性があるということです。
ただし、これまでは「理論上」に留まっていました。
※ショアのアルゴリズムとは、1994年にピーター・ショアというアメリカの数学者が考案した「大きな数を素因数分解する計算方法」です。
2026年3月のGoogleの発表によると、ビットコインの暗号を破るために必要な量子コンピューターの規模が、以前の予想よりはるかに小さくて済むことがわかりました。
「まだ先の話」ではなくなってきています。
Google論文などによると、全ビットコインの約3分の1(670-690万BTC相当)が、すでにこのリスクにさらされていると推定されています。
慌てる必要はない?
量子コンピューターの脅威が現実味を帯びてきたとはいえ、今すぐ慌てる必要はありません。現時点で実際に攻撃できる規模の量子コンピューターは存在せず、対策も着実に進んでいるからです。
NIST(米国の国立標準技術研究所)は、量子コンピューターでも解読できない次世代暗号の標準をすでに策定済みです。ビットコインでは量子耐性を持つアドレス形式への移行提案のテストが始まっています。
重要なのは「まだ大丈夫」と油断せず、業界の動向を注視しながら、対応済みの安全な環境へ早めに移行する準備を整えておくことでしょう。
今週のまとめ↓






