「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回は2026年4月に上場した梅乃宿酒造(559A)をみていきます。
同社は奈良県葛城市に本拠を置く1893年(明治26年)創業の酒蔵中堅です。日本酒業界としては後発ですが、市場が縮小する中で新しい取り組みに積極的に挑むことで生き残りを図ってきました。いち早く日本酒ベースの梅酒開発に挑み、現在は「あらごしシリーズ」に代表される「高級日本酒リキュール」を主力としています。
大きな特徴は、伝統的な「杜氏制度」を廃止し、過去20年にわたる酒造りデータを数値化・蓄積した「チーム制」による科学的な酒造りへ転換している点にあり、これにより高品質かつ再現性の高い安定生産を実現しています。
梅乃宿酒造の株価推移(上場から2026年6月24日まで)
2026年4月24日に東証スタンダードに上場した同社の初値は900円と、公開価格600円を50%上回りました。上場初日は買い意欲が強く、終値はストップ高となる1050円で引ける非常に強いスタートとなりました。なお、初値の900円が現時点(2026年6月24日)の上場来安値となっています。
上場2営業日目の4月27日には1350円まで上昇、これが現時点(2026年6月24日)の上場来高値となっています。その後は利益確定売りに押される展開が続き、5月11日には終値で925円まで下落。このタイミングで上場後初の決算発表(5月13日)を迎えました。
発表された26.6期第3四半期累計(25年7月-26年3月)の連結営業利益は4.6億円で、前年同期の進捗を大きく上回る好決算でした。主力の「あらごしシリーズ」の値上げによる利益率改善や、北米・台湾を中心とした海外売上の伸長が寄与しています。
この好業績を背景に、5月下旬から株価は再び上昇トレンドに転じ、6月12日には1274円まで上昇しました。その後はやや売りに押され、直近(2026年6月24日)の終値は1103円となっています。
【梅乃宿酒造の日足チャート(上場から2026年6月24日まで)】

今後について
同社は成長戦略として、「ジャパニーズリキュール(Japanese Liqueur)」をウイスキーに続く日本発のグローバルカテゴリーに育てることを掲げています。既に世界24の国・地域に展開しており、今後は欧州や東南アジア圏への販売網拡充や、空港免税店でのインバウンド需要の取り込みを強化する方針です。
加えて、既存事業とのシナジーを見込む食品領域への進出や、利益率の高いプレミアムラインの拡充にも注力しています。BtoC事業で得た顧客ニーズを商品開発やBtoB展開に活かす独自の成長モデル「UMENOYADO LOOP」により、さらなる収益性の向上とファン層の拡大をめざしています。データに基づいた科学的な酒造りによる「高品質な安定生産」という強みを活かし、国内外で新しい酒文化を創造できるかが今後の鍵となるでしょう。
また、総還元性向50%を目標とする高い還元姿勢や、既に導入済みの株主優待制度も個人投資家から根強い支持を得ています。現在のPERは21倍台、PBRは2倍程度と、他の食品銘柄と比較して特段の割高感はありません。8月中旬に予定されている通期決算で、来期(27.6期)の強気な業績見通しが示されれば、再び上場来高値を伺う展開も十分に期待できると考えます。





