日々是売買~トレードへの道

第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」

当コラムでは「IG証券」のデモ口座で株価指数・FX・コモディティなどをトレードし、売買のタイミングや結果などを公開。証拠金は各100万円スタート。「IG証券」は「FX口座」「株価指数口座」「商品口座」「個別株口座」「債券先物口座」「その他口座」と多様な資産クラスがワンストップで提供されています。

 

 

 

地政学リスクへの警戒高まる

 

11月初旬は米大統領選や米連邦公開市場委員会(FOMC)などビッグイベントが目白押しとなり、「トランプ・トレード」が鮮明になりました。ドル円は先週15日に156.75円と7月23日以来の高値を更新していますが、今週は153円台前半から155円台後半でのもみ合いに。

 

今週はロシアが核兵器を使用するための条件を示した「核抑止力の国家政策指針」(核ドクトリン)を改定したと伝わったほか、ウクライナは米国から供与された長距離地対地ミサイルを使ってロシアの軍事施設を攻撃したと報じられ、ロシアとウクライナを巡る地政学リスクへの警戒感が高まりました。ただ、リスク回避の円買いは一時的なものにとどまり、ドル円自体は大きな方向感が出ませんでした。

 

*Trading Viewより

 

ただ、今週は「ユーロドル」の下落が鮮明になりました。ロシアとウクライナを巡る一連の報道をきっかけにリスク・オフのユーロ売り・ドル買いが強まったほか、「ユーロ圏経済の先行き懸念から欧州中央銀行(ECB)が12月に追加利下げを決めるとの見方が根強く、ユーロ売りが出やすい地合いだ」との声が聞かれています。その背景にはドイツでの連立政権崩壊やフランスでの予算案を巡る対立といった政治の不確実性が意識されることなどがあるようです。

 

*Trading Viewより

 

22日発表の仏・独・ユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)が低調な内容となり、ユーロ圏の景況感悪化が示されるとユーロ売りがさらに進行。重要なサポートとして意識されていた昨年10月3日の安値1.0448ドルを下抜けて一時1.0335ドルと2022年11月以来2年ぶりの安値を更新しています。市場では「ウクライナ情勢の緊迫化にユーロ圏景気の失速懸念が重なり、独長期金利の低下とともにユーロ売りが膨らんだ」「トレーダーらはECBによる大幅利下げへの観測を強めた」との声が聞かれています。なお、市場が織り込む12月の0.50%利下げの確率は前日21日の約15%から50%に急上昇しています。

 

 

 

投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る

 

ヘッジファンドによるユーロ売りポジションが拡大しています。米商品先物取引委員会(CFTC)が今月初めに発表した10月29日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)のユーロの売り越し=ユーロドルのショートは5万304枚と2020年3月以来の高水準を記録。投機筋は4年半ぶりのユーロ売りポジションを構築していました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

昨日11月22日(日本時間23日早朝)に発表された11月19日時点の建玉報告によると、投機筋のユーロの対米ドルポジションは4万2557枚のユーロ売り越しと前の週から3万5120枚も増えたことが明らかになりました。投機筋のユーロポジションが大幅に拡大していることが分かります。

 

 

 

さらなる上昇と下落を期待して

 

私は「高市氏勝利」と「年末ラリー」を期待して、9月26日にドル円を「144.655円」でロングしていました。「石破ショック」でロスカットを覚悟していましたが、設定した水準を割り込むことはなく、するすると上げてしまいました。正直、早々にロスカットになると思っていました。

 

*IG証券より

 

ドル円の日足チャートを見ると、1年2カ月ぶりの安値139.58円という、かなり分かりやすい下値目処が出来ており、ストップロスはここより若干下の「139.50円」に設定しています。今週末も重要なポイントとして意識される200日移動平均線が位置する「151.95円」を週末の終値(154.78円)でしっかりと上回っていることもあり、さらなる上昇を期待しています。

 

一方で、ユーロドルは重要なサポートとして意識されていた昨年10月3日の安値1.0448ドルを下抜けて、1.0335ドルと2年ぶりの安値を更新しています。約2年続いたレンジ相場の下抜けとあってさらなる下落も予想されるため、戻りを積極的に売っていきたいところです。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
第53回「いろいろ底打ち? 日経平均は1カ月ぶり高値」
第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
第45回「ドル円、またまた37年半ぶりの高値を更新」
第44回「ドル円、37年半ぶりの高値 当面は円安・ドル高基調か」
第43回「ドル円、34年ぶりの高値160円に接近 介入は困難か」
第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
第41回「米雇用統計でFRBの年内利下げ観測が後退」
第40回「ドル円、介入規模は過去最大 ただ効果は1カ月」
第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
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第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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