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米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準
昨日19日までに米国債券相場で長期ゾーンは4日続落し、表面利率3.875%の10年物国債利回りは4.99%で取引を終えています。注目だったパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演。同氏は「インフレ率は依然として高すぎる」として、「物価上昇率が目標の2%に向かって低下すると確信できるまで金融引き締め的な政策を維持する」との考えを改めて表明しました。FRBが高金利を長期間維持するとの見方から、債券売りが優勢となり、利回りは一時4.9920%前後と2007年7月以来の高水準を付けています。
*Trading Viewより
米金利の上昇要因はこの他にも複数あるようですが、個人的には「長期債の需給懸念」や「米財政の先行きに対する懸念」が利回りをさらに押し上げる可能性を警戒しています。通常なら、中東情勢の緊迫感は高まったままであり、地政学リスクが意識される中では安全資産とされる米国債に買いが入ってもおかしくはないはず。株安も本来は米国債の要因のはず・・・。
ウォール街、膨張する米債務を懸念
FRBは米政府が抱える33兆6000億ドルを超える債務(約5000兆円)に対する投資家の不安にどう対応すべきか苦慮しており、「今後、潜在的な政策の落とし穴に直面する可能性がある」と指摘する向きもあります。米財政の先行きに対する懸念は既に米国債利回り上昇の一因となり、政策当局者を驚かせ、追加利上げの先送りを検討させているといいます。
*US Debt Clock.orgより
モルスタ、「利回り5%の米国債は買い」
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは「米10年債利回りが5%以上になれば、投資家が参入する好機になる」としています。「現在の環境で、利回り5%突破はデュレーションの観点からポートフォリオに長期債を組み入れる絶好の水準になる」と指摘。「5%を突破すれば、モルガン・スタンレーのフェアバリュー水準から『オーバーシュート』の範囲に入るだろう」と話しています。
米国債(CFD)の買いポジション、含み損は増えるも
前週末まで、FRB高官のハト派(dovish)発言が相次いだことから、米長期金利は今後低下していく=債券価格は上昇すると予想し、9日には米国10年国債先物($10)=CFDをロングしています。ロットは「1」、約定レートは「10741.8」。
しかしながら、いったんは上昇するかと思われた米国債(CFD)は今週に入り連日の下落。利回りは2007年7月以来となる5%目前となっています。
*IG証券より
本日20日朝の時点で「未実現損益」は「▲1977ドル(29万6000円程度)」となっており、含み損が拡大しています。モルガン・スタンレーのレポートでも「5%」は買いとみられている通り、まもなく達成されるであろう5%で「いったん金利上昇ステージは終わり」との見方は多い印象です。ある市場関係者からは「米5年債も10年債の利回りもほぼ5%の水準に収れんした。2年債利回りは30年債利回りにほぼ追いついた。金利上昇のステージは、ほぼ終了の可能性がある」との声が聞かれています。
もちろん、これまでの上昇の余韻や需給不安で多少の利回り上昇はあり得ますが、足もとの金利上昇ステージはほぼ終盤と見込み、ポジションはしばらく維持したいと思います。
FEDウォッチャーの解説
なお、米ウォールストリート・ジャーナルのFEDウォッチャー、ニック・ティミラオス記者は昨日のパウエルFRB議長の発言について「今夏のインフレ率低下に満足しており、経済活動の活発化がその進展を危うくする明確な証拠がない限り、FRBが再び利上げに踏み切る可能性は低いと示唆した」と解説しています。「次回会合で金利を据え置く用意があることを示唆したのは、過去1カ月間の長期金利の上昇が景気を減速させる可能性があり、借入コストの上昇が続けば事実上利上げの代わりになるためでもある」としてます。一方で、「経済活動が予想以上に堅調なため、FRBが利上げ打ち切りを宣言するのは難しく、パウエル氏もそうしなかった。利上げの終了を宣言することを見送った」と指摘しています。
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