日々是売買~トレードへの道

第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」

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ドル円、週末にかけて伸び悩む

 

今週のドル円は方向感に乏しい展開でした。トランプ米大統領は11日、自身のSNSに「習近平中国国家主席と私が最終承認すれば中国との合意は完了」「中国からレアアース(希土類)が前倒しで供給される」と投稿。米中貿易摩擦の緩和期待から円売り・ドル買いが出て、この日のNY市場序盤に145.46円まで値を上げる場面がありました。

 

ただ、同日発表の5月米消費者物価指数(CPI)や翌12日の5月米卸売物価指数(PPI)が予想より弱い内容だったことが分かるとドル売りが優勢に。ドル円は徐々に弱含む展開となりました。

 

*Trading Viewより

 

そして、11日頃から「米政府は中東地域との緊張が高まる中、兵士の扶養家族の自主的な退去を許可した」といった中東の地政学リスクを意識される報道が相次ぎました。13日にはイスラエル軍がイラン各地の核関連施設を含む数十カ所の軍事施設を空爆したと発表。これを受けて、当初は株価の急落・原油価格の急騰・円買い・ドル売りが優勢となりました。ドル円はこの日の東京市場で142.80円まで売られる場面がありました。

 

もっとも、海外市場では中東情勢の緊迫化を受けて投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め、流動性が高いドルを買う動きが優勢に。いわゆる「有事のドル買い」が優勢となりました。ドル円はNY時間に144.48円まで値を戻しています。結局、今週のドル円は142.80-145.46円のレンジで週末終値は144.07円と方向感に乏しい展開となりました。

 

*Trading Viewより


なお、イスラエルによる対イラン攻撃を受けてWTI原油先物価格は急伸しました。イランも応戦し、軍事衝突が激化するとの懸念が強まっています。中東の地政学リスクの高まりで原油の供給混乱が警戒され、一時77.62ドルと14%を超す大幅高となりました。

 

 

 

投機筋の円買いポジション、縮小が継続

 

米商品先物取引委員会(CFTC)が6月13日(日本時間14日早朝)に発表した6月10日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の対ドル持ち高は14万4595枚の円買い越し(ドル円のショート)となり、前週から6554枚減少しました。

 

*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成

 

投機筋の円のポジションは昨年7月2日には18万4223枚の円売り越し(ドル円のロング)となり、2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録していましたが、そのあとは一転して円買いポジションを構築する動きが優勢に。4月29日には17万9212枚と過去最大を更新しています。これ以降はその動きが一服となっており、少しずつですが、円買いポジションの縮小が続いています。「ポジションの巻き戻し」の始まりとなっているのか、それとも「ポジション調整」の範囲内なのかに注目が集まるところです。いまだ14万枚を超える円買いポジションであり、依然として高い水準にあると言えます。

 

 

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると

 

ドル円の一目均衡表チャートを見ると、薄くなりつつある雲を睨んだ神経質な展開が続いています。13日取引終了時点では雲の上限(145.60円)、下限(144.08円)、転換線(143.92円)、基準線(145.38円)となっており、雲下限と転換線に近いところで週末の取引を終えています=終値(144.07円)。しばらくは薄い雲が145円台前半で推移するため、ここからの動きに注目が集まります。

 

*Trading Viewより

 

なお、現在のポジションはドル円ロング@144.235円。来週以降も押し目を拾いたいところです。

 

*IG証券より 


 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第89回「投機筋の円ロングポジション、縮小が続く」
第88回「投機筋の円ロングポジション、縮小」
第87回「ドル円、140円割れを目指す展開か!?」
第86回「米国『トリプルA』格付け失う 来週は為替協議の思惑も」
第85回「投機筋の円買いポジション、やや拡大 過去最大を更新」
第84回「投資家心理は改善 恐怖指数=VIXは順調に低下」
第83回「注目は24日予定の日米財務相会談 為替について協議」
第82回「ドル円『1日の値幅は3円超』 売っても買ってもやられる相場」
第81回「虎の子だったはずのポジションが見事に粉砕」
第80回「円買いポジションの解消に伴う急速な円安・ドル高圧力」
第79回「投機筋の円買いポジション、いよいよ巻き戻しスタートか!?」
第78回「来るか!?行き過ぎた『ポジションの偏り』の反動」
第77回「投機筋の円買い過去最大 行き過ぎた『ポジションの偏り』」
第76回「投機筋の円買いが過去最大に 偏り警戒160円超えを指摘する声も」
第75回「投機筋の円買いポジション、再び6万枚超まで拡大」
第74回「投機筋の円買いポジション、5万4615枚に拡大」
第73回「ドル円、テクニカル的にも売りが出やすいか」
第72回「投機筋、ポジションはほぼフラットに」
第71回「28-29日のFOMC、利下げ見送りが濃厚」
第70回「日銀の追加利上げは織り込み済み」
第69回「ドル円は半年ぶり高値 ロングは維持したい」
第68回「やっぱり7月3日の高値161.95円突破を狙いたい」
第67回「ドル円、またまた160円台を目指していくのか」
第66回「日銀の年内利上げ観測後退 1月すらも怪しい」
第65回「感謝祭ウィーク週末のNY午後(日本の夜中2時)」
第64回「投機筋のユーロ売りポジション、再び5万枚に迫る」
第63回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?その2」
第62回「クリスマスラリーに向けて仕込み時か!?」
第61回「投機筋、円買いポジションを大きく縮小」
第59回「投資の格言『損切りは早く、利は伸ばせ』」
第58回「円安予想で投機的ポジションを再び積み増し!?」
第57回「高市氏勝利を期待したポジションが含み損」
第56回「残暑厳しくも年末ラリーを期待する季節」
第55回「ドル円は年初来安値 歴史的な円安進行は終わり!?」
第54回「ブラックマンデーの再来!?!?(1カ月ぶり2度目)」
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第52回「ドル円、二番底確認か?底割れか?」
第51回「投機筋のポジション、まさかの円ロングに」
第50回「株も為替もセリング・クライマックス」
第49回「植田総裁が突如タカ派路線、円高と株急落招く」
第48回「投機筋の円売りポジションが10.7万枚まで大幅に減少」
第47回「ヘッジファンドによる円売りポジションが急減」
第46回「ドル円、ピークアウトか 押し下げ介入?のサプライズ」
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第42回「注目のFOMCを通過、今年の米利下げ予想1回に」
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第39回「ドル円、再び157円台に 介入は困難!?」
第38回「投機筋の円売りポジションが急減 介入受け」
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
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第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
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第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
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第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
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第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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