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ドル円、37年半ぶりの高値を更新
ドル円は4月29日に160.17円まで上昇しましたが、そのあとは政府・日銀による為替介入とみられる動きで5月3日には151.86円まで一転下落しました。ただ、そのあとは再びじり高の展開となり、昨日28日には一時161.27円と1986年12月以来約37年半ぶりの高値を更新しています。
政府・日銀による介入とみられる円買いの動きは4月29日の午後と1日のFOMC後である日本時間2日の早朝の2回。介入額は過去最大の9.8兆円となっていますが、為替介入による円安抑止効果はわずか2カ月で切れた格好です。
*Trading Viewより
市場関係者からは「ドル円は今年これまでにほぼ12%上昇したが、政府・日銀による円買い介入の可能性を含め、円安の勢いを反転させるのに十分に強力なきっかけとなり得る要因はほとんど見当たらない。比較的迅速に170円に到達する可能性がある」との声が聞かれています。「米連邦準備理事会(FRB)はまだ利下げに踏み切っておらず、政策金利の誘導目標の上限は5.5%だが、日銀の政策金利はほぼゼロ。これにより、世界で3番目に取引量の多い通貨である円は、日米の大幅な金利差を背景にドルやユーロ、新興国通貨に対して売られる主要なターゲットとなっている」と言います。
投機筋の円売りポジション、再び増加傾向へ
ヘッジファンドによる円売りポジションは政府・日銀による為替介入があったとみられる4月29日以降、減少傾向にありましたが、ここにきて再び円売りポジションが増加傾向にあるようです。米商品先物取引委員会(CFTC)が6月28日に発表した6月25日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは17万3900枚と前週から2万6147枚増加。4月23日時点の17万9919枚(これは2007年6月以来の高水準)に迫っています。なお、17万9919枚という数字は円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模であることを考えると6月25日時点の17万3900枚もかなり大きさであることが伺えます。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
ドルは強く、円は弱く
今月発表された5月米消費者物価指数(CPI)と5月米卸売物価指数(PPI)は予想より弱い内容となったほか、昨日発表のFRBがインフレ指標として重視する5月個人消費支出(PCE)物価指数は市場予想に沿う形で鈍化したことが分かりました。米長期金利の指標となる米10年債利回りは低下傾向にもかかわらず、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスのチャートを見ると、5月1日以来の高値まで上昇しています。
*Trading Viewより
米長期金利は低下傾向にありながらも、為替市場で「ドルの強さ」が目立っている背景には、「欧州で広がる利下げ」があります。スイス国立銀行(SNB)は今月20日、2会合連続で政策金利を引き下げると発表。また、英中銀(BOE)は市場予想通り政策金利の据え置きを決定しましたが、8月の利下げ開始を見通す声が強まりました。また、欧州中央銀行(ECB)は今月6日に0.25%の利下げを決めましたが、「7月も利下げに動く」と予想する声が浮上しており、対欧州通貨でのドル買いにつながっています。
一方で、円は弱さが目立っています。ユーロ円は一時172.45円と1999年のユーロ導入以来の高値を更新したほか、ポンド円は203.59円と2008年8月以来の高値を更新。また、豪ドル円は107.46円と07年10月以来の高値、NZドル円は98.15円と1986年6月以来の高値を記録しています。
ドル円の一目均衡表チャート
ドル円の一目均衡表チャートを見ると、週末の終値(160.88円)で雲の上限155.71円を大きく上回っており、転換線159.40円や基準線157.91円も大幅に上回っています。テクニカル的にもまだまだ上サイドを試す展開が期待されます。
*Trading Viewより
神田財務官は「為替の足もとの動きは急激」「行き過ぎた動きには必要な対応をとっていく」「高い警戒感を持って市場の動向を注視している」と述べ、足もとの円安進行をけん制していますが、「行き過ぎた」動きや「投機的」な動き、「ファンダメンタルズから逸脱した」動きがあるようにも見えません。市場では「本邦貿易赤字など構造的な円売り要因は早期に解消されず、当面は円安・ドル高基調が続くだろう」「大局的には、日本でのドル需要を低下させなくてはならない。日本の長期金利が十分に高くなるか、あるいは米金利が十分に低くなる必要がある。ただ、今はどちらも起こっていない」との声が聞かれています。
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