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株も為替もセリング・クライマックス
今週は株式市場も為替市場も大変大きく動きました。日銀が政策金利を0.25%に引き上げた7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁が今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませると、市場は「植田総裁の発言をタカ派」と受け止め、円高と日本株の下落が進みました。さらには米景気後退懸念が高まったことで米国株も大幅下落。その流れを引き継いだ週明け5日の東京株式市場で日経平均株価は4451円安と過去最大の下げ幅を記録しました。もっとも、翌6日の東京株式市場では日経平均株価は3217円高と過去最大の上げ幅を記録。セリング・クライマックス的な動きとなりました。
*Trading Viewより
為替市場でも米景気後退懸念や日銀の追加利上げ観測の高まりなどを背景にキャリートレード巻き戻し=円買いが活発化し、ドル円は一時141.70円と1月2日以来の安値を更新しています。ただ、その日のNY市場では7月米ISM非製造業指数が予想を上回る強い数字となったことで米長期金利が上昇。ドル円も144.89円まで持ち直しています。市場では「日本株もドル円もセリング・クライマックスの様相だった」との声が聞かれました。
*Trading Viewより
なお、7日には内田真一日銀副総裁が「最近の内外市場の動きは急激だ」として、「その動向や経済・物価に与える影響を極めて高い緊張感を持って注視し、政策運営において適切に対応していく」と発言。「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」としたうえで、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」と述べています。内田氏のハト派的な発言を受けて日経平均はさらに上昇し、ドル円も147.90円の戻り高値を付けています。
なお、内田氏のこの発言について市場では「マーケットを落ち着かせることが目的で、政策運営は市場と日米の景気動向次第」「年内に利上げがないとみるのは早計だ」との声が聞かれています。
投機筋の円売りポジションはほぼ消滅
ヘッジファンドによる円売りポジションは先月、過去17年間で最大規模に膨らみました。米商品先物取引委員会(CFTC)が先週日発表した7月2日時点の建玉報告によると、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の通貨先物市場で非商業部門(投機筋)の円の売り越し=ドル円のロングは18万4223枚と2007年6月(18万8077枚)以来の高水準を記録。円先物が導入された1986年以来でも屈指の規模となりました。
ただ、昨日8月9日(日本時間10日早朝)に発表された8月6日時点の建玉報告によると、投機筋の円売りポジションは1万1354枚まで激減。2021年3月の6514枚の円の買い越し=ドル円のショートに迫る水準となりました。
*CFTCのデータを基にDZHフィナンシャルリサーチ作成
ただ、米金融大手のJPモルガン・チェースは「円は依然として最も過小評価されている通貨の一つであるため、最近のキャリートレード巻き戻しはまだ続く余地がある」と指摘しています。「円キャリートレードの巻き戻しは、少なくとも投機的投資家コミュニティーの中では、50-60%が完了した段階」との見方を示しています。
ドル円、いわゆるスケベショートは利食い
政府・日銀による為替介入に便乗したドル円のショート(いわゆるスケベショート)。ポジションは1ロット、159.082円で建てていましたが、9日に146.65円で利食いしています。利益は「12万4000円ほど」となりました。理由は週明け5日が「セリクラ」の様相となったこと、CFTCのポジションがかなり整理されたことなどです。
*IG証券より
また、ドル円の週足の一目均衡表チャートを見ると、テクニカル的にもいったんは底打ちか?と思わせる値動きになっています。雲の下限140.77円や上限145.83円が重要なポイントとして意識されているようですので、ここを維持する間は押し目を狙っていきたいところです。
*Trading Viewより
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