日々是売買~トレードへの道

第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」

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ドル円のショートはあえなく損切り

 

今年に入り、ドル円は反発傾向を強めていましたので、意気揚々とショートを積み増ししていました。しかしながら、今週、あえなくストップアウト。昨年12月21日に「142.715円」でショートしたことに加えて、1月4日に「144.196円」、12日に「145.302円」と、計3ロットまでポジションを積み上げていました。平均約定レートは「144.071円」となっていました。テクニカル的にも146円台が戻りの目処と考えていましたが、予想は外れ148円台まで上昇してしまいました。

 

*IG証券より

 

なお、146円台が戻りの目処と考えていたので、147円台に乗せてくれば「ストップアウト」する予定でしたが、スルスルと上昇してしまい・・・。結局、含み損が「10万円」を超えた147円台半ば=「147.463円」での損切りとなりました。

 

*IG証券より 



 

「ドル高」と「円安」のダブルパンチで

 

今回の敗因は「ドル高」と「円安」のダブルパンチが直撃したこと。直近発表された12月米小売売上高など、米国の経済指標が軒並み良好な内容となったことで、米連邦準備理事会(FRB)が早い時期に利下げに転じるとの見方が後退。米長期金利の上昇とともに全般ドル買いが優勢となりました。

 

指標以外でも米金利の上昇とドル高につながった要因はあります。昨年の11月には「利下げを示唆」したタカ派のウォラーFRB理事が「インフレが再燃しなければ、今年利下げは可能」としながらも、「利下げは秩序立った慎重なペースで進めるべき。以前ほど迅速に利下げしたり急いだりする理由はない」と述べて、かなり後退した見解を示したことも背景にあります。当然、ウォラー氏以外のFRB高官も市場の早期利下げ観測をけん制しています。

 

*Trading Viewより

 

一方、「円安」の要因は日銀の早期政策修正観測の後退です。元旦に発生した能登半島地震による経済への影響を見極める必要があるとして、マーケットは「来週の日銀金融政策決定会合ではマイナス金利政策の解除は見送りになる」との見立てに一段と傾きました。先週、厚生労働省が発表した2023年11月の毎月勤労統計調査で、物価変動の影響を除いた実質賃金が20カ月連続で減少したことも「日銀の早期政策修正観測の後退」を後押し。円を売る動きに拍車をかけました。


*Trading Viewより

 

加えて「新NISAが招く円安圧力」も話題に。今年から投資枠が増えた新たな少額投資非課税制度(NISA)。世界株や米国株などへの投資が増え、年間で約2兆円の円売りが増えるとの見方があるようです。実際、「信託銀行経由の円売り・ドル買いが目立ち始めている」との声も聞かれており、新NISAに絡んだ外貨需要を背景に円安が進みやすい状況となっています。


*Trading Viewより 


市場関係者からはドル円について「米長期金利の上昇や日経平均の上昇につれた動きとなる中で、上値の重要な目処として意識されていた一目均衡表雲上限など、テクニカル的なポイントを一気に上抜けている。チャート的にも上値を試しやすい形となっている」との声が聞かれています。

 

 

 

【免責事項・注意事項】

 

本コラムは個人的見解であり、あくまで情報提供を目的としたものです。いかなる商品についても売買の勧誘・推奨を目的としたものではありません。また、コラム中のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はお客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。

この連載の一覧
第37回「政府・日銀、投機筋との攻防は長期化の可能性」
第35回「個人投資家の円買いvs投機筋の円売り」
第34回「介入期待もあってユーロ円のショートは維持」
第33回「久々のリスク・オフのムード 株安・原油急騰・円高」
第32回「ドル円、嵐の前の静けさか? 今週の値幅は1円未満」
第31回「中銀ウィークを無事通過!? ドル高・円安を期待」
第30回「ドル円ロングは維持、ストップは付かずに切り返す」
第29回「ドル円、上値重く 日銀の政策修正観測高まる」
第28回「【祝】日経平均株価、史上最高値 ドル円もそろそろ」
第27回「日経平均株価、史上最高値まであと少し」
第26回「ドル円、上値試すか 昨年11月の151円台も視野」
第25回「注目のFOMCタカ派寄りもドルは下落」
第24回「ドルと円、それぞれの買い要因が綱引き」
第23回「ドル円ショートは損切り 円安とドル高のダブルパンチで」
第22回「ドル円、1カ月ぶり146円台 追加でショート」
第21回「ドル円、年始の悪夢 1月3日のフラッシュクラッシュ」
第20回「ドル円、売りシグナル点灯 さらなる下落に期待」
第19回「ドル円、140円割れが視野に」
第18回「米債ロングは利食い FRB議長発言を前にポジションはなし」
第17回「米長期金利、2カ月ぶり低水準 上昇リスクにはなお注意」
第16回「米国債のロングポジション、含み益が拡大」
第15回「米国債のロングポジション、含み損から含み益に」
第14回「米10年債利回り、16年ぶりに『5%』を突破」
第13回「米国債、下落止まらず 利回りは2007年7月以来の高水準」
第12回「初めての米国債(CFD)買い、そろそろ底打ちかと思ったら・・・」
第11回「下手な難平(なんぴん)、素寒貧(すかんぴん)」
第10回「日経ロングはキープもリスク高い週末 米政府機関の閉鎖はほぼ確実に」
第9回「日経225ロング、含みゾーン(損)に突入!」
第8回「日経平均、レジスタンス突破でいよいよ3万4000円台乗せか!?」
第7回「日経平均、9連騰ならず テクニカル的には・・・」
第6回「日経平均をロング トレンドは友達(Trend is your friend)」
第5回「重要イベント通過もポジション取れず・・・相場は乱高下」
第4回「朝起きたらポジションが全てなくなっているという悲しみ」
第3回「ドル円、ストップロス水準に接近 祝日のため円安けん制発言も期待できず」
第2回「前週のドル円ショートはあえなくストップ 懲りずに再in」
第1回「ドル円、乱高下のあと何故か全戻し 戻りは叩く」

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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